77 / 283
第2章【交わる二人の歯車】
15罪 告白⑬
しおりを挟む
「ヴェルくん? 雪ちゃーん? 大丈夫かしらー?」
「……っ!」
「……ぁ」
唇が触れ合うまであと数センチ、という距離。その瞬間に聞こえた静の声に、ヴェル君は息を呑むように飛び起き、私も小さな声を漏らし第三者のお出ましに残念さを感じると同時に、少しだけホッとしていた。
たぶん、あのまま顔が近づいていたらキス、をしていたと思う。だけど、私はキスをした経験がなかった。だからこそ、未知の行為でドキドキした半面少しだけ怖さもあった。
「雪ちゃん?」
そう問いかけながら、静がゆっくりと私の部屋へと足を踏み入れた。布団に横になる私の姿と、そんな私を見下ろす距離の近いヴェル君を見て、静の目が丸く見開いたように見えた。けど、すぐににっこりとした笑顔を浮かべていて、目を丸くしていたのは気のせいだったのかな? とも思った。
「あ、静……心配、かけちゃったかな? ごめん」
「いいのよ。それより大丈夫?」
「うん……ヴェル君が心配して部屋まで付き添ってくれたから、問題ないよ」
その言葉に、静の眉がぴくっと動いた気がした。だけど、静はいつもと同じ笑顔を浮かべていて、私を心配そうに見つめてくれている。
やっぱり気のせいだよね。
「……そう、それなら良かったわ。私も心配していたのよ」
「ごめんね、心配かけちゃって……」
二人に心配をかけてしまった事が申し訳なく思うと同時に、ということは真兄にも心配かけちゃったんだろうなって事に気付いた。
「あれ、真兄は?」
「真兄さんなら、まだ宴会場に居るわよ。私はヴェル君を迎えに来たから、もう少しだけ三人でこの後堪能するつもりよ」
「そっか……私のせいで台無しにしちゃったら申し訳なかったから……よかった」
静の言葉に私はホッと胸を撫で下ろした。私が変に酔っぱらってしまったせいで、みんなが楽しめなかったとしたら、それは凄く申し訳ないし、本意じゃない。私抜きでも楽しんでもらえたら、それが一番うれしい事だ。
「それより、雪ちゃん……」
「うん?」
「ごめんなさいね……邪魔、してしまったようね」
「……えっ?」
申し訳なさそうな静の表情と、その口調からして、なんとなく何の邪魔をしてしまった事を言っているのか理解できた。だからこそ、戸惑いと、恥ずかしさがふつふつと沸き上がり、困惑の声が漏れた。
「だって、告白……していたのでしょう?」
「え、なん……で」
「この雰囲気、なんとなくでも勘付くわよ」
やっぱり気付かれていたか、と思った。聞かれていたのではないかとも思ったけれど、静からそういう風に言ってこないって事は、聞いていたのではなくて不可抗力で入室して感づいたという事なんだろう。
「……っ!」
「……ぁ」
唇が触れ合うまであと数センチ、という距離。その瞬間に聞こえた静の声に、ヴェル君は息を呑むように飛び起き、私も小さな声を漏らし第三者のお出ましに残念さを感じると同時に、少しだけホッとしていた。
たぶん、あのまま顔が近づいていたらキス、をしていたと思う。だけど、私はキスをした経験がなかった。だからこそ、未知の行為でドキドキした半面少しだけ怖さもあった。
「雪ちゃん?」
そう問いかけながら、静がゆっくりと私の部屋へと足を踏み入れた。布団に横になる私の姿と、そんな私を見下ろす距離の近いヴェル君を見て、静の目が丸く見開いたように見えた。けど、すぐににっこりとした笑顔を浮かべていて、目を丸くしていたのは気のせいだったのかな? とも思った。
「あ、静……心配、かけちゃったかな? ごめん」
「いいのよ。それより大丈夫?」
「うん……ヴェル君が心配して部屋まで付き添ってくれたから、問題ないよ」
その言葉に、静の眉がぴくっと動いた気がした。だけど、静はいつもと同じ笑顔を浮かべていて、私を心配そうに見つめてくれている。
やっぱり気のせいだよね。
「……そう、それなら良かったわ。私も心配していたのよ」
「ごめんね、心配かけちゃって……」
二人に心配をかけてしまった事が申し訳なく思うと同時に、ということは真兄にも心配かけちゃったんだろうなって事に気付いた。
「あれ、真兄は?」
「真兄さんなら、まだ宴会場に居るわよ。私はヴェル君を迎えに来たから、もう少しだけ三人でこの後堪能するつもりよ」
「そっか……私のせいで台無しにしちゃったら申し訳なかったから……よかった」
静の言葉に私はホッと胸を撫で下ろした。私が変に酔っぱらってしまったせいで、みんなが楽しめなかったとしたら、それは凄く申し訳ないし、本意じゃない。私抜きでも楽しんでもらえたら、それが一番うれしい事だ。
「それより、雪ちゃん……」
「うん?」
「ごめんなさいね……邪魔、してしまったようね」
「……えっ?」
申し訳なさそうな静の表情と、その口調からして、なんとなく何の邪魔をしてしまった事を言っているのか理解できた。だからこそ、戸惑いと、恥ずかしさがふつふつと沸き上がり、困惑の声が漏れた。
「だって、告白……していたのでしょう?」
「え、なん……で」
「この雰囲気、なんとなくでも勘付くわよ」
やっぱり気付かれていたか、と思った。聞かれていたのではないかとも思ったけれど、静からそういう風に言ってこないって事は、聞いていたのではなくて不可抗力で入室して感づいたという事なんだろう。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる