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第2章【交わる二人の歯車】
15罪 告白⑦
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「ん、おいしいわ」
「ほんとだ、凄いおいしい」
「俺のも美味いぞ」
「ん……おいしぃー……」
静もヴェル君も真兄も、それぞれ選んだ飲み物は美味しかったようだ。もちろん、静と同じ飲み物を選んだ私だって同じく美味しかった。甘くて、柑橘系の香りがすぅっと鼻を抜けていく感じ。その感覚がとっても美味しくて、私はちびちびと何度もグラスを口に運んだ。
「んー……病みつきになりそぉー……」
ぽかぽかと体が温まってくる感覚を覚えながら、私は飲むペースを落とせなかった。えへへーとだらしなく笑みを浮かべながら、ちびちびと飲んでいたペースが次第にごくごくと変わっていく。なくなったら、また貰いに行けばいいよね!
「ゆ、雪ちゃん?」
「なぁに? ヴェル君」
「大丈夫……?」
「うん! 大丈夫だよぉー? すっごく美味しくて、すっごく楽しくて、すっごく幸せー」
私の事を心配そうに見つめてくるヴェル君。なんでそんなに心配そうにしているのかは分からないけど、私は彼の問いかけに満面の笑みを浮かべて大きく頷いて答えた。
「雪ちゃん……私と同じものを飲んでる、のよね?」
「うんー? そーだよぉー? おんなじだよぉー?」
にこーっと笑みを浮かべ、私はぐびっと飲み物を呑みこみ、胃に落とし込む。そして、近くの小さなテーブルに持ちっぱなしだったお皿を置くと、持ってきたケーキ類に手を伸ばした。お皿の端に乗せておいた小さめのフォークでケーキを刺すと、それをゆっくりと口元に運ぶ。
「あむっ……んん……おいひぃ……」
しつこくない甘さのケーキがとってもおいしくて、フォークを持っている手で頬を触ると大きな笑顔を作った。ほっぺたが落ちそうなくらい美味しくて、貰ったジュースと一緒に飲んだら、きっともっと美味しいんだろうなって思った。
「……ヴェル君も、食べてー? ほら、あーん」
この美味しさを誰かと分かち合いたいと思って私はケーキを一つフォークで取ると、下に手を添えてヴェル君の口元に運んだ。“あーん”なんて最近ぜんぜん耳にしないなって思いながら、ヴェル君が口を開けてくれるのを待つ。ただひたすら待つ。じーっとヴェル君を真っすぐ見つめたまま。
「ほんとだ、凄いおいしい」
「俺のも美味いぞ」
「ん……おいしぃー……」
静もヴェル君も真兄も、それぞれ選んだ飲み物は美味しかったようだ。もちろん、静と同じ飲み物を選んだ私だって同じく美味しかった。甘くて、柑橘系の香りがすぅっと鼻を抜けていく感じ。その感覚がとっても美味しくて、私はちびちびと何度もグラスを口に運んだ。
「んー……病みつきになりそぉー……」
ぽかぽかと体が温まってくる感覚を覚えながら、私は飲むペースを落とせなかった。えへへーとだらしなく笑みを浮かべながら、ちびちびと飲んでいたペースが次第にごくごくと変わっていく。なくなったら、また貰いに行けばいいよね!
「ゆ、雪ちゃん?」
「なぁに? ヴェル君」
「大丈夫……?」
「うん! 大丈夫だよぉー? すっごく美味しくて、すっごく楽しくて、すっごく幸せー」
私の事を心配そうに見つめてくるヴェル君。なんでそんなに心配そうにしているのかは分からないけど、私は彼の問いかけに満面の笑みを浮かべて大きく頷いて答えた。
「雪ちゃん……私と同じものを飲んでる、のよね?」
「うんー? そーだよぉー? おんなじだよぉー?」
にこーっと笑みを浮かべ、私はぐびっと飲み物を呑みこみ、胃に落とし込む。そして、近くの小さなテーブルに持ちっぱなしだったお皿を置くと、持ってきたケーキ類に手を伸ばした。お皿の端に乗せておいた小さめのフォークでケーキを刺すと、それをゆっくりと口元に運ぶ。
「あむっ……んん……おいひぃ……」
しつこくない甘さのケーキがとってもおいしくて、フォークを持っている手で頬を触ると大きな笑顔を作った。ほっぺたが落ちそうなくらい美味しくて、貰ったジュースと一緒に飲んだら、きっともっと美味しいんだろうなって思った。
「……ヴェル君も、食べてー? ほら、あーん」
この美味しさを誰かと分かち合いたいと思って私はケーキを一つフォークで取ると、下に手を添えてヴェル君の口元に運んだ。“あーん”なんて最近ぜんぜん耳にしないなって思いながら、ヴェル君が口を開けてくれるのを待つ。ただひたすら待つ。じーっとヴェル君を真っすぐ見つめたまま。
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