異世界召喚されたら好きな人を親友に寝盗られた~七つの大罪(グリモワール)の一人だった私は、記憶を取り戻しながら好きな人も取り戻す!~

卯月えり

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第2章【交わる二人の歯車】

10罪 知りえなかった裏切り② ‪‪❤︎‬

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「ね……私を選んでよ。雪ちゃんなんかより、私の方が魅力的でしょう?」
「う……あっ……だ、だめっ」
「ね、私の方がいいって言ってちょうだい、ヴェルくん。私の方が魅力的で、素敵で、そして……こうやって気持ちよくしてあげられるわ」

 ね、私の方がいいでしょう? と笑いながら、静は何度も何度も腰を持ち上げ──勢いよく落とした。
 ばちゅんばちゅんと音を立て、快感を増していくその行為にヴェルの思考は少しずつ鈍くなっていった。

(イヤ……だ。雪……ちゃんっ‼)

 そう心では思うのに、体は思い通りにならない。頭は少しずつ朦朧としていき、拒絶したい気持ちよりも体の快感の方が勝っていった。
 腰はゆっくりと快感をむさぼる様に揺れ動き、静の膣を刺激していく。

「あっ……あ、ん……」

 その動きに、静はヴェルが少しずつ自分に堕ち始めていると理解した。心は無理でも、体は堕とせると。にやりと笑みを浮かべると甘い声をあげ。

「イきたいんでしょう? なら……私を選びなさい」

 そういって、体をグラインドさせるように動かした。刺激される体勢が変わり、生まれる快感も変わった。その気持ちよさに、頭がおかしくなりそうだった。

「う……くっ」

(……そんなに雪ちゃんが良いって言うの?)

 けれど、どんなに刺激をして気持ちよくさせてもヴェルは静を選ぶとは言わなかった。頑なに、愛している雪を思い、その心を静に上げようとはしなかった。体はどんなに奪われても、心だけは……そういう強い意志を感じさせた。

(だったら……)

 だからといって、それで引き下がるほど静は甘くなかった。雪とは親友だし、大切に思ってはいる。だけど、静はなんでも一番じゃなくては嫌だった。雪よりも自分を一番に思ってほしかった。真も、ヴェルも、一番に愛し、一番に優先するのは自分でないと我慢がならなかった。

「私を選んでくれないというのなら、このこと、雪ちゃんに話すわ。ヴェルくんに寝込みを襲われた……って嘘をついてね」
「なっ⁉」
「ヴェルくんが違うと言っても、雪ちゃんはヴェルくんと私のどちらを信じるかしら?」

 静の言葉に、ヴェルは口ごもった。言えば信じてもらえるかもしれない。だけど、同郷で年来の付き合いの静と雪。信憑性を帯びてしまうのはどちらか。
 ヴェルはサァァっと血の気が引く感覚を覚えた。

「それに……私、ヴェルくんが私を選んでくれないのなら、行方をくらますつもりでもあるわ。神国に行ってもいいわね……それで今後のあなた達の行動を向こうに伝えるの。言い手土産になりそうよね」
「……か、勝手にすれば──」
「私が居なくなって、そして裏切ったと知ったら……雪ちゃんは酷く傷つくかもしれないわね。ヴェルくんに襲われたから裏切ったと聞かされたら、雪ちゃんはヴェルくんのこと嫌いになっちゃうかもしれないわよね」
「──くっ」
「ね……今、どうすべきか、ヴェルくんには理解できるんじゃなくて?」

 ヴェルの耳元に顔を近づけ、吐息交じりに呟いた。その瞬間、静は激しく下半身を振った。ヴェルのペニスを強く強く激しく刺激していく。
 強く激しい快感に、ヴェルの思考はどんどん鈍くなっていく。イきたくてイきたくて、思考がおかしくなりそうだった。
 正常な時のヴェルだったら、きっと気付いただろう。今ここで防音魔法を解き大きな声で助けを呼べば問題なかったと。けれど、この時、もうすでにそれを思いつけるほど頭に余裕はなくなっていた。

「……わか、った……あんたの言う通りに、する」
「……ふふっ。いい子ね……」

 雪を傷つけることが、ヴェルは一番嫌だった。静が裏切ったとなれば、きっと彼女の心はボロボロになるだろう。もしかしたら、ふさぎ込んでしまうかもしれない。
 そうなるのだったら、嫌でも耐えて、静の望むとおりにするのがいいのかもしれないと思った。

「ほら……イきたいんでしょう? 好きに動いていいわよ」

 そう言われ、ヴェルは下唇を噛んだ。好きに動いて気持ちよくさせたい相手は別にいる。こういう関係になりたかった相手は別にいる。

(……雪、ちゃん……ごめん……)
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