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第2章【交わる二人の歯車】

9罪‬ 夢③ ‪‪❤︎‬

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 ヴェルの答えに、小さく返事を返した静。その静けさが少しだけ居心地が悪かった。
 親友である雪を取られそうで嫌なのだろうか。それとも……何か複雑な思いが静にあるのだろうか。

「……静ちゃん?」
「なんでもないわ」

 視線を下ろしヴェルを見ない静に、ヴェルは心配そうに顔を覗き込んだ。

「もう、寝ましょう……」

 さっきは引き留めた静が、今度はお開きにしようと話を区切った。

「そうだね。おやすみ、静ちゃん。また明日ね」

 そう言うと、ヴェルは自分のテントに向かっていった。テントの入り口に手をかけると入り口をくぐり中へと入っていった。

(……分かりやすいわね、雪ちゃんも、ヴェルくんも。そして鈍感)

 ヴェルの入っていったテントを見つめ、静は不敵な笑みを浮かべた。両思いだけど、それを知らない彼ら。雪もヴェルも、相手の気持ちに気付いていない。

* * *

 夢を見ていた。夢を。

「……ヴェル君、私‼ ヴェル君が好き!」

 そう言って、ヴェルに抱き着く雪。嬉しくてヴェルは雪を強く抱きしめ返し、見つめ合う。長い間見つめ合っていたような、でも見つめ合っていた時間は短かったような。そんな時間ヴェルと雪は見つめ合い、そして顔がゆっくりと近づいて行った。

「……ん」

 唇が重なり合い、離れる。それを幾度か繰り返していくと、それが物足りなく感じて、次第に口づけの時間が長くなっていく。
 唇を重ね合うだけのキスが、徐々に啄むようになり。次第に舌を絡め合う濃厚なキスになっていく。唇が離れる瞬間に漏れる吐息は熱く、甘く、お互いの唇を繋ぐように伝う糸。

「……ふ、ぁ」

 くちゅりと音が鳴り、舌が絡み合う。お互いの唾液を流し込むように濃厚に口づけを交わした。お互いの口の中をくまなく探る様に舌を生き物のように動かす。そうすれば、相手の弱いところを見つけ出す。

「んんっ」

 びくりと体を震わせる雪の姿に、ヴェルは嬉しそうに笑みを浮かべた。

「気持ち……いい?」
「……ぅ、ん……ヴェル君、は?」
「俺も気持ちいいよ……ねぇ」

 うっとりとする雪の表情に、ヴェルは硬骨な笑みを浮かべ。

「舐めて?」

 ズボンの前をはだけさせ、下着の中から自身を取り出すと、それを雪に近づけた。
 それをまじまじと見つめ、ごくりと息を呑む雪。

「イヤ?」
「う、ううん……初めて、だから……」
「大丈夫だよ。ゆっくりでいいから……歯だけ立てないでね」

 そう言われると、雪はゆっくりと跪きヴェルのソレへと顔を近づけた。むわっとかおるヴェルのペニスのニオイ。雪は恐る恐る、ソレを口にほおばった。
 大きくて、太くて、硬いソレは根元まで飲み込もうとすると喉の奥に届きそうに吐きそうになる。

「……ぅ……」
「……くっ」

 唾液を含ませ、音を立てて雪がペニスを舐める。舌でスジをなぞる様に舐める様子に本当に初めてか疑いたくなるヴェル。けれど、その気持ちよさに、意識は逸れていく。

「……ねぇ」
「……ん?」

 問いかける声にヴェルは視線を向けようと、気持ちよさに吐息を吐き出しながら細めた目を開こうとした。

「……気持ちいいかしら?」

 ヴェルのペニスをぱくりと咥えながら問いかける。吐息が亀頭にあたり、ぞくぞくっとした快感を覚えさせる。
 そして、口をすぼめ吸引するようにペニスを刺激しながら激しく顔を前後に動かしてヴェルのソレを強く刺激した。
 じゅぼっじゅぼっと唾液と先走り汁が混ざり合い、卑猥な音をたてる。どんどんペニスは固さを増し、快感はどんどん高みへ登っていく。

(イきたい。挿れたいっ)

 それは男として当然の反応だった。

「……ぇ?」

 細めた目を開き、咥えている雪を見ようと視線を向けた。
 だが、ヴェルが目にしたのは雪ではなくて──

「……静、ちゃん?」

 静だった。

* * *

「……ぅ」

 変な夢を見た。そう思って、ヴェルの意識がゆっくりと浮上した。
 けれど、夢の中と似たようなふわふわした感覚を覚えた。もどかしいような、くすぐったいような、ぞわぞわするような、よくわからない感覚。

(夢精でも……したか?)

 そう思って、ゆっくりと閉じていた目を開いた。その時飛び込んできた光景に、ヴェルは驚きで声が上げられなかった。
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