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第2章【交わる二人の歯車】
9罪 夢②
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(俺は……)
「ヴェルくん……教えて? どんな子が、好きなの?」
「俺は……頑張り屋で、何に対しても真っすぐで……だけど、本当は弱くて守ってあげなきゃって思うような子……かな」
誰、とは言わなかった。だけど、その好きなタイプは雪を彷彿させた。
「……雪の事が、好きなの?」
「……っ⁉」
静の問いかけにヴェルは何も答えられなかった。息を呑み、言葉が詰まる。喉から声が出てこない。
「ねえ……ヴェルくん」
「ほ、ほら‼ 早く寝ないと、明日に響くよ‼」
答えをせがむ静に、ヴェルは話を逸らすように、はぐらかすようにすくっと立ち上がった。そして、静に背中を向けて自分のテントの方に体を向ける。
「そんなに慌てないで、ヴェルくん。別にからかうつもりはないわ」
「……」
静の手がヴェルの手を掴んだ。行かせない、と言わんばかりに引き留める静の手に、ヴェルは困惑した表情を浮かべ振り返った。静を真っすぐ見つめ、彼女の言葉を待った。
「座って」
そう言われれば、もう一度座るしかない。からかうつもりがないのなら、いったい何だっていうのだろうかと、ヴェルは静の出方を伺った。
「私だったら、ヴェルくんの役に立てると思うわ?」
(それはまあ……確かに。静ちゃんは雪ちゃんの親友だし……)
静なら雪の事をいろいろと知っているだろう。ヴェルは戸惑い、迷い、静を見つめた。
どうするべきか。やはりはぐらかすべきか。いろいろな対応が脳裏を横切るが、ヴェルは何もすることが出来なかった。
「雪ちゃんの事が……好きなのね?」
「……ああ」
「いつから?」
「分からない。気付いたら……気になって目で追ってた」
静の質問に、素直にヴェルは答えていく。その様子に、静は満足そうに笑みを浮かべると頷いた。
「まあ、雪ちゃんは危なっかしくて放っておけない子だものね」
私もそうよ、と笑う静にヴェルは苦笑した。確かに静の言う通り、雪は危なっかしくて、そして傷つきやすくて、放っておけないタイプだ。助けてあげなくちゃと思わせるような子だ。
「そう、だな。確かに……助けてあげたいと思う子だ」
「……それは、本当に恋愛感情?」
「え?」
いきなりな静の問いかけに、意味が分からないと言わんばかりにヴェルは静を真っすぐ見つめた。
「だって、出会ってまだ間もないのよ? それが本当に恋愛感情だと言える?」
「それは……」
静の言葉は確かに一理あっていた。出会ったばかりで、今までにないタイプの雪。気にかかり目で追い、何かしてあげたいと思い……それを恋愛感情だと錯覚する事だってあるかもしれない。
だけど。
「……いや、恋愛感情だってはっきり言える。俺は雪ちゃんが好きだ」
「……そう」
「ヴェルくん……教えて? どんな子が、好きなの?」
「俺は……頑張り屋で、何に対しても真っすぐで……だけど、本当は弱くて守ってあげなきゃって思うような子……かな」
誰、とは言わなかった。だけど、その好きなタイプは雪を彷彿させた。
「……雪の事が、好きなの?」
「……っ⁉」
静の問いかけにヴェルは何も答えられなかった。息を呑み、言葉が詰まる。喉から声が出てこない。
「ねえ……ヴェルくん」
「ほ、ほら‼ 早く寝ないと、明日に響くよ‼」
答えをせがむ静に、ヴェルは話を逸らすように、はぐらかすようにすくっと立ち上がった。そして、静に背中を向けて自分のテントの方に体を向ける。
「そんなに慌てないで、ヴェルくん。別にからかうつもりはないわ」
「……」
静の手がヴェルの手を掴んだ。行かせない、と言わんばかりに引き留める静の手に、ヴェルは困惑した表情を浮かべ振り返った。静を真っすぐ見つめ、彼女の言葉を待った。
「座って」
そう言われれば、もう一度座るしかない。からかうつもりがないのなら、いったい何だっていうのだろうかと、ヴェルは静の出方を伺った。
「私だったら、ヴェルくんの役に立てると思うわ?」
(それはまあ……確かに。静ちゃんは雪ちゃんの親友だし……)
静なら雪の事をいろいろと知っているだろう。ヴェルは戸惑い、迷い、静を見つめた。
どうするべきか。やはりはぐらかすべきか。いろいろな対応が脳裏を横切るが、ヴェルは何もすることが出来なかった。
「雪ちゃんの事が……好きなのね?」
「……ああ」
「いつから?」
「分からない。気付いたら……気になって目で追ってた」
静の質問に、素直にヴェルは答えていく。その様子に、静は満足そうに笑みを浮かべると頷いた。
「まあ、雪ちゃんは危なっかしくて放っておけない子だものね」
私もそうよ、と笑う静にヴェルは苦笑した。確かに静の言う通り、雪は危なっかしくて、そして傷つきやすくて、放っておけないタイプだ。助けてあげなくちゃと思わせるような子だ。
「そう、だな。確かに……助けてあげたいと思う子だ」
「……それは、本当に恋愛感情?」
「え?」
いきなりな静の問いかけに、意味が分からないと言わんばかりにヴェルは静を真っすぐ見つめた。
「だって、出会ってまだ間もないのよ? それが本当に恋愛感情だと言える?」
「それは……」
静の言葉は確かに一理あっていた。出会ったばかりで、今までにないタイプの雪。気にかかり目で追い、何かしてあげたいと思い……それを恋愛感情だと錯覚する事だってあるかもしれない。
だけど。
「……いや、恋愛感情だってはっきり言える。俺は雪ちゃんが好きだ」
「……そう」
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