親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第9章 最後の桜と変わる雰囲気

122・5時間目 空気

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「いや~、山内クン、それにしてもキミはすごいじゃないカ」

「な、何がかな?」

 この人の思惑は全く読めない。割と人の考えていること──特に下心等は──読める方だがこの人は違う。こんなことってあるのだろうか。

「キミはオライス……『俺の青春ラブコメイチャイチャパラダイス』の主人公にとても似ている。ご存知かい?」

 なんだろう、そのとても長くて言いにくいタイトルの漫画……だろうか。普段漫画を読まないから全く分からない。

「いや、分からないな。初めて聞いたよ」

「興味があるなら貸そうかい?」

 またもやメガネをクイッとしながら聞いてくる馬路君。メガネ、サイズ合ってないのかな? そっちの方が気になるよ。

「んー、ありがとう。気持ちは嬉しいけど遠慮しておくよ」

 そういって、僕はひと通りまとめていた教科書類を持って、イスから立ち上がった。

「アァ、またネー。山内クン」

 僕はにこりと笑顔を作って自分のクラスまで歩いた。

 教室に入ると、進学コースのような重苦しい空気は感じられず、クラスメイトの談笑が耳に心地よく響いた。

 去年と同じ席に座っている敦志といつものように話している三石みいしの方を見た。彼らには笑顔が常に溢れていて、心底から楽しそうだった。

「おっ、裕太おかえり」

 僕が戻ってきたことに気がついた敦志が声をかけてくれた。

「おつかれ~!」

 三石は笑顔で駆け寄ってきた。わざわざ来なくてもこっちから行くのに。

「うん、ただいま? でいいのかな? あ、待ってね。教科書置いていくから」

 僕は教科書を置きに自身の席に一度戻り、教科書を片付けてから二人とところに戻った。

「それにしても、担任遅いな。何やってるんだろう」

「先生は確かスポーツのコースの方も受け持っているからそれで遅いんじゃないかな」

「スポーツコースか。確か部活動入部必須だっけ?」

「うん、しかも運動部のね。まぁ、基本的にスポーツ推薦の子が多いから皆エリートだけど」

 敦志は俺野球で入れると思ってたと笑いながら言う。うん、敦志がどんなプレーをしていたか分からないけど敦志の運動能力ならいけるんじゃないかな。

「そういえば、体育大会もうすぐだな」

 そっか。もうすぐ体育大会の日じゃないか。しかも今年で最後だし、頑張りたいな。

「今年はどの競技でるか決めた? 明日決めるけど」

「うーん、ドッチボールかな」

「俺はソフトボール」

 三石がドッチボールをするのは珍しい。二年続けて走る競技だったからかな。

 敦志は予想通りといったところ。去年から追加された競技だけど、去年は人気で参加出来なかったからか今年こそはと少し燃えているようだ。

 僕は何しよう、一応これでも体育大会運営委員なんだけどな。決めないといけないけど決まらないな。

「バスケとかいいんじゃね?」

「バスケか……」

 敦志からの提案を僕は飲むことにした。バスケ、良いかも。

 担任の先生が帰ってきて、僕らはホームルームのために自席に戻った。よし、競技は決まった。
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