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第8章 〝幸せ〟の選択 ─さよならの決意─
115時間目 新年を祝って
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白膠さんと葉瀬が来てから少しごちゃごちゃとしたが、滞りなく、パーティーは始まった。
「……」
時おり、遼太郎と葉瀬のにらみ合いが始まるが、それ以外は俺たち男性陣は平和だ。
三嶋さんと花園さんは今日も忙しそうにでも楽しく動き回っている。
一方、女性陣はいわゆる恋バナに夢中だった。
「さぁ、小春ちゃん。クリスマスにあったこと、根ぼり葉ぼり聞かせてもらうわよ?」
なんでクリスマスに俺たちがデートしたこと知ってるんだ神谷さんとつっこみたくなったが、俺はおとなしくコーヒーをすすっておこう。
「な、なんで知っているんですか!? 誰にも言ってないのに!」
ちらりと小春以外の女性陣から俺にジト目を送られるが無視する。店内が暑すぎてか今ごろ、背中にはじわりと冷たい汗が流れているだろう。
「あァ? 敦志、どうしたンだ?」
「や、なんでもないっす」
黒沢センパイが心配するが俺はあいまいにお茶を濁した。
「──で、どこに行ったのかしら? 遊園地もいいわね、それともショッピングセンターで買い物もあるわね、あ、もしかしてお家でお泊まりデートとか?」
見なくてもにやにやとからかうような顔をしているのがまるかわりな神谷さんの口調。
今ごろ、小春は顔を真っ赤にしてうつむいているだろう。俺もお泊まりという言葉にはダイレクトにきた。
もう想像するとね、色々とヤバイ。
俺はまだだらだらと流れる冷や汗を無視するため、コーヒーをすすった。ちょうどなくなったのでおかわりを三嶋さんに頼んだ。
「敦志、コーヒー飲むペースはやいね」
「のど渇いていたんだよな……。ははっ……」
裕太の疑問にも乾いた笑いしか浮かんでこない。
注文したコーヒーが届いて、ひとくち飲もうとした頃。
「──じ、実はですね。敦志君と、その……す、水族館にデートに行って……」
「水族館!? 良いわね!」
「わっ、ロマンティック……!」
「水族館! 久しぶりに聞いたのー!」
席のかげんでちょうど小春の顔が見えないのがまだましだった。
でも、次の言葉で俺はもう我慢の限界だった。
「しかも夜なんてね~、えっちね二人とも」
「ぶふっー!」
「おわッ!」
「うわっ!」
「はっ!?」
「「きたねェな‼」」
口に含んでいたコーヒーを吹いてしまった。
無理無理。笑いこらえることできねぇって。
黒沢センパイと葉瀬、ハモるなよ。つぼるじゃねぇか。
いそいそとコーヒーの処理をする俺、それのフォローにはいる裕太と遼太郎。
なんだと俺をみる女性陣。
ふたつの着恥ずかしさのあまり、俺の顔はもう真っ赤だった。
***
誰でもいいの。私たちの恋に終わりを見させてほしい。
たくさんお互いを傷つけ合った。苦しめあった。
この恋に希望なんて──ない。
早く、終わらせよう。
私がこの街をでていく前に──
「……」
時おり、遼太郎と葉瀬のにらみ合いが始まるが、それ以外は俺たち男性陣は平和だ。
三嶋さんと花園さんは今日も忙しそうにでも楽しく動き回っている。
一方、女性陣はいわゆる恋バナに夢中だった。
「さぁ、小春ちゃん。クリスマスにあったこと、根ぼり葉ぼり聞かせてもらうわよ?」
なんでクリスマスに俺たちがデートしたこと知ってるんだ神谷さんとつっこみたくなったが、俺はおとなしくコーヒーをすすっておこう。
「な、なんで知っているんですか!? 誰にも言ってないのに!」
ちらりと小春以外の女性陣から俺にジト目を送られるが無視する。店内が暑すぎてか今ごろ、背中にはじわりと冷たい汗が流れているだろう。
「あァ? 敦志、どうしたンだ?」
「や、なんでもないっす」
黒沢センパイが心配するが俺はあいまいにお茶を濁した。
「──で、どこに行ったのかしら? 遊園地もいいわね、それともショッピングセンターで買い物もあるわね、あ、もしかしてお家でお泊まりデートとか?」
見なくてもにやにやとからかうような顔をしているのがまるかわりな神谷さんの口調。
今ごろ、小春は顔を真っ赤にしてうつむいているだろう。俺もお泊まりという言葉にはダイレクトにきた。
もう想像するとね、色々とヤバイ。
俺はまだだらだらと流れる冷や汗を無視するため、コーヒーをすすった。ちょうどなくなったのでおかわりを三嶋さんに頼んだ。
「敦志、コーヒー飲むペースはやいね」
「のど渇いていたんだよな……。ははっ……」
裕太の疑問にも乾いた笑いしか浮かんでこない。
注文したコーヒーが届いて、ひとくち飲もうとした頃。
「──じ、実はですね。敦志君と、その……す、水族館にデートに行って……」
「水族館!? 良いわね!」
「わっ、ロマンティック……!」
「水族館! 久しぶりに聞いたのー!」
席のかげんでちょうど小春の顔が見えないのがまだましだった。
でも、次の言葉で俺はもう我慢の限界だった。
「しかも夜なんてね~、えっちね二人とも」
「ぶふっー!」
「おわッ!」
「うわっ!」
「はっ!?」
「「きたねェな‼」」
口に含んでいたコーヒーを吹いてしまった。
無理無理。笑いこらえることできねぇって。
黒沢センパイと葉瀬、ハモるなよ。つぼるじゃねぇか。
いそいそとコーヒーの処理をする俺、それのフォローにはいる裕太と遼太郎。
なんだと俺をみる女性陣。
ふたつの着恥ずかしさのあまり、俺の顔はもう真っ赤だった。
***
誰でもいいの。私たちの恋に終わりを見させてほしい。
たくさんお互いを傷つけ合った。苦しめあった。
この恋に希望なんて──ない。
早く、終わらせよう。
私がこの街をでていく前に──
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