親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

文字の大きさ
上 下
217 / 244
第8章 〝幸せ〟の選択 ─さよならの決意─

114時間目 あけましての日常

しおりを挟む
 クリスマスから数日後。

 大晦日をまたいで、新たな年がやってきた。

 テレビではつい数秒前までカウントダウンが行われていて、今は新年を皆ほくほく顔で祝っている。

 数秒おきに鳴る俺のスマホ。

 相手は分かっている。

 裕太、遼太郎、小春はもちろん、黒沢くろさわセンパイや神谷かみやさんたちも送ってきたに違いない。

 いっておくが、このリビングには誰もいない。母親もさきさき寝てしまったし、父親なんかメシを食ったらもう寝室に消えていた。

 両親ももう年なんだなと時間の経過にちょっとしんみりした。

『あけましておめでとう!』

『あけおめー!』

『あけましておめでとうございます。敦志君、今年もよろしくね』

『ことよろ』

『敦志君、あけましておめでとう。今年も小春ちゃんとイチャイチャしなさいよ笑』

 などなど、十人十色のメッセージがきていた。

 それぞれ返事を返しつつ、俺はそういえば今年は受験生なんだと思った。

 今のところ、大学を受ける。しかも、なにかしらの推薦で、だ。

 今の俺の成績は中の上、良くて上の下といったところだ。

 資格もそれなりに取っているが、本当に推薦されるのだろうかと不安が襲いかかる。

 でも、

『敦志君なら大丈夫だよ』

 クリスマスの日、小春が言ってくれた言葉が俺の脳内を何度も反射に駆け巡って離れない。

 この言葉が俺が着実に進んでいることを知らせている。

「そろそろ……寝るか」

 ひと通り、メッセージを送ったあと、俺は自室にあがってそのままベッドに倒れこんだ。

 朝がやって来たことを知ったのは、太陽の光に眩しさを覚えた頃だった。

 時計を見てみると、十時を過ぎていた。うわぁ、もうこんな時間か。

 なんで俺がこの時間で驚いているのかというと、今日はMISHIHANAでパーティーをすることになっている。

 去年もしたがかなり楽しかったので今年も参加することにした。三島さんには一生頭があがらない。

 しかも、そのパーティー、昼からなのでもうすぐ始まるのだ。

 だから、こんなにも結構急いでいる。

「敦志あけましておめでとうー。今年は頑張りなさいよー」

 顔を洗いに洗面所に向かう途中、母親から新年の挨拶の言葉をかけられた。

「うん、今年もよろしく。頑張る」

 素直にそう言い、俺は洗面所に向かった。

 それから、俺は急いで服に着替えてから、家をでた。

 ねぐせ付きでいつも以上にはねている髪はもう直らないだろうから、放っておいた。

 歩いている間に風に煽られて直らねぇかな。

 MISHIHANAに向けて、歩いている途中、曲がってきた誰かとぶつかってしまった。

「っ……! すみません……」

 俺の方からぶつかったわけではないが平和的に解決するためにも一応謝った。

「ンア……。いや、こっちこそ悪ィ……って、敦志じゃねェか。久しぶりだなァ」

 ぶつかった相手は黒沢センパイだった。たしかに最後に会ったのが文化祭の頃だったから、かなり久しぶりだ。

「黒沢センパイ!? お久しぶりです。あ、あけましておめでとうございます」

「ンア、今年もよろしくな」

 今年もと言うべきか今日も黒沢センパイは安定の黒のパーカーを着ていた。この人パーカーしか着ねぇな。いや、最高に似合ってていいけどさ。もっとおしゃれしたらいいのに。

「とりあえず、こんなところで固まってるのも邪魔だしいくか」

「邪魔ってひどいっすね」

 軽口を言い合いながら、俺たちはMISHIHANAへ向かった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...