211 / 244
第8章 〝幸せ〟の選択 ─さよならの決意─
110時間目 真冬の太陽
しおりを挟む
「敦志君!」
ちょうど、駅のホームから電車がでていったとき、小春が俺を呼ぶ声が聞こえた。
きょろきょろと辺りを見渡してみると、すぐ近くに彼女はいた。
「小春!」
俺は思わず駆け出してしまったので、足のブレーキがきかずに小春を抱きしめるような形になってしまった。
やっべ……。小春がこんな近いところにいるなんて。
すごくドキドキする。あとめっちゃいい匂いする。
「あ、の、ごめん、ね」
「あ、あぁ、俺こそごめん。ちょっと、勢い余ったというか、その、ごめん」
かける言葉がでてこず、すぐに離れてお互い謝る形になった。あぁ、絶対顔が赤くなってる自信がある。
そういえば、恋人らしいスキンシップはやったことがない。手を繋ぐのはすんなりと出来たが、ハグやキスは無理。その先は……いや、これ以上考えるのはやめよう。
「おいおいー、二人ともイチャイチャしてたら電車いっちゃうよー」
「イチャイチャなんかしてないからな!?」
「そ、そうそう! 敦志君の言う通りだよ!? 行こう、敦志君」
小春に手を引っ張られ、俺たちは車内に急いで乗った。ちょうど席に座ったころ、電車は今日のメインの目的地である水族館に向けて、出発したのだった。
そして、電車を乗り継ぎ、水族館に到着した。
「あっ、敦志君。クリスマスツリーがあるよ!」
「本当だな。それにすごい人だ」
水族館前には大きなクリスマスツリーとこの水族館の名物であるペンギンの置物があって、それを背景に写真を撮っている若いカップルや家族連れが大勢いた。
「あとで、写真撮ろうね」
「あぁ」
小春とのデートの思い出の約束をして、館内にはいり、料金を払った。
薄暗い館内はどこか幻想的な雰囲気があった。
「くらげだ! 可愛いね!」
来場者を迎えるくらげがぷかぷかと能天気に、そして、穏やかに浮かんでいた。
それから歩いていると初めに『神秘の進化』というコーナーにきた。
そこには35億年前から、現代までの生物の進化を説明する場所だった。
そこの説明によると、メガロドンと呼ばれる古代のサメの歯の展示やイルカの祖先であるイクチオサウルスと呼ばれる魚竜の復元模型を展示していた。
正直、ほとんどの内容は初めて知ったものだったが、馴染みのない生物について面白さを感じた。
「古代の魚たちってすごいな。あんなに大きいなんてな!」
遼太郎が興奮した口調で言った。そういや、こういう歴史とか好きだもんな。
「結構勉強になるし、この水族館いいね」
「だな。小春、次は何を見る?」
「うーん、敦志君行きたいところある?」
「いや、俺はない」
「じゃあ、あそこに行こう?」
そう言って、小春が指差したのは先ほどから目に入っていた優大小様々の大きさの魚が泳ぐ大きな水槽だった。
ちょうど、駅のホームから電車がでていったとき、小春が俺を呼ぶ声が聞こえた。
きょろきょろと辺りを見渡してみると、すぐ近くに彼女はいた。
「小春!」
俺は思わず駆け出してしまったので、足のブレーキがきかずに小春を抱きしめるような形になってしまった。
やっべ……。小春がこんな近いところにいるなんて。
すごくドキドキする。あとめっちゃいい匂いする。
「あ、の、ごめん、ね」
「あ、あぁ、俺こそごめん。ちょっと、勢い余ったというか、その、ごめん」
かける言葉がでてこず、すぐに離れてお互い謝る形になった。あぁ、絶対顔が赤くなってる自信がある。
そういえば、恋人らしいスキンシップはやったことがない。手を繋ぐのはすんなりと出来たが、ハグやキスは無理。その先は……いや、これ以上考えるのはやめよう。
「おいおいー、二人ともイチャイチャしてたら電車いっちゃうよー」
「イチャイチャなんかしてないからな!?」
「そ、そうそう! 敦志君の言う通りだよ!? 行こう、敦志君」
小春に手を引っ張られ、俺たちは車内に急いで乗った。ちょうど席に座ったころ、電車は今日のメインの目的地である水族館に向けて、出発したのだった。
そして、電車を乗り継ぎ、水族館に到着した。
「あっ、敦志君。クリスマスツリーがあるよ!」
「本当だな。それにすごい人だ」
水族館前には大きなクリスマスツリーとこの水族館の名物であるペンギンの置物があって、それを背景に写真を撮っている若いカップルや家族連れが大勢いた。
「あとで、写真撮ろうね」
「あぁ」
小春とのデートの思い出の約束をして、館内にはいり、料金を払った。
薄暗い館内はどこか幻想的な雰囲気があった。
「くらげだ! 可愛いね!」
来場者を迎えるくらげがぷかぷかと能天気に、そして、穏やかに浮かんでいた。
それから歩いていると初めに『神秘の進化』というコーナーにきた。
そこには35億年前から、現代までの生物の進化を説明する場所だった。
そこの説明によると、メガロドンと呼ばれる古代のサメの歯の展示やイルカの祖先であるイクチオサウルスと呼ばれる魚竜の復元模型を展示していた。
正直、ほとんどの内容は初めて知ったものだったが、馴染みのない生物について面白さを感じた。
「古代の魚たちってすごいな。あんなに大きいなんてな!」
遼太郎が興奮した口調で言った。そういや、こういう歴史とか好きだもんな。
「結構勉強になるし、この水族館いいね」
「だな。小春、次は何を見る?」
「うーん、敦志君行きたいところある?」
「いや、俺はない」
「じゃあ、あそこに行こう?」
そう言って、小春が指差したのは先ほどから目に入っていた優大小様々の大きさの魚が泳ぐ大きな水槽だった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる