親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第7章 光ある文化祭 ─優しさと後悔の罪─

104・8時間目 勇気の意味

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  あれから、主人公と地味な女子は、無事に雑用をこなして、共に帰宅をすることになった。

「ね、ねぇ! あ、あれって……!」

「通り魔じゃねぇか! やべぇ! どけっ!」

 突然現れた通り魔によって襲われそうになる二人。刺される覚悟をした主人公だが、不思議な力によって難を逃れた。

 当たり前だ。隣にいたはずの地味な女子が、枝のようなもので結界を作っていたから。

 地味な伸ばしただけの黒髪はピンク色に染まり、ツインテールになっている。

「お、お前……」

 唖然とする主人公を前に彼女は自分の招待を明かした。

「──実は、私は魔法少女なんだ」

「はぁ?」

 クルクルと枝を華麗に回しながら、話す地味な女子。

「ほ、本当にか?」

「うん。そうだよ? あれ? 君、その手どうしたの?」

 主人公の右手が人間の指ではなく、オオカミや犬のようなかぎ爪のある手になっているではないか。

「実は俺は──」

 主人公がなにかを言い出した途端、爆発音が鳴った。

「なっ? なっ! なんだよ!」

「わっ! なにか来るよ!」

 地味な女子が指差す場所から、大量のオオカミ男が飛び出してきた。

「ちっ、なんで……。クラスのやつらがオオカミなんかに……!」

 襲いかかってくるオオカミを投げたり、殴ったりして、倒していく主人公。

 しかし、倒してもきりがなく、ぞろぞろと湧いていく。

「くっそ、あれを使うしかない……!」

 そう言って主人公の体にはスモークが纏う。

 それが晴れたとき、主人公の体には変化があった。

 白髪の犬のような耳に、両手は完全にかぎ爪のついた手になり、その姿はまさしく、オオカミ少年だった。

「……ふぅ」

 変身を終えて、ひと息つく主人公。

「俺は、オオカミ少年なんだよ。生まれつき、オオカミになれるんだ」

 そう言いながら、次々と襲いくるオオカミを倒す主人公。

 しかし、様子が変だった。

「あっはは……! まだまだだろ?」

 まるで気が狂ったかのようにオオカミがいなくなっても建物を破壊する主人公。

「や、やめてよ!」

 そこまで、黙っていた地味な女子がここで口を開けた。

「……なんだ? お前。邪魔するな。俺たちの一族の邪魔をするな!」

 主人公が襲いかかろうとした瞬間、地味な女子から光が発せられる。

 まばゆい光は観客席も光らせ、目を閉ざさるを得ない。

 次に目を開けたとき、地味な女子は、魔法少女の姿になっていた。

 白とピンク色で構成された衣装は、全てを守り、魔力を扱うのにはふさわしく、それでいて、可愛さを追い求めるのには最適だった。

 そして、持っていた杖はぼろい枝ではなく、ハート型の飾りがついたこれもピンク色が基調の可愛らしい杖だった。

「……この町をあなたに絶対に壊させない」

「やってみろ……!」

 町の命運をかけた戦いが始まった。
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