親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第7章 光ある文化祭 ─優しさと後悔の罪─

104・5時間目 演じた者は

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「はー、ヤバい。緊張してきた。敦志、着替え終えたかい?」

 カーテンの向こうにいる裕太が、緊張を隠さない声で言った。

「あぁ、もう着替えたぞ。そのウィッグ、あんまり違和感ねぇな」

 そこには、いつものサラサラストレートヘアーの裕太ではなく、若干着崩した制服にウルフヘアーの裕太がいた。

 やべぇ、普通にかっけぇ。

 いつもの裕太は爽やかなイメージがあるが、これはこれでカッコよさにステータスを降ったような感じだ。

「……俺も、着替えたぞ……」

 カーテンからぴょこりと顔を覗かしたのは、茶髪のロングのウィッグに高校の女子生徒の制服を着用した遼太郎だった。

 いや、お前もう女子じゃん。

 華奢な体に、長いまつ毛。香水でもつけているのかふわっと香る甘い匂い。

「なんだよ、その顔は……」

「いや、笑わねぇやつの方がおかしいわ……!」

 こんなの笑い堪えるのは無理だって。

「その、三石、ごめん……。ククッ……!」

「もー! 二人揃って俺のことバカにして!」

 ぷんすかと怒った遼太郎をそれからなだめるのは大変だった。

「三人ともー! そろそろ開幕だから来て!」

 そんな俺たちを呼んだのは、衣装作成や舞台設営人一倍頑張った俺たちの衣装を作った生徒だ。

「あぁ、今行くよ」

 俺がそう返事し、裕太たちと共に二階にある音響や照明を操る部屋に向かうと、そこには拓也たくやをはじめとした役者や数人の音響、そして監督である担任がいた。

「全員、来たな」

 担任の声に皆、注目すると、

「ここまで皆よくついてきてくれた。準備期間や練習のさいは本当に頑張ってくれた。ここまで頑張ったのはお前たちだ。本番の一回に、全てをだしきろう」

 担任が円陣を組むように言うと、皆で気合いをいれた。

 さぁ、ここから俺たちにしかできないステージをせてやろう。

 ──

「始まったよ」

 幕開けと同時に僕はその舞台に集中するように見いった。

 そうでもしなきゃ、心臓が破裂してしまう。

 なんで左隣に心結がいるんだ……。

 きっと、これは睡蓮の仕業だろう。

 妙に距離を上手いこと詰めようとしている。しかも、たちの悪いやり方で。

 さすがに劇が始まってから退出をするほど非常識じゃないから、このまま座っておく。

 今のシーンは、青春もなにもかも諦めて生きている不良気質の高校生の主人公が、ある日、クラスメイトの地味であまり目立たない女子と偶然にも雑用を押し付けられて、それをこなしているというシーンだ。

「チッ! 面倒だな。さっさと終わらせるぞ」

「う、うん。ご、ごめんね……。──キャッ!」

 地味な女子が転びかけた時、とっさにお姫様だっこをする主人公。

 すごっ。普通にかっこいい。どこからか声援も聞こえた。

「あ、ありがとう……」

 二人はお互い気まずくなってか目をそらす。

 主人公──山内君演技上手いな。お姫様だっことか、女子生徒魅了しにいってるでしょ。

 地味な女子──三石君も慣れない女子の演技だろうに上手だ。人並みの感想しかいえないけど、すごい。

 始まった劇。まさか、ラストがあんな展開だとは僕は思いもよらなかった。
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