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第6章 二人の愛と少年の嘆き
84・5時間目 彼女と従妹
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敦志君と遊ぶ約束をしていたから、私は集合場所の敦志君の家に来たのだけど、そこには彼の従妹の南ちゃんがいた。
彼女と会うのは、文化祭以来だから、かなり久しぶりの再会になる。
「久しぶり! 南ちゃん!」
笑いかけると、南ちゃんは笑顔で、
「おはよう! 森山さん! 久しぶりやなぁ。元気にしてた?」
そう言ってくれた。
笑ったときの顔がやっぱり従兄妹だから、似ているなぁ。
「小春、ごめんな。その、南が急に来たんだよ。それで、悪いけどこいつも連れていっていいか?」
敦志君は、言いにくそうに口ごもらせてそう言った。
別に私はそんなの気にしない。
むしろ、南ちゃんがいてくれた方が会話も弾むし、楽しい買い物になるだろうから。
それに、興味があるのだ。
敦志君が兄としての顔がどんなものなのかが。
「全然大丈夫だよ。むしろ、南ちゃんもいた方が楽しいから」
「そっか。ありがとうな」
「森山さぁぁん! ありがとうなー! もう大好き! LOVE! 女神!」
敦志君は、ホッとした顔で、胸を撫で下ろす。
南ちゃんは、漫画のように泣きながら、私の胸にダイブした。
「わっ!」
胸のなかで顔を埋めて、ほわほわ顔になっている。
「森山さん、いい匂いやわぁ……」
あれ? 南ちゃん、頭から天使がでてきてない?! 大丈夫かな?
「おい、南、小春から離れろ……」
敦志君は、後ろを向いて顔を真っ赤にしながら、呟いた。
どうしたのかな?
「うへへ……」
急に不気味な声が聞こえたと思えば、私の胸を南ちゃんの手が掴んだ。
「キャッ!? み、南ちゃん?!」
南ちゃんの顔は、イタズラを思い付いた時の神谷さんのような顔をしていた。
「へへへ……。森山さぁん、やっぱり、いいモノ持ってるね……。このハリと柔らかさ、くぅぅぅ……! 羨ま死!」
南ちゃんは血涙を流しながら、そう言った。
「も、もぅ……んっ! ちょっと……、やめてよぉ……んんっ! ダメっ!」
やだ、変な声出ちゃった……。
南ちゃんは私の胸を揉むのは止めてくれない。
「お前、人様の彼女になにしとんじゃワレ」
「ギョッ‼」
南ちゃんから発してはいけない声が聞こえた。
敦志君が、南ちゃんにチョップをしたのだけど、横顔はまさに鬼の形相だった。
ちょっと、怖いけど、私のことをそれだけ大切に思ってくれているから、嬉しい。
「いたぁ……。あつにい、なんやねん! 顔真っ赤にしてたくせに!」
「はぁ? オメー、人の彼女になにしてるんだよ! 抱きつくのはまだセーフだとしても胸に顔を埋めるな。そして、揉むな」
「うわぁ……。あつにいがエロい妄想してる……。キッモ」
「テメェ、焼き鳥にしてやろうか?」
わー! 敦志君が結構本気で怒ってる‼
「と、とりあえず、落ち着こう? 敦志君! わ、私は大丈夫だから? ね、ね?」
敦志君の背後に、すごい威圧的な虎がいるもん。
怖いよ、さすがに。
──
「とりあえず、ここで時間を潰すのもあれだし、行くか」
数分経って、少し落ち着いた頃、敦志君はそう言って、鞄を手にした。
「そうだね! 南ちゃん、行こう!」
「やったー! 久しぶりやで、あつにいと買い物するの!」
へぇ、敦志君と南ちゃん、よく買い物に行くんだ。
私は心のメモにそっと情報を書き記した。
太陽が少しだけ東に傾いた頃、私たちはショッピングセンターへと足を運んだ。
彼女と会うのは、文化祭以来だから、かなり久しぶりの再会になる。
「久しぶり! 南ちゃん!」
笑いかけると、南ちゃんは笑顔で、
「おはよう! 森山さん! 久しぶりやなぁ。元気にしてた?」
そう言ってくれた。
笑ったときの顔がやっぱり従兄妹だから、似ているなぁ。
「小春、ごめんな。その、南が急に来たんだよ。それで、悪いけどこいつも連れていっていいか?」
敦志君は、言いにくそうに口ごもらせてそう言った。
別に私はそんなの気にしない。
むしろ、南ちゃんがいてくれた方が会話も弾むし、楽しい買い物になるだろうから。
それに、興味があるのだ。
敦志君が兄としての顔がどんなものなのかが。
「全然大丈夫だよ。むしろ、南ちゃんもいた方が楽しいから」
「そっか。ありがとうな」
「森山さぁぁん! ありがとうなー! もう大好き! LOVE! 女神!」
敦志君は、ホッとした顔で、胸を撫で下ろす。
南ちゃんは、漫画のように泣きながら、私の胸にダイブした。
「わっ!」
胸のなかで顔を埋めて、ほわほわ顔になっている。
「森山さん、いい匂いやわぁ……」
あれ? 南ちゃん、頭から天使がでてきてない?! 大丈夫かな?
「おい、南、小春から離れろ……」
敦志君は、後ろを向いて顔を真っ赤にしながら、呟いた。
どうしたのかな?
「うへへ……」
急に不気味な声が聞こえたと思えば、私の胸を南ちゃんの手が掴んだ。
「キャッ!? み、南ちゃん?!」
南ちゃんの顔は、イタズラを思い付いた時の神谷さんのような顔をしていた。
「へへへ……。森山さぁん、やっぱり、いいモノ持ってるね……。このハリと柔らかさ、くぅぅぅ……! 羨ま死!」
南ちゃんは血涙を流しながら、そう言った。
「も、もぅ……んっ! ちょっと……、やめてよぉ……んんっ! ダメっ!」
やだ、変な声出ちゃった……。
南ちゃんは私の胸を揉むのは止めてくれない。
「お前、人様の彼女になにしとんじゃワレ」
「ギョッ‼」
南ちゃんから発してはいけない声が聞こえた。
敦志君が、南ちゃんにチョップをしたのだけど、横顔はまさに鬼の形相だった。
ちょっと、怖いけど、私のことをそれだけ大切に思ってくれているから、嬉しい。
「いたぁ……。あつにい、なんやねん! 顔真っ赤にしてたくせに!」
「はぁ? オメー、人の彼女になにしてるんだよ! 抱きつくのはまだセーフだとしても胸に顔を埋めるな。そして、揉むな」
「うわぁ……。あつにいがエロい妄想してる……。キッモ」
「テメェ、焼き鳥にしてやろうか?」
わー! 敦志君が結構本気で怒ってる‼
「と、とりあえず、落ち着こう? 敦志君! わ、私は大丈夫だから? ね、ね?」
敦志君の背後に、すごい威圧的な虎がいるもん。
怖いよ、さすがに。
──
「とりあえず、ここで時間を潰すのもあれだし、行くか」
数分経って、少し落ち着いた頃、敦志君はそう言って、鞄を手にした。
「そうだね! 南ちゃん、行こう!」
「やったー! 久しぶりやで、あつにいと買い物するの!」
へぇ、敦志君と南ちゃん、よく買い物に行くんだ。
私は心のメモにそっと情報を書き記した。
太陽が少しだけ東に傾いた頃、私たちはショッピングセンターへと足を運んだ。
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