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第6章 二人の愛と少年の嘆き
83・5時間目 仲良しの従兄妹たち
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俺は、玄関のドアを開けて、南を家にいれた。
南は、いつも通りクマの黄色のTシャツに短パンというラフな格好だ。
「おじゃましますー! あつにいの家来たん久しぶりやわ」
確かに、そうかも知れない。
去年のこの時期くらいに南は、俺をフライングアタックで起こした。
あの時は、冗談抜きで腹がえぐれると思った。
あー、思い出しただけで少し痛くなってきたかも。
「あっ、あつにいのお母さんおはよう!」
南は、母さんを見つけると、主人の帰りを待っていた犬のように走った。
おい、お前、マジでこけるからやめろって。
南は、超がつくほどのドジだから、なにかしらやらかす。
特に朝はひどくて、知らない間に犬のフンを踏んだり、ガムを踏んだり、寝ぼけていて階段から落ちたり(基本的に怪我はしないけど)と、やらかすことの規模は大小様々だ。
ついでに言うと、本人は無自覚だから、巻き込まれた者はたまったものじゃない。
俺が巻き込まれた例として、フライングアタックもそのひとつ。
マジで腹がえぐれると思った。(二回目)
「おう、南ちゃん。おはよう! サンドイッチ作ったから食べな。敦志、あとは頼んだ」
母さんは、チラリと腕時計を見たあと、じゃあと手を振って家から飛び出すようにでていった。
「あつにい、ご飯食べようや!」
「おう、それにしても、マジで来たんだな。ビックリだわ」
「もしかして、森山さんと予定あった?」
「あー、別にデートとかじゃねぇけど」
俺は、そう言うと、南は、
「ん──!」
とサンドイッチを口のなかに入れながら叫んだ。
「おい、先に口のなかの物、飲み込んでから言え。そんなビックリすることか?」
ゴクリとサンドイッチを飲み込んだ南は、机から身を乗り出して、
「はぁぁぁ!? あのあつにいが?! 超清楚系な森山さんと!? 付き合ったん!? 信じられへん‼ えっ、なんでなん? 不良みたいな顔のあつにいが? ヤマアラシみたいにツンツンな髪の毛あつにいが? どうやって付き合ったん? まさか、脅してないやろうな!?」
「おい、マシンガントークをしたと思えば、七割悪口じゃねぇか」
小春が超清楚系の子なのは知ってる。
あんなに清純な子、いねぇだろ。
確かに、俺が小春と付き合ったことを知った人たちは、驚きの顔を浮かべる人もいた。
南は、今まで彼女全然出来ていない俺を知っているから、驚きが大きいのはまぁ、分かる。
でも、そこも、問題じゃない。
一番問題なのは、誰が不良みたいな顔じゃゴラ。
そして、ヤマアラシみたいな髪はしゃあねぇだろ!
「あと、お前、ついでに言うと、そのアホ毛なんとかしやがれ。人のこと言えねぇだろ」
「無理やもん! ウチじゃこれ直されへんもん!」
南は、ウガーッと言いながら、サンドイッチをむしゃむしゃと食べる。
ひとつ目のサンドイッチを食べ終えた南は、
「まぁ、おめでとう。そっかぁ~! とうとうあつにいにも彼女が出来たんやなぁ」
机にヘナヘナと倒れながら、ふたつ目のサンドイッチを口にいれる。
行儀悪いなオイ。
「ありがとよ。それにしても、俺らの髪質っておかしいよな。遺伝とはいえ……、ストレートヘアーだったら中学の頃から小春と付き合えていたのかもしれないな」
「のろけならいらんで……。あとあつにいは、髪の前にその不良みたいな顔先に直しや……。歩く銃刀法違反ちゃう?」
「誰が顔面凶器じゃゴラ」
まじで、その一言余計だよ。さっきの祝いの言葉が全然感情こもってねぇように聞こえるじゃねぇか。
俺たちは、それからサンドイッチを食べる謎の無言の時間が続いた。
本当に俺に敬意のないやつだな。
まぁ、それが南らしいからいいけどさ。
南は、いつも通りクマの黄色のTシャツに短パンというラフな格好だ。
「おじゃましますー! あつにいの家来たん久しぶりやわ」
確かに、そうかも知れない。
去年のこの時期くらいに南は、俺をフライングアタックで起こした。
あの時は、冗談抜きで腹がえぐれると思った。
あー、思い出しただけで少し痛くなってきたかも。
「あっ、あつにいのお母さんおはよう!」
南は、母さんを見つけると、主人の帰りを待っていた犬のように走った。
おい、お前、マジでこけるからやめろって。
南は、超がつくほどのドジだから、なにかしらやらかす。
特に朝はひどくて、知らない間に犬のフンを踏んだり、ガムを踏んだり、寝ぼけていて階段から落ちたり(基本的に怪我はしないけど)と、やらかすことの規模は大小様々だ。
ついでに言うと、本人は無自覚だから、巻き込まれた者はたまったものじゃない。
俺が巻き込まれた例として、フライングアタックもそのひとつ。
マジで腹がえぐれると思った。(二回目)
「おう、南ちゃん。おはよう! サンドイッチ作ったから食べな。敦志、あとは頼んだ」
母さんは、チラリと腕時計を見たあと、じゃあと手を振って家から飛び出すようにでていった。
「あつにい、ご飯食べようや!」
「おう、それにしても、マジで来たんだな。ビックリだわ」
「もしかして、森山さんと予定あった?」
「あー、別にデートとかじゃねぇけど」
俺は、そう言うと、南は、
「ん──!」
とサンドイッチを口のなかに入れながら叫んだ。
「おい、先に口のなかの物、飲み込んでから言え。そんなビックリすることか?」
ゴクリとサンドイッチを飲み込んだ南は、机から身を乗り出して、
「はぁぁぁ!? あのあつにいが?! 超清楚系な森山さんと!? 付き合ったん!? 信じられへん‼ えっ、なんでなん? 不良みたいな顔のあつにいが? ヤマアラシみたいにツンツンな髪の毛あつにいが? どうやって付き合ったん? まさか、脅してないやろうな!?」
「おい、マシンガントークをしたと思えば、七割悪口じゃねぇか」
小春が超清楚系の子なのは知ってる。
あんなに清純な子、いねぇだろ。
確かに、俺が小春と付き合ったことを知った人たちは、驚きの顔を浮かべる人もいた。
南は、今まで彼女全然出来ていない俺を知っているから、驚きが大きいのはまぁ、分かる。
でも、そこも、問題じゃない。
一番問題なのは、誰が不良みたいな顔じゃゴラ。
そして、ヤマアラシみたいな髪はしゃあねぇだろ!
「あと、お前、ついでに言うと、そのアホ毛なんとかしやがれ。人のこと言えねぇだろ」
「無理やもん! ウチじゃこれ直されへんもん!」
南は、ウガーッと言いながら、サンドイッチをむしゃむしゃと食べる。
ひとつ目のサンドイッチを食べ終えた南は、
「まぁ、おめでとう。そっかぁ~! とうとうあつにいにも彼女が出来たんやなぁ」
机にヘナヘナと倒れながら、ふたつ目のサンドイッチを口にいれる。
行儀悪いなオイ。
「ありがとよ。それにしても、俺らの髪質っておかしいよな。遺伝とはいえ……、ストレートヘアーだったら中学の頃から小春と付き合えていたのかもしれないな」
「のろけならいらんで……。あとあつにいは、髪の前にその不良みたいな顔先に直しや……。歩く銃刀法違反ちゃう?」
「誰が顔面凶器じゃゴラ」
まじで、その一言余計だよ。さっきの祝いの言葉が全然感情こもってねぇように聞こえるじゃねぇか。
俺たちは、それからサンドイッチを食べる謎の無言の時間が続いた。
本当に俺に敬意のないやつだな。
まぁ、それが南らしいからいいけどさ。
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