137 / 244
第6章 二人の愛と少年の嘆き
78時間目 あの日のように
しおりを挟む
日曜日はMISHIHANAを定休日にしている。
基本的に、俺たちはこの日にデートをしたり、買い物に出かけたりしている。
今日、俺と杏は大型ショッピングセンターにきていた。
杏は、昨日泣いていたが、日付が変わると、ケロッとしていた。
本当によかった。
俺は今日、杏には久しぶりに買い物に行くとだけ伝えている。
本当は婚約指輪を買いにきたのだけど、それはサプライズのため言えない。
指輪と言っても、オーダーメイドで世界にひとつだけの指輪を俺が持つ……みたいな想像をしている方には申し訳ないが、そんな時間は俺たちにはないので、既製品で申し訳ないがやらしてくれ。
〝思い立ったら、行動する〟これを、中学の頃から俺は信条としている。
昼頃なので、ファーストフード店によって簡単な昼食を取った。
杏がフィレオフィッシュを頼み、俺はダブルチーズバーガーを頼む。
「俺、だすよ」
俺が奢ることを伝えると、
「ありがとう」
と杏は俺の奢りに感謝の言葉と笑顔を見せてくれる。
付き合った当初は、お互い譲らなかったが今ではすっかりそれもない。
「楓はチーズ好きよね」
クスクスと杏は笑いながら、フィレオフィッシュを頬張る。
「高校生になってからだけどな」
「高校の頃から身長も一気に伸びたじゃない? もしかして、そのおかげじゃない?」
「かもしれないな」
身内ネタで少し盛り上がっていると、杏はなにかを思い出したような顔で、
「そういえば」
と言った。
「なに?」
「そういえば、山崎君が彼女さんにプロポーズしたの知ってる?」
思い出したことは俺にプレッシャーとなって乗っかってくるものだった。
山崎は中学の頃から付き合っていた彼女……名前は曖昧で思い出せないが、その子と別れや付き合いを繰り返して、ついにゴールインをした。
それは、春に聞いたし、式場の招待状も届いている。
心の底から祝福をしている。
次は、俺たちの番なのだ。
俺は、チーズバーガーにかぶり付き、杏とほぼ同じくらいに食べ終える。
「美味しかった。奢ってくれてありがとう」
「ううん。いつも店の掃除とか俺が気が付かない細かいところのフォローとかありがとう。今日はささやかなお返し」
俺の率直な感謝の言葉に照れたのか頬をポリポリと掻きながら、
「えへへ。ありがとうっ!」
とびっきりの笑顔を見せてくれた。
俺はその笑顔だけで、プロポーズも上手く出来そうな気がした。
──
それから、杏は服を選びたいと言うから、別行動をすることにした。
これはチャンスだ。
俺は貴金属店に向かい、指輪をじっくりと見る。
照明に照らされた指輪の輝きが、俺の目に光を与える。
うはぁ……。それなりの覚悟はしていたけど、やっぱり婚約指輪は高いな。
基本的に婚約指輪は結婚指輪よりも高い。
その理由は、歴史を紐解くと分かるらしく、「もしもの時のための備え」としての男性からの愛の証明として渡されるのだとか。
一番安くてこの15万円の指輪か……。
でも、俺はデザイン重視だ。
この15万円の指輪もシンプルなデザインで充分オシャレだがもっといいのがあるはず。
それを探してみると、俺の好みのものがあった。
メレと呼ばれるリングデザインでメレダイヤと呼ばれる小粒ダイヤがメインのダイヤモンドの周りにあしらわれたのが特徴的で華やかな印象を与える。
それなのに、価格は20万円前後……これは18万円だった。
サイズも杏にちょうどいいし、これを買おうかな。
俺は店員さんを呼んで、カードで購入した。
装飾のついたオシャレなリングケースに丁寧に入れられたふたつの指輪は杏を喜ばすには充分だろう。
俺はリングケースをカバンにいれて、杏がいる服屋へ足を進めた。
君との幸せを俺は手に入れてみせる。
基本的に、俺たちはこの日にデートをしたり、買い物に出かけたりしている。
今日、俺と杏は大型ショッピングセンターにきていた。
杏は、昨日泣いていたが、日付が変わると、ケロッとしていた。
本当によかった。
俺は今日、杏には久しぶりに買い物に行くとだけ伝えている。
本当は婚約指輪を買いにきたのだけど、それはサプライズのため言えない。
指輪と言っても、オーダーメイドで世界にひとつだけの指輪を俺が持つ……みたいな想像をしている方には申し訳ないが、そんな時間は俺たちにはないので、既製品で申し訳ないがやらしてくれ。
〝思い立ったら、行動する〟これを、中学の頃から俺は信条としている。
昼頃なので、ファーストフード店によって簡単な昼食を取った。
杏がフィレオフィッシュを頼み、俺はダブルチーズバーガーを頼む。
「俺、だすよ」
俺が奢ることを伝えると、
「ありがとう」
と杏は俺の奢りに感謝の言葉と笑顔を見せてくれる。
付き合った当初は、お互い譲らなかったが今ではすっかりそれもない。
「楓はチーズ好きよね」
クスクスと杏は笑いながら、フィレオフィッシュを頬張る。
「高校生になってからだけどな」
「高校の頃から身長も一気に伸びたじゃない? もしかして、そのおかげじゃない?」
「かもしれないな」
身内ネタで少し盛り上がっていると、杏はなにかを思い出したような顔で、
「そういえば」
と言った。
「なに?」
「そういえば、山崎君が彼女さんにプロポーズしたの知ってる?」
思い出したことは俺にプレッシャーとなって乗っかってくるものだった。
山崎は中学の頃から付き合っていた彼女……名前は曖昧で思い出せないが、その子と別れや付き合いを繰り返して、ついにゴールインをした。
それは、春に聞いたし、式場の招待状も届いている。
心の底から祝福をしている。
次は、俺たちの番なのだ。
俺は、チーズバーガーにかぶり付き、杏とほぼ同じくらいに食べ終える。
「美味しかった。奢ってくれてありがとう」
「ううん。いつも店の掃除とか俺が気が付かない細かいところのフォローとかありがとう。今日はささやかなお返し」
俺の率直な感謝の言葉に照れたのか頬をポリポリと掻きながら、
「えへへ。ありがとうっ!」
とびっきりの笑顔を見せてくれた。
俺はその笑顔だけで、プロポーズも上手く出来そうな気がした。
──
それから、杏は服を選びたいと言うから、別行動をすることにした。
これはチャンスだ。
俺は貴金属店に向かい、指輪をじっくりと見る。
照明に照らされた指輪の輝きが、俺の目に光を与える。
うはぁ……。それなりの覚悟はしていたけど、やっぱり婚約指輪は高いな。
基本的に婚約指輪は結婚指輪よりも高い。
その理由は、歴史を紐解くと分かるらしく、「もしもの時のための備え」としての男性からの愛の証明として渡されるのだとか。
一番安くてこの15万円の指輪か……。
でも、俺はデザイン重視だ。
この15万円の指輪もシンプルなデザインで充分オシャレだがもっといいのがあるはず。
それを探してみると、俺の好みのものがあった。
メレと呼ばれるリングデザインでメレダイヤと呼ばれる小粒ダイヤがメインのダイヤモンドの周りにあしらわれたのが特徴的で華やかな印象を与える。
それなのに、価格は20万円前後……これは18万円だった。
サイズも杏にちょうどいいし、これを買おうかな。
俺は店員さんを呼んで、カードで購入した。
装飾のついたオシャレなリングケースに丁寧に入れられたふたつの指輪は杏を喜ばすには充分だろう。
俺はリングケースをカバンにいれて、杏がいる服屋へ足を進めた。
君との幸せを俺は手に入れてみせる。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
ハッピークリスマス ! 非公開にしていましたが再upしました。 2024.12.1
設樂理沙
青春
中学生の頃からずっと一緒だったよね。大切に思っていた人との楽しい日々が
この先もずっと続いていけぱいいのに……。
―――――――――――――――――――――――
|松村絢《まつむらあや》 ---大企業勤務 25歳
|堂本海(どうもとかい) ---商社勤務 25歳 (留年してしまい就職は一年遅れ)
中学の同級生
|渡部佳代子《わたなべかよこ》----絢と海との共通の友達 25歳
|石橋祐二《いしばしゆうじ》---絢の会社での先輩 30歳
|大隈可南子《おおくまかなこ》----海の同期 24歳 海LOVE?
――― 2024.12.1 再々公開 ――――
💍 イラストはOBAKERON様 有償画像
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる