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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~
74・5時間目 恋人
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俺達の周りだけ世界が切り取られたと思わせるような沈黙が空気を支配する。
「敦志君……」
小春が、俺だけに聞こえるようにひそひそ声で名前を呼んできた。
涙目で上目遣いになっていていかにも困惑しているのが分かってめっちゃ可愛い──って、この空気をどうにかしないと!
「と、とりあえずなんか食いに行こうぜ!」
「そ、そうだね! 賛成!」
小春が俺に賛成してくれる。
「うん、行こうか」
裕太は俺の隣に来て、表面上は笑顔で接する。
天野は、小春の隣にいている。
「……ヤバくないか?」
「優香だとは思ってもいなかったんだよ……」
ヒソヒソ声で俺と裕太は話す。
この展開、どうしたらいいんだ。
歩き出したのはいいものどこにいけばいいやら。
「天野だっけ……? なに食べたい?」
俺はあまり空気が悪くならないように声量・声調を気を付ける。
たぶん一番優しい声で話してるよな。
イケボ? フッ、そんなの誰にも言われたことねぇよ。
「なんでも大丈夫です。高橋先輩が好きなのを食べてください」
だから、なんでもいいが一番困るんだよ!
「こ、小春はなに食べたい?」
「ハンバーグ食べたいな!」
ありがっっとー!
「じゃあ、ハンバーグ専門のところに行こうか。裕太それでいいか?」
「うん、大丈夫だよ。優香は?」
「山内先輩、私はなにでも大丈夫です」
山内先輩か。
そういや、会った時は「裕太君」と言っていたし、裕太の話ではお互い下の名前で呼んでいたから、相当仲がよかったはずだ。
まぁ、それが恋人か。
お互いがお互いを知り、そして線を超える。
時に踏み行き過ぎることもあるけど、そこの苦しいすれ違いや葛藤を乗り越えて、また大切な人の存在を知るのだと思うのだ。
「裕太、ちょっといいか?」
「ん? どうしたの?」
俺は裕太を廊下に連れて行く。
なんか、カツアゲしてるみたいな気分になる。
やだなぁ。
「あーもう、じれったいな! お前ら、マジで」
「は?」
いや、ポカンとなるのは分かる。
「メシ食ったら、別行動な!」
「はい?!」
俺はそれだけ言うと、ズケズケと廊下を後にする。
「敦志知ってる? すごく気まずいよ!! それに……すっごく苦しいよ……。こうして、優香とまた居ることが」
それは、分かる。
だって、お前は、まだ好きなんだもんな。
あと一歩。
裕太は、その一歩さえ踏み出すことさえ出来れば、天野と付き合うまではいかなくても、仲良く出来ると思うのだ。
そう思うのはいけないことなのだろうか。
「僕だって、優香とまた隣を並びたいよ……。でも」
「彼女に避けられてるだろ……。それに気まずい。もう、昔のようには接することが出来ないんだ」
最悪な別れ方をしてしまった親友は、もう幸せには戻れない。
そう言うように唇を噛んでいた。
「戻ろう」
「あぁ……」
恋心は友情にも影響している。
少しずつ、恋が友情に毒を撒き散らしている。
青春は、残酷だ。
友情は、少しずつ脆くなっていく。
小春達のもとに戻った俺達は、お互いを避けていた。
「敦志君……」
小春が、俺だけに聞こえるようにひそひそ声で名前を呼んできた。
涙目で上目遣いになっていていかにも困惑しているのが分かってめっちゃ可愛い──って、この空気をどうにかしないと!
「と、とりあえずなんか食いに行こうぜ!」
「そ、そうだね! 賛成!」
小春が俺に賛成してくれる。
「うん、行こうか」
裕太は俺の隣に来て、表面上は笑顔で接する。
天野は、小春の隣にいている。
「……ヤバくないか?」
「優香だとは思ってもいなかったんだよ……」
ヒソヒソ声で俺と裕太は話す。
この展開、どうしたらいいんだ。
歩き出したのはいいものどこにいけばいいやら。
「天野だっけ……? なに食べたい?」
俺はあまり空気が悪くならないように声量・声調を気を付ける。
たぶん一番優しい声で話してるよな。
イケボ? フッ、そんなの誰にも言われたことねぇよ。
「なんでも大丈夫です。高橋先輩が好きなのを食べてください」
だから、なんでもいいが一番困るんだよ!
「こ、小春はなに食べたい?」
「ハンバーグ食べたいな!」
ありがっっとー!
「じゃあ、ハンバーグ専門のところに行こうか。裕太それでいいか?」
「うん、大丈夫だよ。優香は?」
「山内先輩、私はなにでも大丈夫です」
山内先輩か。
そういや、会った時は「裕太君」と言っていたし、裕太の話ではお互い下の名前で呼んでいたから、相当仲がよかったはずだ。
まぁ、それが恋人か。
お互いがお互いを知り、そして線を超える。
時に踏み行き過ぎることもあるけど、そこの苦しいすれ違いや葛藤を乗り越えて、また大切な人の存在を知るのだと思うのだ。
「裕太、ちょっといいか?」
「ん? どうしたの?」
俺は裕太を廊下に連れて行く。
なんか、カツアゲしてるみたいな気分になる。
やだなぁ。
「あーもう、じれったいな! お前ら、マジで」
「は?」
いや、ポカンとなるのは分かる。
「メシ食ったら、別行動な!」
「はい?!」
俺はそれだけ言うと、ズケズケと廊下を後にする。
「敦志知ってる? すごく気まずいよ!! それに……すっごく苦しいよ……。こうして、優香とまた居ることが」
それは、分かる。
だって、お前は、まだ好きなんだもんな。
あと一歩。
裕太は、その一歩さえ踏み出すことさえ出来れば、天野と付き合うまではいかなくても、仲良く出来ると思うのだ。
そう思うのはいけないことなのだろうか。
「僕だって、優香とまた隣を並びたいよ……。でも」
「彼女に避けられてるだろ……。それに気まずい。もう、昔のようには接することが出来ないんだ」
最悪な別れ方をしてしまった親友は、もう幸せには戻れない。
そう言うように唇を噛んでいた。
「戻ろう」
「あぁ……」
恋心は友情にも影響している。
少しずつ、恋が友情に毒を撒き散らしている。
青春は、残酷だ。
友情は、少しずつ脆くなっていく。
小春達のもとに戻った俺達は、お互いを避けていた。
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