129 / 244
第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~
73時間目 過去さえなければ
しおりを挟む
あれから、夕方になって小春は帰った。
帰り際に、
『敦志君、またね!』
と言われて、それを思い出して悶えていた。
あぁぁぁぁ────……!
なにあれ、可愛すぎるってぇぇ。
もうやだぁん(オネエ風)。
俺はその日暫く小春が腰かけたベッドの上から悶えすぎて離れることが出来なかった。
──
「……なるほどね、そんなことがあったんだ」
にこにこ。
「おう、もーマジで幸せだわ」
きらきら。
きっと、俺は今世界で一番いい笑顔をしていると思う。
それに負けない笑顔で俺の話を聞いている裕太は、さすがイケメンといったところか。
あれ? 俺キャラ変わってね?
こんなに、冷静に判断するキャラだっけ?
作者のもちヤロウ、ペンギンの小説の主人公とキャラ混ぜてねぇだろうな。
まぁ、こんな茶番は置いといて。
俺達がこうして集まっているのにはちゃんとした理由がある。
明日、小春と最近仲良くなった後輩を連れて四人で遊びに行く。
だから、そのための服装を探すべく、こうして買い物に来ているのだ。
「最近は暑くなってきたけど、こういう施設内では冷房も効いていて肌寒く感じるからね」
たしかに、教室でも冷房が稼働し始め、夏服を着用する生徒も日に日に増えてきた。
しかし、私立高校は基本的に冷暖房の温度をこちらで調節できるため、クソ暑くなってくる午後の授業とか「18℃」に設定しているクラスもある。
中学の頃なんて、職員室でひましてる教頭が集中管理室で冷暖房の監視をしていたため、こちらで温度をさげても、すぐに「26℃」に変えられる。
クソ暑くて夏死ぬかと思った。
「僕はこういうタートルネックを中に着ることをオススメするよ!」
裕太が、黒のタートルネックを俺に渡す。
タートルネックといえば、冬に着るイメージがあるが、これは生地が薄いためどちらかと言えば、春や秋の気温の変化が激しい季節に向いているという。
「あと、こういう白い半袖パーカーもオススメだね。これで暑さも寒さも両方防げるよ」
片手で白の半袖パーカーを持つ。
「それで、ズボンは今履いているチノパンでいいと思うよ」
一度、試着室で着てみたが、自分でも思うくらいかっこいいとは思う。
地味すぎず、派手すぎず。
やはり、裕太のセンスは俺に凄いあう。
というか、裕太本人にもあっているから、万人受けの服装のセンスなんだろう。
「ありがとうな!」
「いやいや、これくらいはさせてよ。それに敦志と森山さんのデートが楽しい時間になってくれたら嬉しいなと思うからさ」
その顔はどこか寂しそうな雰囲気がある。
「……やっぱり、天野のこと、気にしてんのか?」
「あぁ……」
裕太の顔に一気に影が指す。
裕太から聞いた話によると、裕太と天野は昔付き合っていて、幸せな日々を送っていたが、裕太たちを快く思わない誰かが根も葉もない噂を立てて、それを聞いた天野が裕太の話も聞かずに、そのまま別れを告げられたと。
誰がそんなことを言い出したのか当事者じゃない俺には分からない。
けど、こいつの気持ちは痛いほど分かる。
誰か分からないやつに根拠の無い噂を突きつけられ、自身の彼女の信用を失った。
そして、別れを告げられた。
それを受け止めるにはどれだけ、辛かったのだろうか。
「まぁ、辛いのは分かる。けど、過去は過去だ。どれだけ傷ついても、悲しんでも、覚えて苦しんでも、何も変わってくれない」
これは、鷹野に以前向けた言葉。
黒沢センパイなら、どう言うのか考えてでたこの言葉。
それは、裕太にも刺さったみたいだ。
「そうだね……。うん、過去なんて……意味無いよね」
少し暗くなってしまった空気。
俺たちは無言の時間を過ごした。
帰り際に、
『敦志君、またね!』
と言われて、それを思い出して悶えていた。
あぁぁぁぁ────……!
なにあれ、可愛すぎるってぇぇ。
もうやだぁん(オネエ風)。
俺はその日暫く小春が腰かけたベッドの上から悶えすぎて離れることが出来なかった。
──
「……なるほどね、そんなことがあったんだ」
にこにこ。
「おう、もーマジで幸せだわ」
きらきら。
きっと、俺は今世界で一番いい笑顔をしていると思う。
それに負けない笑顔で俺の話を聞いている裕太は、さすがイケメンといったところか。
あれ? 俺キャラ変わってね?
こんなに、冷静に判断するキャラだっけ?
作者のもちヤロウ、ペンギンの小説の主人公とキャラ混ぜてねぇだろうな。
まぁ、こんな茶番は置いといて。
俺達がこうして集まっているのにはちゃんとした理由がある。
明日、小春と最近仲良くなった後輩を連れて四人で遊びに行く。
だから、そのための服装を探すべく、こうして買い物に来ているのだ。
「最近は暑くなってきたけど、こういう施設内では冷房も効いていて肌寒く感じるからね」
たしかに、教室でも冷房が稼働し始め、夏服を着用する生徒も日に日に増えてきた。
しかし、私立高校は基本的に冷暖房の温度をこちらで調節できるため、クソ暑くなってくる午後の授業とか「18℃」に設定しているクラスもある。
中学の頃なんて、職員室でひましてる教頭が集中管理室で冷暖房の監視をしていたため、こちらで温度をさげても、すぐに「26℃」に変えられる。
クソ暑くて夏死ぬかと思った。
「僕はこういうタートルネックを中に着ることをオススメするよ!」
裕太が、黒のタートルネックを俺に渡す。
タートルネックといえば、冬に着るイメージがあるが、これは生地が薄いためどちらかと言えば、春や秋の気温の変化が激しい季節に向いているという。
「あと、こういう白い半袖パーカーもオススメだね。これで暑さも寒さも両方防げるよ」
片手で白の半袖パーカーを持つ。
「それで、ズボンは今履いているチノパンでいいと思うよ」
一度、試着室で着てみたが、自分でも思うくらいかっこいいとは思う。
地味すぎず、派手すぎず。
やはり、裕太のセンスは俺に凄いあう。
というか、裕太本人にもあっているから、万人受けの服装のセンスなんだろう。
「ありがとうな!」
「いやいや、これくらいはさせてよ。それに敦志と森山さんのデートが楽しい時間になってくれたら嬉しいなと思うからさ」
その顔はどこか寂しそうな雰囲気がある。
「……やっぱり、天野のこと、気にしてんのか?」
「あぁ……」
裕太の顔に一気に影が指す。
裕太から聞いた話によると、裕太と天野は昔付き合っていて、幸せな日々を送っていたが、裕太たちを快く思わない誰かが根も葉もない噂を立てて、それを聞いた天野が裕太の話も聞かずに、そのまま別れを告げられたと。
誰がそんなことを言い出したのか当事者じゃない俺には分からない。
けど、こいつの気持ちは痛いほど分かる。
誰か分からないやつに根拠の無い噂を突きつけられ、自身の彼女の信用を失った。
そして、別れを告げられた。
それを受け止めるにはどれだけ、辛かったのだろうか。
「まぁ、辛いのは分かる。けど、過去は過去だ。どれだけ傷ついても、悲しんでも、覚えて苦しんでも、何も変わってくれない」
これは、鷹野に以前向けた言葉。
黒沢センパイなら、どう言うのか考えてでたこの言葉。
それは、裕太にも刺さったみたいだ。
「そうだね……。うん、過去なんて……意味無いよね」
少し暗くなってしまった空気。
俺たちは無言の時間を過ごした。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
俺にはロシア人ハーフの許嫁がいるらしい。
夜兎ましろ
青春
高校入学から約半年が経ったある日。
俺たちのクラスに転入生がやってきたのだが、その転入生は俺――雪村翔(ゆきむら しょう)が幼い頃に結婚を誓い合ったロシア人ハーフの美少女だった……!?
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由
棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。
(2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。
女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。
彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。
高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。
「一人で走るのは寂しいな」
「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」
孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。
そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。
陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。
待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。
彼女達にもまた『駆ける理由』がある。
想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。
陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。
それなのに何故! どうして!
陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか!
というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。
嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。
ということで、書き始めました。
陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。
表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。
のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。
Toward a dream 〜とあるお嬢様の挑戦〜
green
青春
一ノ瀬財閥の令嬢、一ノ瀬綾乃は小学校一年生からサッカーを始め、プロサッカー選手になることを夢見ている。
しかし、父である浩平にその夢を反対される。
夢を諦めきれない綾乃は浩平に言う。
「その夢に挑戦するためのお時間をいただけないでしょうか?」
一人のお嬢様の挑戦が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる