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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~
73時間目 過去さえなければ
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あれから、夕方になって小春は帰った。
帰り際に、
『敦志君、またね!』
と言われて、それを思い出して悶えていた。
あぁぁぁぁ────……!
なにあれ、可愛すぎるってぇぇ。
もうやだぁん(オネエ風)。
俺はその日暫く小春が腰かけたベッドの上から悶えすぎて離れることが出来なかった。
──
「……なるほどね、そんなことがあったんだ」
にこにこ。
「おう、もーマジで幸せだわ」
きらきら。
きっと、俺は今世界で一番いい笑顔をしていると思う。
それに負けない笑顔で俺の話を聞いている裕太は、さすがイケメンといったところか。
あれ? 俺キャラ変わってね?
こんなに、冷静に判断するキャラだっけ?
作者のもちヤロウ、ペンギンの小説の主人公とキャラ混ぜてねぇだろうな。
まぁ、こんな茶番は置いといて。
俺達がこうして集まっているのにはちゃんとした理由がある。
明日、小春と最近仲良くなった後輩を連れて四人で遊びに行く。
だから、そのための服装を探すべく、こうして買い物に来ているのだ。
「最近は暑くなってきたけど、こういう施設内では冷房も効いていて肌寒く感じるからね」
たしかに、教室でも冷房が稼働し始め、夏服を着用する生徒も日に日に増えてきた。
しかし、私立高校は基本的に冷暖房の温度をこちらで調節できるため、クソ暑くなってくる午後の授業とか「18℃」に設定しているクラスもある。
中学の頃なんて、職員室でひましてる教頭が集中管理室で冷暖房の監視をしていたため、こちらで温度をさげても、すぐに「26℃」に変えられる。
クソ暑くて夏死ぬかと思った。
「僕はこういうタートルネックを中に着ることをオススメするよ!」
裕太が、黒のタートルネックを俺に渡す。
タートルネックといえば、冬に着るイメージがあるが、これは生地が薄いためどちらかと言えば、春や秋の気温の変化が激しい季節に向いているという。
「あと、こういう白い半袖パーカーもオススメだね。これで暑さも寒さも両方防げるよ」
片手で白の半袖パーカーを持つ。
「それで、ズボンは今履いているチノパンでいいと思うよ」
一度、試着室で着てみたが、自分でも思うくらいかっこいいとは思う。
地味すぎず、派手すぎず。
やはり、裕太のセンスは俺に凄いあう。
というか、裕太本人にもあっているから、万人受けの服装のセンスなんだろう。
「ありがとうな!」
「いやいや、これくらいはさせてよ。それに敦志と森山さんのデートが楽しい時間になってくれたら嬉しいなと思うからさ」
その顔はどこか寂しそうな雰囲気がある。
「……やっぱり、天野のこと、気にしてんのか?」
「あぁ……」
裕太の顔に一気に影が指す。
裕太から聞いた話によると、裕太と天野は昔付き合っていて、幸せな日々を送っていたが、裕太たちを快く思わない誰かが根も葉もない噂を立てて、それを聞いた天野が裕太の話も聞かずに、そのまま別れを告げられたと。
誰がそんなことを言い出したのか当事者じゃない俺には分からない。
けど、こいつの気持ちは痛いほど分かる。
誰か分からないやつに根拠の無い噂を突きつけられ、自身の彼女の信用を失った。
そして、別れを告げられた。
それを受け止めるにはどれだけ、辛かったのだろうか。
「まぁ、辛いのは分かる。けど、過去は過去だ。どれだけ傷ついても、悲しんでも、覚えて苦しんでも、何も変わってくれない」
これは、鷹野に以前向けた言葉。
黒沢センパイなら、どう言うのか考えてでたこの言葉。
それは、裕太にも刺さったみたいだ。
「そうだね……。うん、過去なんて……意味無いよね」
少し暗くなってしまった空気。
俺たちは無言の時間を過ごした。
帰り際に、
『敦志君、またね!』
と言われて、それを思い出して悶えていた。
あぁぁぁぁ────……!
なにあれ、可愛すぎるってぇぇ。
もうやだぁん(オネエ風)。
俺はその日暫く小春が腰かけたベッドの上から悶えすぎて離れることが出来なかった。
──
「……なるほどね、そんなことがあったんだ」
にこにこ。
「おう、もーマジで幸せだわ」
きらきら。
きっと、俺は今世界で一番いい笑顔をしていると思う。
それに負けない笑顔で俺の話を聞いている裕太は、さすがイケメンといったところか。
あれ? 俺キャラ変わってね?
こんなに、冷静に判断するキャラだっけ?
作者のもちヤロウ、ペンギンの小説の主人公とキャラ混ぜてねぇだろうな。
まぁ、こんな茶番は置いといて。
俺達がこうして集まっているのにはちゃんとした理由がある。
明日、小春と最近仲良くなった後輩を連れて四人で遊びに行く。
だから、そのための服装を探すべく、こうして買い物に来ているのだ。
「最近は暑くなってきたけど、こういう施設内では冷房も効いていて肌寒く感じるからね」
たしかに、教室でも冷房が稼働し始め、夏服を着用する生徒も日に日に増えてきた。
しかし、私立高校は基本的に冷暖房の温度をこちらで調節できるため、クソ暑くなってくる午後の授業とか「18℃」に設定しているクラスもある。
中学の頃なんて、職員室でひましてる教頭が集中管理室で冷暖房の監視をしていたため、こちらで温度をさげても、すぐに「26℃」に変えられる。
クソ暑くて夏死ぬかと思った。
「僕はこういうタートルネックを中に着ることをオススメするよ!」
裕太が、黒のタートルネックを俺に渡す。
タートルネックといえば、冬に着るイメージがあるが、これは生地が薄いためどちらかと言えば、春や秋の気温の変化が激しい季節に向いているという。
「あと、こういう白い半袖パーカーもオススメだね。これで暑さも寒さも両方防げるよ」
片手で白の半袖パーカーを持つ。
「それで、ズボンは今履いているチノパンでいいと思うよ」
一度、試着室で着てみたが、自分でも思うくらいかっこいいとは思う。
地味すぎず、派手すぎず。
やはり、裕太のセンスは俺に凄いあう。
というか、裕太本人にもあっているから、万人受けの服装のセンスなんだろう。
「ありがとうな!」
「いやいや、これくらいはさせてよ。それに敦志と森山さんのデートが楽しい時間になってくれたら嬉しいなと思うからさ」
その顔はどこか寂しそうな雰囲気がある。
「……やっぱり、天野のこと、気にしてんのか?」
「あぁ……」
裕太の顔に一気に影が指す。
裕太から聞いた話によると、裕太と天野は昔付き合っていて、幸せな日々を送っていたが、裕太たちを快く思わない誰かが根も葉もない噂を立てて、それを聞いた天野が裕太の話も聞かずに、そのまま別れを告げられたと。
誰がそんなことを言い出したのか当事者じゃない俺には分からない。
けど、こいつの気持ちは痛いほど分かる。
誰か分からないやつに根拠の無い噂を突きつけられ、自身の彼女の信用を失った。
そして、別れを告げられた。
それを受け止めるにはどれだけ、辛かったのだろうか。
「まぁ、辛いのは分かる。けど、過去は過去だ。どれだけ傷ついても、悲しんでも、覚えて苦しんでも、何も変わってくれない」
これは、鷹野に以前向けた言葉。
黒沢センパイなら、どう言うのか考えてでたこの言葉。
それは、裕太にも刺さったみたいだ。
「そうだね……。うん、過去なんて……意味無いよね」
少し暗くなってしまった空気。
俺たちは無言の時間を過ごした。
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