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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~
64・5時間目 青春の空
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一通り、ご飯やお菓子を食べ終えた俺達は、神谷さんの「せっかく来たんだし、体を動かそうよっ!」という言葉によって、運動がてら遊ぶ事にした。
黒沢センパイはあまり乗り気ではなかったが、それでも参加してくれた。
公園の売店にはフリスピーやサッカーボール、グローブ、ラケットといった公園でするのには最適な道具類が並んでいた。
俺達一行は売店でなにを買う? と顔を見合わせていた。
「敦志君、運動経験者なんだから、選んでよ……。私もキャッチボールしてみたいから……」
小春はグローブを指差して、俺に借りてと勧める。
「とりあえず、グローブ借りるか。でも、それじゃ、皆で出来ないだろ? サッカーとかどうだ?」
「んー、フリスピーはどうかな?」
「じゃあ、バドミントンとキャッチボールでひと組ずつ作ってから、後残った人達でフリスピーやるっていうのはどうだ? ちょうど皆出来るだろ?」
「いいね! それからローテーションで順番こでやれば皆で楽しめるしね。それじゃ、じゃんけんでそのチームも決めようか」
裕太の意見に皆が賛成したところで、じゃんけんをした。
結果からいうと、俺と小春、神谷さんと黒沢センパイ、裕太と遼太郎のチームになった。
それぞれ、せーので遊びたい道具に指差し、被ったらじゃんけんして勝った方がそれを使うというルールで俺達が選んだものはグローブ。
久しぶりにキャッチボールをやりたいからと小春に伝えるとそれに彼女は賛成してくれた。
運が良かった事に誰とも被ることなく、グローブを獲得し、花見をした場所より少し離れた大きな広場に移動し、小春とキャッチボールをしている。
俺から放たれるボールはかつて野球をやっていた時のような速度やコントロールはでなかった。
しかし、素人の小春でも捕る事が出来るほどの優しいボールだった。
小春が見事にボールをキャッチするとパァンとグローブから乾いた音が鳴る。
俺の腕が落ちたか小春が元々運動神経が良いかまぁ、後者だろうな。
後者であってほしいけど。
1年のブランクのせいで十球目あたりからには肩の痛みがでてきだした。
慣れない事はあまりするんじゃないな。
これから少しずつ壁あてをする時間を作ろうかな。
小春も少し疲労しているように見える。
「大丈夫か? 少し距離縮めるか?」
「大丈夫。敦志君は投げたいように投げてね。本気を見たいからー!」
疲労を感じさせない笑顔で小春は言う。
だけど、これは人としての優しさ。
そして、彼氏としてのワガママ。
俺は数歩距離を小春側へ縮め、かつての自分を想起させるような一球を投げた。
──
「んじゃ、敦志達これでいい?」
裕太に渡されたのはフリスピー。
彼の手には俺が使ったグローブがはめられている。
「おう。んじゃ、またここで」
裕太に手を振りながら、俺は小春と共に先程より更に広い広場に向かった。
「肩、大丈夫敦志君? あんまり無理しないでね」
優しい子だよな。小春は。
少し感動してから、
「大丈夫だ。その、ブランクあるけどまだまだ十分に動かせれるしな。それに今日は本当に来てよかったって思ってるよ。良い運動になったしな。ほい」
「わっ! もー、急に投げないでよー! キャッチボール楽しかったよ。また、やろうね。それっ!」
小春が投げたフリスピーは空に向かって桜と共に舞う。
雲ひとつない青空の下、俺達を青春が微笑ましくスポットライトを当てていた。
黒沢センパイはあまり乗り気ではなかったが、それでも参加してくれた。
公園の売店にはフリスピーやサッカーボール、グローブ、ラケットといった公園でするのには最適な道具類が並んでいた。
俺達一行は売店でなにを買う? と顔を見合わせていた。
「敦志君、運動経験者なんだから、選んでよ……。私もキャッチボールしてみたいから……」
小春はグローブを指差して、俺に借りてと勧める。
「とりあえず、グローブ借りるか。でも、それじゃ、皆で出来ないだろ? サッカーとかどうだ?」
「んー、フリスピーはどうかな?」
「じゃあ、バドミントンとキャッチボールでひと組ずつ作ってから、後残った人達でフリスピーやるっていうのはどうだ? ちょうど皆出来るだろ?」
「いいね! それからローテーションで順番こでやれば皆で楽しめるしね。それじゃ、じゃんけんでそのチームも決めようか」
裕太の意見に皆が賛成したところで、じゃんけんをした。
結果からいうと、俺と小春、神谷さんと黒沢センパイ、裕太と遼太郎のチームになった。
それぞれ、せーので遊びたい道具に指差し、被ったらじゃんけんして勝った方がそれを使うというルールで俺達が選んだものはグローブ。
久しぶりにキャッチボールをやりたいからと小春に伝えるとそれに彼女は賛成してくれた。
運が良かった事に誰とも被ることなく、グローブを獲得し、花見をした場所より少し離れた大きな広場に移動し、小春とキャッチボールをしている。
俺から放たれるボールはかつて野球をやっていた時のような速度やコントロールはでなかった。
しかし、素人の小春でも捕る事が出来るほどの優しいボールだった。
小春が見事にボールをキャッチするとパァンとグローブから乾いた音が鳴る。
俺の腕が落ちたか小春が元々運動神経が良いかまぁ、後者だろうな。
後者であってほしいけど。
1年のブランクのせいで十球目あたりからには肩の痛みがでてきだした。
慣れない事はあまりするんじゃないな。
これから少しずつ壁あてをする時間を作ろうかな。
小春も少し疲労しているように見える。
「大丈夫か? 少し距離縮めるか?」
「大丈夫。敦志君は投げたいように投げてね。本気を見たいからー!」
疲労を感じさせない笑顔で小春は言う。
だけど、これは人としての優しさ。
そして、彼氏としてのワガママ。
俺は数歩距離を小春側へ縮め、かつての自分を想起させるような一球を投げた。
──
「んじゃ、敦志達これでいい?」
裕太に渡されたのはフリスピー。
彼の手には俺が使ったグローブがはめられている。
「おう。んじゃ、またここで」
裕太に手を振りながら、俺は小春と共に先程より更に広い広場に向かった。
「肩、大丈夫敦志君? あんまり無理しないでね」
優しい子だよな。小春は。
少し感動してから、
「大丈夫だ。その、ブランクあるけどまだまだ十分に動かせれるしな。それに今日は本当に来てよかったって思ってるよ。良い運動になったしな。ほい」
「わっ! もー、急に投げないでよー! キャッチボール楽しかったよ。また、やろうね。それっ!」
小春が投げたフリスピーは空に向かって桜と共に舞う。
雲ひとつない青空の下、俺達を青春が微笑ましくスポットライトを当てていた。
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