親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~

63・5時間目 春霞 ~彼女の霞んだ世界~

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なにをしてもつまらない。
いや、正確にはなにをしてもつまらなく感じてしまう。
「はぁ……」
一人暮らしのため、借りているアパートの部屋に大きなため息が静寂を破る。
毎日は楽しいはず。
友達もそれなりにいる。
バイトも楽しい。
趣味の読書だって新しい本に出会う度に新しい発見があるから楽しい。
それなのに。
私の人生は突然副菜が無くなったご飯のような、無くても生活に差し支えは無いもののあれば嬉しい物が消えた人生を送っている。
心当たりはある。
ふたつめの古い機種のスマホに写る男の子が、この世界から消えたことだ。
彼は私の中学の後輩に当たる存在で黒沢君とは親友だった。
今の高橋君達を見ると心が痛むのはそのせいだろう。
どんな出会いだったのかはもう覚えていないけど、私達はあくまでも先輩と後輩の関係で中学2年生までは過ごしていた。
けれど、あれはいつだったか。
今日みたいな満開の桜が空を舞っている日に告白してきたのだ。
たったひとこと。
『僕は神谷先輩の事が好きです。付き合ってください』と。
彼らしい初々しいセリフだった。
思い出せばこの時、断っておけば彼はまだこの世界に居たのかも知れない。
私はこの時はそんな事に興味は無かった。
しかし、ずっと子供だったから後の事なんて、なんて考えてなかった。

──付き合うっていっても今まで通り接すればいいだけだよね。

この時の私に言ってやりたい。
恋愛はちゃんと考えなきゃダメだよって。
でも、無理。
そんな中途半端な気持ちで、
『うん。付き合おう』
なんて行ってしまったから。

『──ッ! 神谷さん! ──が!』『ただいま電話に出ることができません』『【さようなら ×××先輩】』

ねぇ、私。
もしも、あの日に戻れたら──
中学の頃の私は嫌い。
今の私も嫌い。
「【黒沢睡蓮くろさわすいれんがメッセージを送信しました】」
黒沢君から、LINEが来ていた。
なんだろう。
「【お疲れっす。俺の見間違いだったらスミマセン。今日なんか疲れてませんでした? 何があったンか知らんっすけど、あんまり根詰めすぎないようにしてくださいね。なんかあったら連絡してください。……明日、楽しみにしてます】」
と送られていた。
はは……。
なんでよ。
やっぱり、彼と親友だったからかな。
優しいな。
私の視界から、霧は晴れない。
もしも、あの日に戻れたら。
私は彼になにを言うだろうか。
彼を拒絶してしまうかもしれない。
そしたら、彼はあれ以上に傷つく。
この世界から消えるのは免れない事なのかもしれないけど。
だから、思う。
あれでよかったのかもしれない。
彼は居ないけど。
新しい恋はこないけど。
後輩君や後輩ちゃん達と出会ったことで少しずつ霧が晴れようとしている今なら。
ちょっとは前向きに生きて、“いつもの神谷”を見せてみようかな。

「【ありがとう。私は大丈夫です(*´ω`*) 明日、楽しまなきゃご飯代払わせるからねコノヤロー!(*´ω`*(*´ω`*(*´ω`*)】」
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