親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~

62時間目 後輩君と先輩

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「高校、中学より楽ですね」
「おう、そうだろ? むしろ中学が固すぎるんだよ」
「女子のスカート短すぎてパンツ見えそうです。とりあえず横の席のビッチを僕は殴りたい」
あれ……。こいつこんなに口悪かったっけ? と思いながら、ムシャムシャと日替わり清王ランチ(マヨから弁当)を食べている鷹乃たかのに入学祝いの言葉をかける。
「とりあえず、入学おめでとうな。なんか部活動とか入るのか?」
「あざます。部活は面倒なんで入らないつもりです」
マジかと思った。
てっきり軽音部にはいると思っていた。
鷹乃は続けて、
「高校はゆっくりしたいんで。小説を読みまくる3年間を過ごすつもりです」
小説なんて全然読まないな。
まぁ、国語の藤木が嫌いだからっていうのが本から離れる一番の理由だろうけど。
「オススメとかあるか?」
食べている途中のかじられたからあげをご飯の前で止めて、
「そうっすね。『召喚術士が陰気臭くて何か悪いのかよ』っていう異世界小説と『葡萄転生』っていう主人公がブドウになるお話がオススメですね」
召喚術士全員が陰気臭い事はないだろとツッコミつつ、主人公がブドウになるって……。
それ虫に食べられて終わりだろ……。
それとも、高級料理店でワインに使用されるかだな。
頭の片隅のさらにすみの方にその情報をいれつつ、俺も自身の弁当に口をつける。
実はこの弁当は小春が作ってくれた。
朝早くからめっちゃ不機嫌な顔をしていた黒沢センパイが渡してくれた。
なんだかんだで黒沢センパイも弁当届けてくれるし、俺って愛されてるな。
なんて思うと、ジト目で鷹乃がこちらを見ていた。
目こっわ。
人の事は言えんけど。
「高橋先輩、ニヤニヤした顔だと正直キモいです」
ねぇ、泣いていい?
「いやいや、鷹乃あのな? そういうのはやめようぜ? 俺泣くよ? 誰だってそうなるって鷹乃も彼女出来てみろよ! 絶対ニヤけるから」
「僕、彼女居ましたよ」
「あ?」
えっ、ちょっとまって。彼女居たの? 君?
「居ましたよ。すぐに別れましたけど」
「あっ、わりぃ」
別れたと言う鷹乃の表情が暗くなったから止めた。
鷹乃には、触れられたくない過去があるように見えるから。
誰だってそう。
俺にはないが、小春は今はマシになっているけど男性に恐怖を感じやすい。
裕太は、自身の優しさが宮浦を暴走させる事になって、もしかしたら、恋をしない人間になるのではないかと思っている。
遼太郎も言わないだけでなにか過去を持っているかもしれない。
黒沢センパイも、神谷さんも、南も。
三島さんも、花園さんも、女郎も。
白咲さんも、薔薇さんも、白膠さんも。
皆言わないだけでなにかを背負っている。
そして、それを背負っている事で苦しんだり、悲しんだり、悔やんだりしている。
でも、背負ったものはいつしか自身を動かす燃料になると思うのだ。
久しぶりに暗い事を考えてしまった。
ふと、顔をあげると鷹乃が不思議そうにこちらを見つめていた。
大丈夫。
俺が勤まるのか分からないけど、少しでもその悲しみや苦しみや怒りを一緒に浄化する手伝いをしてやるから。
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