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第5章 桜と君と青春と ~再会の友、再開の時~
61時間目 桜と君と
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桜が綺麗だ。
毎年、この季節になると憂鬱で仕方がなかった。
それは、リア充が増えるから。
よく知らねぇけど、新学期になるとクラスにひと組イチャついているバカップルがでてくるんだよ。
席が離れているならいい。
相手にしなければいいだけだから。
グループ活動や掃除当番の時に、同じ班にならなければいい。
でも、そういう訳にもいかなかった。
「ねぇねぇ、タク君~、お弁当作ってきたよ~♪」
「……」
「ありがとうさきぃー! 愛してる~!」
「…………」
誰か、助けて。
1年の時も同じクラスだった裕太の取り巻きの拓也と宮浦の取り巻きだった咲希という男女が俺の左右の席で、しかも、バカップル。
彼らは4月になって付き合ったらしい。
なにこれ、詰んでるだろ。
偶然にも、裕太と遼太郎は今年も同じクラスだった。
それだけでも、ありがたかった。
マジで今から新しく友達作れる自信ない。
HRとはいえ、仮にも授業中の今、ふたりは俺を挟んでイチャイチャしている。
しかも、今年の席順は裕太と遼太郎とかなり離れているんだよな。
裕太の方を見ると苦笑、遼太郎の笑顔でかえされるし。
ちなみに担任は、俺が嫌いな藤木先生だ。
そう、ちょうど去年のこの時期に国語の授業で席順に当てたあの人だ。
目付きが悪いし(人の事は言えないが)、怒らせると面倒なので生徒内でよく嫌われている。
「えー、これからここ、2年10組の担任を持つ藤木だ。担当教科は国語。1年間よろしくな。この1年は非常にー」
なかだるみしやすくうんたらかんたら。
成績も落ちやすくうんたらかんたら。
数十分後、俺は机の上でうつ伏せの状態になっていたのだから、人の長すぎる話はマジで聞きたくない。
「ふぁーぁ。眠たい」
遼太郎が大きなあくびをする。
よっぽど眠たいんだろう。
「敦志が居眠りなんて珍しいね。ちゃんと寝てる?」
「まぁ、それなりには寝てるけどな。春だから眠たいだけだと思うけど」
「そういや、来週はお花見だね! や~、何持っていこうかなー!」
花見か。
花見なんて久しぶりだな。
もう、数年は行ってないな。
昔は南と良く花見をしに近所の公園へ行ってたが、それももう小学生の頃の話。
中学生になってからは、基本的に野球尽くしだったし(しかもモテないオマケ付き)、忙しない日常に追われて花を楽しむ余裕なんてなかった。
今年は黒沢センパイや、小春、神谷さんもいこういこうと言ってきたので皆でいくことになったわけだ。
「ねぇ、ねぇ、タク君~! 今度お花見行こうよぉー!」
「お花見デートかな? さきぃー! 3ヶ月ぶりのデートだぁ。楽しみだなぁー!」
いや、こいつら本当は1年の時から付き合ってんじゃねぇの?
そんな事はどうでもいいか。
今日は始業式なので、4時間授業の時間割で帰れる。
家に帰ったらとりあえずゲームしよう。
「わー! 敦志、見て見て! 桜吹雪!」
裕太が強風で舞い散る桜に興奮する。
久しぶりにこいつが興奮する所見たわ。
「おー……。すげぇな!」
俺も少なからず、興奮する。
この桜を見る度に、浮かんでくる顔がある。
昔は何度も撫でたくなるような長い髪だった。
表裏のない性格で、誰に対しても優しい。
あどけない表情が可愛くて、それに惚れた男子はきっといる。
その子は、今も昔も、俺の隣で歩いていた。
今は彼氏、昔は親友として。
その笑顔を1度は曇らせる事があったけど。
もう、その雲は俺が晴らした。
小春日和。
俺は桜を見る度に、小春の笑顔が浮かんでくる。
毎年、この季節になると憂鬱で仕方がなかった。
それは、リア充が増えるから。
よく知らねぇけど、新学期になるとクラスにひと組イチャついているバカップルがでてくるんだよ。
席が離れているならいい。
相手にしなければいいだけだから。
グループ活動や掃除当番の時に、同じ班にならなければいい。
でも、そういう訳にもいかなかった。
「ねぇねぇ、タク君~、お弁当作ってきたよ~♪」
「……」
「ありがとうさきぃー! 愛してる~!」
「…………」
誰か、助けて。
1年の時も同じクラスだった裕太の取り巻きの拓也と宮浦の取り巻きだった咲希という男女が俺の左右の席で、しかも、バカップル。
彼らは4月になって付き合ったらしい。
なにこれ、詰んでるだろ。
偶然にも、裕太と遼太郎は今年も同じクラスだった。
それだけでも、ありがたかった。
マジで今から新しく友達作れる自信ない。
HRとはいえ、仮にも授業中の今、ふたりは俺を挟んでイチャイチャしている。
しかも、今年の席順は裕太と遼太郎とかなり離れているんだよな。
裕太の方を見ると苦笑、遼太郎の笑顔でかえされるし。
ちなみに担任は、俺が嫌いな藤木先生だ。
そう、ちょうど去年のこの時期に国語の授業で席順に当てたあの人だ。
目付きが悪いし(人の事は言えないが)、怒らせると面倒なので生徒内でよく嫌われている。
「えー、これからここ、2年10組の担任を持つ藤木だ。担当教科は国語。1年間よろしくな。この1年は非常にー」
なかだるみしやすくうんたらかんたら。
成績も落ちやすくうんたらかんたら。
数十分後、俺は机の上でうつ伏せの状態になっていたのだから、人の長すぎる話はマジで聞きたくない。
「ふぁーぁ。眠たい」
遼太郎が大きなあくびをする。
よっぽど眠たいんだろう。
「敦志が居眠りなんて珍しいね。ちゃんと寝てる?」
「まぁ、それなりには寝てるけどな。春だから眠たいだけだと思うけど」
「そういや、来週はお花見だね! や~、何持っていこうかなー!」
花見か。
花見なんて久しぶりだな。
もう、数年は行ってないな。
昔は南と良く花見をしに近所の公園へ行ってたが、それももう小学生の頃の話。
中学生になってからは、基本的に野球尽くしだったし(しかもモテないオマケ付き)、忙しない日常に追われて花を楽しむ余裕なんてなかった。
今年は黒沢センパイや、小春、神谷さんもいこういこうと言ってきたので皆でいくことになったわけだ。
「ねぇ、ねぇ、タク君~! 今度お花見行こうよぉー!」
「お花見デートかな? さきぃー! 3ヶ月ぶりのデートだぁ。楽しみだなぁー!」
いや、こいつら本当は1年の時から付き合ってんじゃねぇの?
そんな事はどうでもいいか。
今日は始業式なので、4時間授業の時間割で帰れる。
家に帰ったらとりあえずゲームしよう。
「わー! 敦志、見て見て! 桜吹雪!」
裕太が強風で舞い散る桜に興奮する。
久しぶりにこいつが興奮する所見たわ。
「おー……。すげぇな!」
俺も少なからず、興奮する。
この桜を見る度に、浮かんでくる顔がある。
昔は何度も撫でたくなるような長い髪だった。
表裏のない性格で、誰に対しても優しい。
あどけない表情が可愛くて、それに惚れた男子はきっといる。
その子は、今も昔も、俺の隣で歩いていた。
今は彼氏、昔は親友として。
その笑顔を1度は曇らせる事があったけど。
もう、その雲は俺が晴らした。
小春日和。
俺は桜を見る度に、小春の笑顔が浮かんでくる。
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