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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
59時間目 熱血のドッジボール
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「山内っ! 消え去りやがれっ!」
「うわっ!? 危なっかしいなぁ」
きっと野球部であろう子が投げたボールがレーザービームのように裕太目掛けて飛ぶ。
裕太も取ることは出来ないと判断したのか、避ける。
しっかし、俺、全然狙われねぇな。
影が薄いのか相手にされていないのか。
明日は終業式だ。
レクリエーションで俺達は5、6時間目で王様ドッジボール大会をしているのだ。
この学年も明日で終わりだ。
ちょうど1週間前に卒業式があったが、別に仲が良い先輩がいたわけでもないのでそれは割愛する。
女子がキャーキャー言って、男子のボールを避けようとするが、同じ場所に固まっているので、大体の子が当たる。
いや、逃げろよ。
「ふっ! あー、外れたっ!」
裕太がボールを投げる度に、キャーとこれまたいつしか聞いた事がある黄色い歓声が飛ぶ。
くっそ、モテモテめ。
そりゃ、バレンタインあれだけ貰えるわ。
「敦志っ! 危ないっ!」
「どわっ! あっぶねぇ!」
裕太の声に反応し、俺はとっさにボールをキャッチする。
あぶねぇ。タイミングずれてたら終わってた。
「ふんっ!」
俺が投げたボールは避けられ、味方の外野へと移った。
遼太郎率いる外野は序盤からサポートに回っていた。
遼太郎は視野が結構広いから、的確な指示で相手の内野をチミチミと潰していた。
もちろん、女子を狙う時はかなり手を抜いてでやっている。
ベビーフェイスで運動神経も良いことからチョコをそれなりに貰える原因なんだろうなと俺は分析している。
現状はこちらが優勢。
しかし、相手も猛者が残っているからか、なかなか人数が減らない。
裕太もギリギリで避けることが多くなって、外野と内野のパス回しに気をとられている。
ドンッと背中に衝撃。
ヤバイ当てられた。
そう思い、振り返ると、ボールはまだ宙を舞っている。
「だあぁぁぁ! ちょっ、とれとれとれ!」
ラインギリギリにボールはある。
ジャンプして片手でキャッチしたまではいい。
後はラインを超えずに着地するだけだ。
ラインを踏んでの着地。
審判は、
「セーフ!」
よかったぁぁ!
安心して、投げたのも束の間、
「リア充爆発しろやー!」
先程の野球部の子が妬みながら、投げたボールを裕太は、取り損ねた。
王様である裕太が当たったため、ゲームセット。
そして、授業終了を告げるチャイムが鳴った。
1年目の授業はこれにて終了だ。
_______
「もー、山内のドジ~!」
体操服から着替え終え、終礼も済ました俺達は、下校。
いつも通りの帰り道だ。
「や~、油断したら当たったんだよー」
「うっわ、だっせぇ」
「もー、うるさいなぁ!」
いつも通り、バカ言い合いながら帰る。
いつしか夏休み前にもこんな会話したなと思い出しながら、もう高校2年生になるのかという焦りがでてくる。
「そういや、裕太、大学決めたか?」
「おぉ。敦志にしては先を見据えた話をするんだね。とりあえずは決めたけど、変更する可能性は充分にあるからね。まだ決まっていないと言っておこうかな」
「遼太郎は?」
「ぜーんぜん。正直どこでもいいかな?」
「アホ、ちゃんと決めろ」
「敦志?! 最近キャラ変わってない!? なんでそんなお母さんキャラになってんの?」
「俺は普通だっつーの」
そうだ。
俺は普通だ。
変わった所は、人生がめっちゃ楽しいって思える事と、彼女がいることだけ。
それ以外は、出会った頃となにひとつ変わっていない。
いつも通り。
そんな言葉が似合う俺達は、今日も笑ってそれぞれの家に帰った。
「うわっ!? 危なっかしいなぁ」
きっと野球部であろう子が投げたボールがレーザービームのように裕太目掛けて飛ぶ。
裕太も取ることは出来ないと判断したのか、避ける。
しっかし、俺、全然狙われねぇな。
影が薄いのか相手にされていないのか。
明日は終業式だ。
レクリエーションで俺達は5、6時間目で王様ドッジボール大会をしているのだ。
この学年も明日で終わりだ。
ちょうど1週間前に卒業式があったが、別に仲が良い先輩がいたわけでもないのでそれは割愛する。
女子がキャーキャー言って、男子のボールを避けようとするが、同じ場所に固まっているので、大体の子が当たる。
いや、逃げろよ。
「ふっ! あー、外れたっ!」
裕太がボールを投げる度に、キャーとこれまたいつしか聞いた事がある黄色い歓声が飛ぶ。
くっそ、モテモテめ。
そりゃ、バレンタインあれだけ貰えるわ。
「敦志っ! 危ないっ!」
「どわっ! あっぶねぇ!」
裕太の声に反応し、俺はとっさにボールをキャッチする。
あぶねぇ。タイミングずれてたら終わってた。
「ふんっ!」
俺が投げたボールは避けられ、味方の外野へと移った。
遼太郎率いる外野は序盤からサポートに回っていた。
遼太郎は視野が結構広いから、的確な指示で相手の内野をチミチミと潰していた。
もちろん、女子を狙う時はかなり手を抜いてでやっている。
ベビーフェイスで運動神経も良いことからチョコをそれなりに貰える原因なんだろうなと俺は分析している。
現状はこちらが優勢。
しかし、相手も猛者が残っているからか、なかなか人数が減らない。
裕太もギリギリで避けることが多くなって、外野と内野のパス回しに気をとられている。
ドンッと背中に衝撃。
ヤバイ当てられた。
そう思い、振り返ると、ボールはまだ宙を舞っている。
「だあぁぁぁ! ちょっ、とれとれとれ!」
ラインギリギリにボールはある。
ジャンプして片手でキャッチしたまではいい。
後はラインを超えずに着地するだけだ。
ラインを踏んでの着地。
審判は、
「セーフ!」
よかったぁぁ!
安心して、投げたのも束の間、
「リア充爆発しろやー!」
先程の野球部の子が妬みながら、投げたボールを裕太は、取り損ねた。
王様である裕太が当たったため、ゲームセット。
そして、授業終了を告げるチャイムが鳴った。
1年目の授業はこれにて終了だ。
_______
「もー、山内のドジ~!」
体操服から着替え終え、終礼も済ました俺達は、下校。
いつも通りの帰り道だ。
「や~、油断したら当たったんだよー」
「うっわ、だっせぇ」
「もー、うるさいなぁ!」
いつも通り、バカ言い合いながら帰る。
いつしか夏休み前にもこんな会話したなと思い出しながら、もう高校2年生になるのかという焦りがでてくる。
「そういや、裕太、大学決めたか?」
「おぉ。敦志にしては先を見据えた話をするんだね。とりあえずは決めたけど、変更する可能性は充分にあるからね。まだ決まっていないと言っておこうかな」
「遼太郎は?」
「ぜーんぜん。正直どこでもいいかな?」
「アホ、ちゃんと決めろ」
「敦志?! 最近キャラ変わってない!? なんでそんなお母さんキャラになってんの?」
「俺は普通だっつーの」
そうだ。
俺は普通だ。
変わった所は、人生がめっちゃ楽しいって思える事と、彼女がいることだけ。
それ以外は、出会った頃となにひとつ変わっていない。
いつも通り。
そんな言葉が似合う俺達は、今日も笑ってそれぞれの家に帰った。
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