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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
58・5時間目 ドギマギのホワイトデー
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俺は、今、猛烈に悩んでいる。
悩むという言葉がゲシュタルト崩壊するくらい悩んでいる。
そして、俺今、すげぇメタな事考えてんなというのは分かっている。
森山と付き合って、約3ヶ月。
南や親以外の女子からはじめてチョコを貰って、舞い上がるのはいいが、お返しを考えなきゃいけない。
女子の好みをもっと分かっていれば俺はこんなに悩む必要は無かったのかもしれない。
例えば、裕太みたいに万人受けするお返しが出来ればいいんだが、俺にはそんな経験がなかったから、やむを得ず、ホワイトデー前日に夏休みに行ったショッピングセンターについてきてお返しを考えてくれるらしい。
ありがたい。
「……で、なんでついてきてんすか?」
「ア? いいじゃねェか? 俺だって舞花へのお返しが必要だからなァ。頼むわ。山内」
「あんまり期待しないでくださいね」
黒沢センパイって、意外としっかりしているんだよな。
雑な部分は本当に雑だけど。
「それにしてもよ、俺には女子の好みが分からねぇ。ネットでいくつか調べたけど、ネックレス? 指輪? 俺からすればどれもハードル高過ぎて無理だっつーの」
「装飾品は成功すれば効果大だけど、その人の好みにあったものじゃないと最悪別れるからね。無難なのは……ペンケースとかハンカチとかかな」
「そっか……。装飾品ねぇ……。あ」
装飾品と聞いて森山のトレードマークともいえるオレンジ色のリボンの存在を思い出す。
確かあれは、今は亡くなっている森山のお母さんから貰った物で大切に使っているって前に言ってたっけな。
最近、少し古くなってきている気がするんだよな。
「……新しいリボンなら、喜ぶか……?」
「リボンねぇ……」
「あ、わりぃ。口にでてた」
「なら、この店とかどうだァ?」
黒沢センパイが指差すのは、俺がロザリオを買った隣の店。
そこには、装飾品がたくさん置いてあり、おおつらええ向き合いだった。
「いいっすね。んじゃ、そこに行きましょう」
そう言って、俺達3人はその店に行く。
道中で、裕太は同級生らしき女子に声をかけられていた。
そして、1ヶ月前にバレンタインは終わったというのにチョコを貰っていた。
こんちくしょう。どんだけモテるんだよ。
裕太チョコフィーバーは1回限りでは終わらない。
持参した熊の絵が描いてあるマイバックがパンパンになるほどチョコを貰っていた。
ちなみに俺は小春を除いてバレンタインでチョコを貰った個数はゼロ。この天と地の差はなんだ。
裕太は、大量のチョコを抱えながら、俺達と共に歩く。
「いやぁー。チョコやっと無くなったと思ったらまた増えたよ。これ以上食べたら鼻血でそう」
「そのセリフ、俺にも言わしてくれ」
「チィッ、リア充め。爆せろ」
黒沢センパイこえぇな。
「黒沢さん、暗黒過ぎませんか?!」
「しゃーねェだろ。俺はこの季節が嫌いなんだよ。白膠も裕太もチョコ貰いすぎだっつーの」
「なりたくてモテてるんじゃないんですからね!?」
「俺はモテたくてもモテねぇの! その横で言うなよ……」
なりたくてモテてるんじゃねぇの?
そういう体質とかあんのかな。
そうこうしているうちに目当ての店に到着した。
「うおー……。どれが似合うかな……」
「俺、ちょっとここの空気無理だわ。この先すっげェカップルの匂いがするんだ。離れていいか?」
「敦志、考えるねぇ……。あ、このブレスレットキレイ……」
裕太の声にも黒沢センパイの声にも反応せず、ただショーケースに入っているリボンを見る。
小春にはなにが似合うのか。
モテない頭で一生懸命考える。
小春なら、名前通りに赤、もしくは、ピンク系の色がいいのか?
でもでも、お母さんのリボンはオレンジ色だから色に変化が生まれんしな。
青色はなんかダメな気がする。
となれば、黄色かな?
一番はじめに目についた黄色のリボンを手に取る。
「これ、買います」
俺は小春の喜んでくれる顔を想像して購入。
オマケでラッピングをしてくれた。
「あ、敦志君敦志君! 今ねー……それ、もしかして?」
帰り道、小春と女郎が買い物袋を持って歩いていた。
そして、俺から声かけて、勇気をだして、丁寧にラッピングをされたリボンを見せる。
「その、もしかしてだ。その、バレンタイン本当にありがとうな」
「あとで、開けていい?」
「もちろん」
黒沢センパイ家に着いたあと、中身を確認した小春は俺に抱きついてきた。
「うおっ!」
小春の体温が俺を温める。
赤面して、嬉し涙を流しながら、小春は、
「敦志君、ありがとう。大好き」
バレンタインの時の想い出が鮮明にでてくる。
俺は応えるように小春の華奢な背中に手を回した。
悩むという言葉がゲシュタルト崩壊するくらい悩んでいる。
そして、俺今、すげぇメタな事考えてんなというのは分かっている。
森山と付き合って、約3ヶ月。
南や親以外の女子からはじめてチョコを貰って、舞い上がるのはいいが、お返しを考えなきゃいけない。
女子の好みをもっと分かっていれば俺はこんなに悩む必要は無かったのかもしれない。
例えば、裕太みたいに万人受けするお返しが出来ればいいんだが、俺にはそんな経験がなかったから、やむを得ず、ホワイトデー前日に夏休みに行ったショッピングセンターについてきてお返しを考えてくれるらしい。
ありがたい。
「……で、なんでついてきてんすか?」
「ア? いいじゃねェか? 俺だって舞花へのお返しが必要だからなァ。頼むわ。山内」
「あんまり期待しないでくださいね」
黒沢センパイって、意外としっかりしているんだよな。
雑な部分は本当に雑だけど。
「それにしてもよ、俺には女子の好みが分からねぇ。ネットでいくつか調べたけど、ネックレス? 指輪? 俺からすればどれもハードル高過ぎて無理だっつーの」
「装飾品は成功すれば効果大だけど、その人の好みにあったものじゃないと最悪別れるからね。無難なのは……ペンケースとかハンカチとかかな」
「そっか……。装飾品ねぇ……。あ」
装飾品と聞いて森山のトレードマークともいえるオレンジ色のリボンの存在を思い出す。
確かあれは、今は亡くなっている森山のお母さんから貰った物で大切に使っているって前に言ってたっけな。
最近、少し古くなってきている気がするんだよな。
「……新しいリボンなら、喜ぶか……?」
「リボンねぇ……」
「あ、わりぃ。口にでてた」
「なら、この店とかどうだァ?」
黒沢センパイが指差すのは、俺がロザリオを買った隣の店。
そこには、装飾品がたくさん置いてあり、おおつらええ向き合いだった。
「いいっすね。んじゃ、そこに行きましょう」
そう言って、俺達3人はその店に行く。
道中で、裕太は同級生らしき女子に声をかけられていた。
そして、1ヶ月前にバレンタインは終わったというのにチョコを貰っていた。
こんちくしょう。どんだけモテるんだよ。
裕太チョコフィーバーは1回限りでは終わらない。
持参した熊の絵が描いてあるマイバックがパンパンになるほどチョコを貰っていた。
ちなみに俺は小春を除いてバレンタインでチョコを貰った個数はゼロ。この天と地の差はなんだ。
裕太は、大量のチョコを抱えながら、俺達と共に歩く。
「いやぁー。チョコやっと無くなったと思ったらまた増えたよ。これ以上食べたら鼻血でそう」
「そのセリフ、俺にも言わしてくれ」
「チィッ、リア充め。爆せろ」
黒沢センパイこえぇな。
「黒沢さん、暗黒過ぎませんか?!」
「しゃーねェだろ。俺はこの季節が嫌いなんだよ。白膠も裕太もチョコ貰いすぎだっつーの」
「なりたくてモテてるんじゃないんですからね!?」
「俺はモテたくてもモテねぇの! その横で言うなよ……」
なりたくてモテてるんじゃねぇの?
そういう体質とかあんのかな。
そうこうしているうちに目当ての店に到着した。
「うおー……。どれが似合うかな……」
「俺、ちょっとここの空気無理だわ。この先すっげェカップルの匂いがするんだ。離れていいか?」
「敦志、考えるねぇ……。あ、このブレスレットキレイ……」
裕太の声にも黒沢センパイの声にも反応せず、ただショーケースに入っているリボンを見る。
小春にはなにが似合うのか。
モテない頭で一生懸命考える。
小春なら、名前通りに赤、もしくは、ピンク系の色がいいのか?
でもでも、お母さんのリボンはオレンジ色だから色に変化が生まれんしな。
青色はなんかダメな気がする。
となれば、黄色かな?
一番はじめに目についた黄色のリボンを手に取る。
「これ、買います」
俺は小春の喜んでくれる顔を想像して購入。
オマケでラッピングをしてくれた。
「あ、敦志君敦志君! 今ねー……それ、もしかして?」
帰り道、小春と女郎が買い物袋を持って歩いていた。
そして、俺から声かけて、勇気をだして、丁寧にラッピングをされたリボンを見せる。
「その、もしかしてだ。その、バレンタイン本当にありがとうな」
「あとで、開けていい?」
「もちろん」
黒沢センパイ家に着いたあと、中身を確認した小春は俺に抱きついてきた。
「うおっ!」
小春の体温が俺を温める。
赤面して、嬉し涙を流しながら、小春は、
「敦志君、ありがとう。大好き」
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俺は応えるように小春の華奢な背中に手を回した。
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