107 / 244
第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
58・5時間目 ドギマギのホワイトデー
しおりを挟む
俺は、今、猛烈に悩んでいる。
悩むという言葉がゲシュタルト崩壊するくらい悩んでいる。
そして、俺今、すげぇメタな事考えてんなというのは分かっている。
森山と付き合って、約3ヶ月。
南や親以外の女子からはじめてチョコを貰って、舞い上がるのはいいが、お返しを考えなきゃいけない。
女子の好みをもっと分かっていれば俺はこんなに悩む必要は無かったのかもしれない。
例えば、裕太みたいに万人受けするお返しが出来ればいいんだが、俺にはそんな経験がなかったから、やむを得ず、ホワイトデー前日に夏休みに行ったショッピングセンターについてきてお返しを考えてくれるらしい。
ありがたい。
「……で、なんでついてきてんすか?」
「ア? いいじゃねェか? 俺だって舞花へのお返しが必要だからなァ。頼むわ。山内」
「あんまり期待しないでくださいね」
黒沢センパイって、意外としっかりしているんだよな。
雑な部分は本当に雑だけど。
「それにしてもよ、俺には女子の好みが分からねぇ。ネットでいくつか調べたけど、ネックレス? 指輪? 俺からすればどれもハードル高過ぎて無理だっつーの」
「装飾品は成功すれば効果大だけど、その人の好みにあったものじゃないと最悪別れるからね。無難なのは……ペンケースとかハンカチとかかな」
「そっか……。装飾品ねぇ……。あ」
装飾品と聞いて森山のトレードマークともいえるオレンジ色のリボンの存在を思い出す。
確かあれは、今は亡くなっている森山のお母さんから貰った物で大切に使っているって前に言ってたっけな。
最近、少し古くなってきている気がするんだよな。
「……新しいリボンなら、喜ぶか……?」
「リボンねぇ……」
「あ、わりぃ。口にでてた」
「なら、この店とかどうだァ?」
黒沢センパイが指差すのは、俺がロザリオを買った隣の店。
そこには、装飾品がたくさん置いてあり、おおつらええ向き合いだった。
「いいっすね。んじゃ、そこに行きましょう」
そう言って、俺達3人はその店に行く。
道中で、裕太は同級生らしき女子に声をかけられていた。
そして、1ヶ月前にバレンタインは終わったというのにチョコを貰っていた。
こんちくしょう。どんだけモテるんだよ。
裕太チョコフィーバーは1回限りでは終わらない。
持参した熊の絵が描いてあるマイバックがパンパンになるほどチョコを貰っていた。
ちなみに俺は小春を除いてバレンタインでチョコを貰った個数はゼロ。この天と地の差はなんだ。
裕太は、大量のチョコを抱えながら、俺達と共に歩く。
「いやぁー。チョコやっと無くなったと思ったらまた増えたよ。これ以上食べたら鼻血でそう」
「そのセリフ、俺にも言わしてくれ」
「チィッ、リア充め。爆せろ」
黒沢センパイこえぇな。
「黒沢さん、暗黒過ぎませんか?!」
「しゃーねェだろ。俺はこの季節が嫌いなんだよ。白膠も裕太もチョコ貰いすぎだっつーの」
「なりたくてモテてるんじゃないんですからね!?」
「俺はモテたくてもモテねぇの! その横で言うなよ……」
なりたくてモテてるんじゃねぇの?
そういう体質とかあんのかな。
そうこうしているうちに目当ての店に到着した。
「うおー……。どれが似合うかな……」
「俺、ちょっとここの空気無理だわ。この先すっげェカップルの匂いがするんだ。離れていいか?」
「敦志、考えるねぇ……。あ、このブレスレットキレイ……」
裕太の声にも黒沢センパイの声にも反応せず、ただショーケースに入っているリボンを見る。
小春にはなにが似合うのか。
モテない頭で一生懸命考える。
小春なら、名前通りに赤、もしくは、ピンク系の色がいいのか?
でもでも、お母さんのリボンはオレンジ色だから色に変化が生まれんしな。
青色はなんかダメな気がする。
となれば、黄色かな?
一番はじめに目についた黄色のリボンを手に取る。
「これ、買います」
俺は小春の喜んでくれる顔を想像して購入。
オマケでラッピングをしてくれた。
「あ、敦志君敦志君! 今ねー……それ、もしかして?」
帰り道、小春と女郎が買い物袋を持って歩いていた。
そして、俺から声かけて、勇気をだして、丁寧にラッピングをされたリボンを見せる。
「その、もしかしてだ。その、バレンタイン本当にありがとうな」
「あとで、開けていい?」
「もちろん」
黒沢センパイ家に着いたあと、中身を確認した小春は俺に抱きついてきた。
「うおっ!」
小春の体温が俺を温める。
赤面して、嬉し涙を流しながら、小春は、
「敦志君、ありがとう。大好き」
バレンタインの時の想い出が鮮明にでてくる。
俺は応えるように小春の華奢な背中に手を回した。
悩むという言葉がゲシュタルト崩壊するくらい悩んでいる。
そして、俺今、すげぇメタな事考えてんなというのは分かっている。
森山と付き合って、約3ヶ月。
南や親以外の女子からはじめてチョコを貰って、舞い上がるのはいいが、お返しを考えなきゃいけない。
女子の好みをもっと分かっていれば俺はこんなに悩む必要は無かったのかもしれない。
例えば、裕太みたいに万人受けするお返しが出来ればいいんだが、俺にはそんな経験がなかったから、やむを得ず、ホワイトデー前日に夏休みに行ったショッピングセンターについてきてお返しを考えてくれるらしい。
ありがたい。
「……で、なんでついてきてんすか?」
「ア? いいじゃねェか? 俺だって舞花へのお返しが必要だからなァ。頼むわ。山内」
「あんまり期待しないでくださいね」
黒沢センパイって、意外としっかりしているんだよな。
雑な部分は本当に雑だけど。
「それにしてもよ、俺には女子の好みが分からねぇ。ネットでいくつか調べたけど、ネックレス? 指輪? 俺からすればどれもハードル高過ぎて無理だっつーの」
「装飾品は成功すれば効果大だけど、その人の好みにあったものじゃないと最悪別れるからね。無難なのは……ペンケースとかハンカチとかかな」
「そっか……。装飾品ねぇ……。あ」
装飾品と聞いて森山のトレードマークともいえるオレンジ色のリボンの存在を思い出す。
確かあれは、今は亡くなっている森山のお母さんから貰った物で大切に使っているって前に言ってたっけな。
最近、少し古くなってきている気がするんだよな。
「……新しいリボンなら、喜ぶか……?」
「リボンねぇ……」
「あ、わりぃ。口にでてた」
「なら、この店とかどうだァ?」
黒沢センパイが指差すのは、俺がロザリオを買った隣の店。
そこには、装飾品がたくさん置いてあり、おおつらええ向き合いだった。
「いいっすね。んじゃ、そこに行きましょう」
そう言って、俺達3人はその店に行く。
道中で、裕太は同級生らしき女子に声をかけられていた。
そして、1ヶ月前にバレンタインは終わったというのにチョコを貰っていた。
こんちくしょう。どんだけモテるんだよ。
裕太チョコフィーバーは1回限りでは終わらない。
持参した熊の絵が描いてあるマイバックがパンパンになるほどチョコを貰っていた。
ちなみに俺は小春を除いてバレンタインでチョコを貰った個数はゼロ。この天と地の差はなんだ。
裕太は、大量のチョコを抱えながら、俺達と共に歩く。
「いやぁー。チョコやっと無くなったと思ったらまた増えたよ。これ以上食べたら鼻血でそう」
「そのセリフ、俺にも言わしてくれ」
「チィッ、リア充め。爆せろ」
黒沢センパイこえぇな。
「黒沢さん、暗黒過ぎませんか?!」
「しゃーねェだろ。俺はこの季節が嫌いなんだよ。白膠も裕太もチョコ貰いすぎだっつーの」
「なりたくてモテてるんじゃないんですからね!?」
「俺はモテたくてもモテねぇの! その横で言うなよ……」
なりたくてモテてるんじゃねぇの?
そういう体質とかあんのかな。
そうこうしているうちに目当ての店に到着した。
「うおー……。どれが似合うかな……」
「俺、ちょっとここの空気無理だわ。この先すっげェカップルの匂いがするんだ。離れていいか?」
「敦志、考えるねぇ……。あ、このブレスレットキレイ……」
裕太の声にも黒沢センパイの声にも反応せず、ただショーケースに入っているリボンを見る。
小春にはなにが似合うのか。
モテない頭で一生懸命考える。
小春なら、名前通りに赤、もしくは、ピンク系の色がいいのか?
でもでも、お母さんのリボンはオレンジ色だから色に変化が生まれんしな。
青色はなんかダメな気がする。
となれば、黄色かな?
一番はじめに目についた黄色のリボンを手に取る。
「これ、買います」
俺は小春の喜んでくれる顔を想像して購入。
オマケでラッピングをしてくれた。
「あ、敦志君敦志君! 今ねー……それ、もしかして?」
帰り道、小春と女郎が買い物袋を持って歩いていた。
そして、俺から声かけて、勇気をだして、丁寧にラッピングをされたリボンを見せる。
「その、もしかしてだ。その、バレンタイン本当にありがとうな」
「あとで、開けていい?」
「もちろん」
黒沢センパイ家に着いたあと、中身を確認した小春は俺に抱きついてきた。
「うおっ!」
小春の体温が俺を温める。
赤面して、嬉し涙を流しながら、小春は、
「敦志君、ありがとう。大好き」
バレンタインの時の想い出が鮮明にでてくる。
俺は応えるように小春の華奢な背中に手を回した。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
致死量の愛と泡沫に+
藤香いつき
キャラ文芸
近未来の終末世界。
世間から隔離された森の城館で、ひっそりと暮らす8人の青年たち。
記憶のない“あなた”は彼らに拾われ、共に暮らしていたが——外の世界に攫われたり、囚われたりしながらも、再び城で平穏な日々を取り戻したところ。
泡沫(うたかた)の物語を終えたあとの、日常のお話を中心に。
※致死量シリーズ
【致死量の愛と泡沫に】その後のエピソード。
表紙はJohn William Waterhous【The Siren】より。

【完結】幻のような君を僕だけはずっと憶えている
猪本夜
青春
病気の兄を亡くした経験を持つコウは、余命一年のサヤと出会う。
そんなサヤに少しだけ振り回されるけれど、
いつもの毎日に彼女が入り込んで、だんだんと彼女が気になりだしていく。
明るい彼女だけど、余命以外にも謎めいた背景を抱えていて、
悲しい願いを望んでいることを知る。
そんな『幻』の彼女と過ごした僕の高校二年生の記憶――。
※9万字超ほどで完結予定。
※もしや、と思う地域や場所があるかもしれませんが、実在のものとは関係ありません。
※青春小説ボカロPカップにエントリー中。応援よろしくお願い致します。
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。
※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。


異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる