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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
57時間目 バレンタインの先刻と劣情
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冬休みと1月が終わった。
2月になるにつれて、男子の合同体育の時の熱の入り方が異常なのはきっと、バレンタインがあるからだろう。
そりゃ、俺だってチョコが欲しい。
森山の手作りチョコを貰えたら俺はきっと泣いて喜ぶ。
チョコじゃなくても、クッキーとかマカロンとか森山の手作りなら俺はなんでもいい。
いつものように俺の机に突っ伏している遼太郎。
そして、笑顔を撒き散らしながら次の授業の準備を終えて、こちらに来る裕太。
通りかかる度に女子がヒソヒソと話をしている。
くっそ、アイツバレンタインの日、絶対下駄箱に30個入っているだろ。
「もうすぐバレンタインだねー……。敦志去年までは、南ちゃんからしか貰えなかったんだよね。
南ちゃんは従妹だからカウントしないとして、今年はひとつ確定だね! やったね!」
俺は南にしか貰っていないと言う事を誰にも言っていない。
そして、言っていないそれをなんで裕太が知っているのか不思議だった。
「ちょっ……! お前なんで知ってんの?!」
「森山さんから聞いたんだ。文化祭の時に森山さんも知ったらしいよ」
アイツ、文化祭の時に言いやがったな。
俺の黒歴史なんだよおおおぉぉぉぉぉぉぉ……。
「敦志、黒歴史は誰でもある事だよ。まぁ、俺は去年10個だったよ!」
くっそ、このサルめ!
俺お前の事はサルって呼ばねぇけど今だけ心の中で言うわ。
このモテザルめ!
俺は思いっきり遼太郎を睨み付けると、「ひいっ!」と言って怯えて裕太の後ろに隠れた。
「敦志が久しぶりに怖いよぉ……。ここ最近森山さんと付き合って顔が優しかったのに……」
「敦志、君って本当にモテてなかったんだね」
「やめて? そんなこと言うの!」
裕太が急に俺の心のシールドを破壊しようとしてきた!
嘘だろ。
マジで泣くって。
俺泣くって。
「敦志ってラノベの無自覚系の主人公より無自覚だね……」
裕太が何かボソリと呟いたが、俺はそれを聞き取る事が出来なかった。
何を言っていたか気になったが授業開始のチャイムが鳴ったためそれを知ることは叶わなかった。
_______
毎日が楽しい。
そんな気持ちは中学2年生まではあった。
もちろん、その時はまだ好きとかそんな気持ちが分からなかったから敦志君と毎日居れた事が楽しかった。
今は大切な人と付き合う事になり、私の中で再び楽しい時間は戻った。
「小春ちゃん、小春ちゃん! 今日、一緒に帰らない?」
声をかけてきたのは舞花ちゃん。
私の学校に8月に転校してきてから、基本的に私達は一緒に帰ったりする事が多い。
これは、黒沢さんが私の配慮をしてくれているからだ。
どんな手を使ったのかは分からないけれど、舞花ちゃんが転校してきてきた時はビックリした。
「うんっ。帰ろ」
私と舞花ちゃんはテクテクと駅まで歩く。
「もうすぐ、バレンタインだね。その、小春ちゃんは、高橋君に渡すんだよね」
その言葉に少し顔が赤くなった。
まだ慣れない。
「う、うん。出来れば手作りで渡したいんだけど……何がいいか迷ってて」
「あ、その事なんだけど、一緒に作らない? 私皆にクッキー作ろうかなって思っててさ」
「おー……! いいの? それじゃあ、お願いしていいかな? いつにするの?」
「一応、当日に1日中使っていいって許可もらっているよ。小春ちゃん、お菓子作りすごく出来そう」
「そんな事ないよ。最近あんまり作っていないし……」
転校してからも友達の関係で何かを作ることはあったけれど、それ以外は作らなかった。
「楽しみ……」
「嬉しそう。私も恋愛したいなぁ……」
笑顔が咲く私達を暖かくなってきた風が優しく撫でていた。
2月になるにつれて、男子の合同体育の時の熱の入り方が異常なのはきっと、バレンタインがあるからだろう。
そりゃ、俺だってチョコが欲しい。
森山の手作りチョコを貰えたら俺はきっと泣いて喜ぶ。
チョコじゃなくても、クッキーとかマカロンとか森山の手作りなら俺はなんでもいい。
いつものように俺の机に突っ伏している遼太郎。
そして、笑顔を撒き散らしながら次の授業の準備を終えて、こちらに来る裕太。
通りかかる度に女子がヒソヒソと話をしている。
くっそ、アイツバレンタインの日、絶対下駄箱に30個入っているだろ。
「もうすぐバレンタインだねー……。敦志去年までは、南ちゃんからしか貰えなかったんだよね。
南ちゃんは従妹だからカウントしないとして、今年はひとつ確定だね! やったね!」
俺は南にしか貰っていないと言う事を誰にも言っていない。
そして、言っていないそれをなんで裕太が知っているのか不思議だった。
「ちょっ……! お前なんで知ってんの?!」
「森山さんから聞いたんだ。文化祭の時に森山さんも知ったらしいよ」
アイツ、文化祭の時に言いやがったな。
俺の黒歴史なんだよおおおぉぉぉぉぉぉぉ……。
「敦志、黒歴史は誰でもある事だよ。まぁ、俺は去年10個だったよ!」
くっそ、このサルめ!
俺お前の事はサルって呼ばねぇけど今だけ心の中で言うわ。
このモテザルめ!
俺は思いっきり遼太郎を睨み付けると、「ひいっ!」と言って怯えて裕太の後ろに隠れた。
「敦志が久しぶりに怖いよぉ……。ここ最近森山さんと付き合って顔が優しかったのに……」
「敦志、君って本当にモテてなかったんだね」
「やめて? そんなこと言うの!」
裕太が急に俺の心のシールドを破壊しようとしてきた!
嘘だろ。
マジで泣くって。
俺泣くって。
「敦志ってラノベの無自覚系の主人公より無自覚だね……」
裕太が何かボソリと呟いたが、俺はそれを聞き取る事が出来なかった。
何を言っていたか気になったが授業開始のチャイムが鳴ったためそれを知ることは叶わなかった。
_______
毎日が楽しい。
そんな気持ちは中学2年生まではあった。
もちろん、その時はまだ好きとかそんな気持ちが分からなかったから敦志君と毎日居れた事が楽しかった。
今は大切な人と付き合う事になり、私の中で再び楽しい時間は戻った。
「小春ちゃん、小春ちゃん! 今日、一緒に帰らない?」
声をかけてきたのは舞花ちゃん。
私の学校に8月に転校してきてから、基本的に私達は一緒に帰ったりする事が多い。
これは、黒沢さんが私の配慮をしてくれているからだ。
どんな手を使ったのかは分からないけれど、舞花ちゃんが転校してきてきた時はビックリした。
「うんっ。帰ろ」
私と舞花ちゃんはテクテクと駅まで歩く。
「もうすぐ、バレンタインだね。その、小春ちゃんは、高橋君に渡すんだよね」
その言葉に少し顔が赤くなった。
まだ慣れない。
「う、うん。出来れば手作りで渡したいんだけど……何がいいか迷ってて」
「あ、その事なんだけど、一緒に作らない? 私皆にクッキー作ろうかなって思っててさ」
「おー……! いいの? それじゃあ、お願いしていいかな? いつにするの?」
「一応、当日に1日中使っていいって許可もらっているよ。小春ちゃん、お菓子作りすごく出来そう」
「そんな事ないよ。最近あんまり作っていないし……」
転校してからも友達の関係で何かを作ることはあったけれど、それ以外は作らなかった。
「楽しみ……」
「嬉しそう。私も恋愛したいなぁ……」
笑顔が咲く私達を暖かくなってきた風が優しく撫でていた。
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