親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~

56・5時間目 笑顔の新年

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「フレンチトースト食べたい人挙手!」
「「「「はーい!!」」」」
見事に女性陣だけが挙手。
俺は、少し昔の事を思い出しながら、厨房へ向かう。
初めて、杏に作ったのがフレンチトーストだった。
先にフライパンを熱して、その間に半分に切った食パンを卵液につけて、よく混ぜる。
そして、熱したフライパンにそれを入れる。
焼き目がついたら裏返して、そこから程よく焼けると完成。
皿に移して、アイスを盛りつければ完成。
それを俺は持っていく。
「わぁー……! 凄いわね。楓君」
神谷さん俺の事呼び捨てなのな。
別にいいけど下の名前で呼ばれるのは恥ずかしい。
中学の頃から自分の下の名前嫌いなんだよな。
「すごい……。これ、三島さん一人で?」
「うん。そうだよ。お口に合うといいな」
「すっごく美味しいです!」
「ありがとう。二人とも」
よかった。口に合ってくれて、美味しいの言葉を貰えたから料理人冥利に尽きる。
女性陣は、美味しい美味しいとフレンチトーストを食べてくれた。
さて、パーティーは一段落。
後は雰囲気を楽しめばいいか。
「ごちそうさま。美味しかったわ。その……今度、また作ってほしいな」
杏は不意打ちで俺に甘えるから心を更に動かされる。
「うん。一緒に居る限り何度でも作るよ」
僕らは皿洗いを一緒にして、再び席に座る。
「ふっふっふ……。二十歳彼氏なし独身女子の前でイチャイチャと……。いいわねぇ。青春だわぁ」
神谷さんがなんか怒ってる?!
鬼の形相で俺達を見ている。
表面上は笑顔だが、俺はその奥の鬼が見える。
こっえぇぇぇ。
高橋君もなんか怯えてるし。
「と、とりあえずゲームしようか。トランプあるんだけど、何する?」
俺はトランプを取り出して、皆に意見を求める。
「ババ抜きとかどうだァ」
「七並べとかどうですか?」
「おっ、いいねいいね。それじゃあそのふたつをしようか」
睡蓮君と山内君ナイスアシスト!
君達超優秀じゃん。
俺は十セットずつカードを配る。
そして、皆おそるおそるカードを引く。
ジョーカーを引いたときに顔に出たり、すれば、この子ジョーカー持っているんだなと思い、俺はポーカーフェイスがあんまり得意じゃないから普通にバレる。


      _______



「おっし、あがり!」
女郎さん、高橋君、裕太君、神谷さん、杏があがり、残るは俺、森山さん、睡蓮君、三石君だ。
森山さんが俺のカードを引いて、カードを捨てた。
彼女はもうあがりだ。
睡蓮君もあがって、後は俺と三石君の一騎打ちだ。
俺は三石君のカードを引く。
ジョーカーを引いた。
三石君が真ん中のカードを引こうとする。
ジョーカーだ。
引けっ。
きっと、願いが顔に出ていたのだろう。
左の数字のカードを引く。
「おっしゃあ! あがりっ!」
俺はババ抜き完敗だった。
「負けたか」
昔はよく勝てたんだけどなと言い訳を口にしながら、思う。
この先、やっていけるだろうか。
カフェをやっていけるかという不安もある。
ここ最近はお客さんが減っているから。
だけど、もうひとつ。
俺はまだ杏にプロポーズをしていない。
この時間は楽しい。
だけど、いつか飽きる。
マンネリ化してしまう。
それだけは、避けたい。
俺は少し覚悟を決めた。
俺の横に居てくれて、いつも笑顔なあなたに想いを伝えることを。
それが、俺が出来る精一杯の事だから。
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