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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~

55・5時間目 大晦日の夜遊び

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「あっー! くっそ! その攻撃コンボはずりぃ! だぁー!」
強烈な攻撃を喰らい、俺が操作しているキャラは宙を舞い、吹き飛ぶ。
しかし、場外には飛ばず、ギリギリ生きていた。
「あっ、まだ生きてる! 喰らえ! メガソイン!」
遼太郎が操作するキャラが雷を帯びた剣を振る。
しかし、俺は必殺である反射攻撃をだす。
「喰らうか! 反射!」
「なぁに!?」
遼太郎のキャラが放った稲妻は反射され、強烈な一撃となり、一発逆転。
遼太郎のキャラが吹き飛び、場外へ。
そして、俺の勝利が画面上に浮かび上がる。
「おっしゃ……。勝った」
「うっそー! ボコりコンボで攻撃したのに……」
遼太郎は悔しそうにしていた。
勝ち抜き戦で俺達はやっている。
現在時刻23時。
あれから、一度全員家に帰って、年越し蕎麦を食べた。
南が揚げた海老天は普通に美味かった。
それを褒めたら『ええこと言うやん。あつにい! 来年は森山さんと食べや』と一言多いんだよと言って、チョップをかましてやった。
お前ら脳内お花畑か。
最後は遼太郎のやりたい事を叶えるために裕太の家に行った。
そして、20時からこうしてゲームを楽しんでいる。
最初はカートゲームから始まり、今は格闘ゲームをプレイしている。
「反射には勝てんな。裕太、今度こそ、勝つからな」
ちなみに、対戦の形式は一度3人で乱闘をして勝った人がチャンピオン。
これは、裕太の圧勝だった。
それを俺と遼太郎で勝負して、勝った方が裕太に挑める。
というのが主なルールだ。
ちなみに、負けたら同じキャラの使用禁止、アイテムは使用禁止のルールも加えている。
フリッツを食べていた裕太が椅子から立ち上がり、カーペットに座り込む。
モフモフのグレーのパジャマを着て、めっちゃ防寒装備だ。
「ステージどこにする?」
「どこでもいいよ。敦志が好きなところで」
俺は、その言葉にニヤリと不敵に笑う。
「言ったな。後悔するなよ?」
「もちろん」
俺はイジワルをする。
ステージ内にいるキャラに近付いたら、そのキャラが味方になってくれるというボコるのには、最適なステージだ。
しかも、そのキャラは中々撃墜する事が出来ないというオマケ付きだ。
俺は、そのステージを選択。
そして、互いにいちばん扱いやすいキャラを選択して、ゲーム開始。
「うわっ……。敦志性格悪っ。移動が速いキャラですぐに味方につける気だね。でも、そうはさせないよ」
そういうと裕太のキャラは火の呪文書で攻撃をしてきた。
俺は自身のキャラで反射を繰り出そうとするも、数秒遅かった。
その攻撃を喰らい、裕太のキャラがステージのキャラを味方につけた。
「あっ、くそ! やばっ! 殴ってくるな! ちょ、体力吸収はヤバイ!」
「ふっふっふ……。僕に勝てるのは、その髪型と彼女がいるという事だけだよ敦志」
秒殺だった。
俺のキャラは一直線に伸びる電撃攻撃によって吹き飛び、裕太の勝利となった。
裕太のキャラの勝利が映し出される。
「くっそ! また負けた! もう一回だ!」
「何度でも挑戦しなよ。だけど、もうすぐカウントダウン始まるんじゃない?」
ふと、スマホを見ると23時49分。
もうすぐ元日だ。
「あっー! あと10分だよ! 敦志、テレビの画面変えて!」
「お、おう」
こうして、俺達のやりたいことは終わった。
カウントダウン。
今年の俺はただ年を過ごすだけの悲しい過ごし方じゃない。
裕太や遼太郎、それに森山がいる。
色々な事があった。
出会って、友達になって、カラオケに行って、バイトをして、パーティーをして、ライブをして、死闘を繰り広げて、友情を確かめて、俺を支えてくれる人が出来た。
昔の俺はこんな充実した高校生活を送るなんて思っていない。
森山と再会できたのも、付き合えたのも全部親友たちのおかけだ。
俺は今に感謝したい。
今年が終わるまであと5分をきった。
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