親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

文字の大きさ
上 下
99 / 244
第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~

55時間目 大晦日の娯楽

しおりを挟む
「なぁ、なんでこんな事になったんだ?」
俺達が今いるのは、地元の銭湯。
地元民の間では憩いの場だ。
「いや~、最近銭湯に行くのハマっていてさ。せっかくだから皆で行こうかなって」
「山内は、趣味がオッサンだね。でも、俺はいいと思うな! 結構体にいいらしいよ」
「そうそう、婿入り前の体になにかあったらいけないからね」
「ちょっとまて、お前ら、なんで結婚を前提に言ってんの?」
「えっ、だって、結婚するんでしょ?」
「するかもしれない」
「おやおや、敦志君。中途半端な気持ちじゃ森山さんが泣いてしまうよ」
「裕太、脅すのやめろ」
まったくと俺はため息をつく。
今日は、12月31日。
大晦日だ。
中学の頃は、0時まで起きていて、友達に新年の挨拶を送ってから寝ていた。
それまでの時間はテレビを見て、ダラダラと時間を潰していた。
だけど、今年は裕太の提案で、【今年最後にやりたい○○】というゲームをすることになり、裕太、俺、遼太郎の順番でひとつだけ行きたい所に行ったり、遊んだりする。
真っ昼間に裕太の家に来て、歩いてここにきたのだが。
一つ目がまさかの、銭湯。
「とりあえず、中に入ろうよ。寒いからさ」
「おう」
俺達は、男風呂の扉を開け、裕太が1歩俺達の前に出て、
「おじさん、高校生3人で!」
「はいよー! 裕太君のツレだからマケておくよ。一人200円ね! いや~、裕太君のおかげで客が増えたよ……! ありがたいっ!」
どうやら、裕太はここの常連らしい。
裕太も気楽にハゲ……違うか。スキンヘッドの30代、もしくは40代くらいのオッサンに話しかけている。
オッサン曰く、裕太にお近付きになりたい若い女性客が増えているとかなんとか。
「別に僕はなにもしてませんから……」
「いやいや、君が来てから1日に来るお客さんが女性客の割合が増えたからね。過疎化、少子高齢化が進んでるこの地域にとってありがたいことだよ」
学校でも、社会全体についての授業をやっている。
このオッサンにとって、裕太は救世主のような感じなのだろう。
「まぁ、長話はこの辺りにして、青春を楽しめよ。俺には気持ちが分からないからさ」
厳つかったオッサンの顔に笑顔に溢れた。
少し、俺にはその言葉が刺さった。


      _______



「ふぃ……。きっもちぃぃ……」
ふぅとため息に近い息がでる。
風呂って、こんなに気持ち良かったっけな……。
身体中から疲れがジワジワと湯に溶けだしている。
「ここの柚子風呂いいねぇ! 俺、けっこう好きだな!」
俺の横に入ってきた遼太郎が歓喜の声をあげる。
露天風呂だからか、それとももともと遼太郎の声がデカイのか、めっちゃ声が響く。
「裕太は?」
「まだシャワーと格闘してるよ。美容がなんたらこうたら、脱毛がうんたらかんたらって、俺にはオシャレをするやつの気持ちが分からない」
「あいつ、シャワーなげぇって思ってたけどそんな事もしてるんだな。そりゃ、モテるな」
「やっぱり、リア充は違うね。それにしても、あったかぁーい」
「一生入ってられる……は言い過ぎか。でも、疲れが溶けていくような感覚なんだよな」
ガラガラとドアが開く音がした。
俺達は、同時に振り向く。
そこには、裕太。
「どうしたの? 二人とも?」
「や、腹筋すげぇなぁって思って」
「なんで、センター分けなの?」
俺も気になっていた。
裕太は普段ストレートなのに、今はセンター分けをしているからだ。
ちなみに、俺の髪型は超協力な接着剤でもつけてんのかと思うほど髪をどれだけ濡らしても、髪型は少し、ハネる度合いが減っただけでほとんどいつもと変わらずハネまくる。
「あぁ。実はこれをしてからじゃないといつもみたいにまっすぐにならないんだ。だからやってる」
「マジか。んじゃ、温まったらサウナでも入ろうぜ」
「じゃあじゃあ、どれだけ長くいられるか我慢大会しようよ!」
「おっ、三石いいね! 一番初めに出た人は明日罰ゲームを受けてもらうよ!」
「オイオイマジかよ。って、ん? 明日に罰ゲームってどういうことだよ?」
「あれ? 言ってなかったっけ? 明日MISHIHANAで皆で集まる事。明日、皆でパーティーするよ 」
「えっと、それはだいたい何人くらい来る?」
遼太郎が裕太に投げ掛ける。
俺も同じ事を聞こうとしていた。
「知り合いかな」
もっと早く言えよおおおぉぉぉぉぉ!


      _______



「あっつい! 無理もうでるっ!」
「……無理、これ……」
俺と遼太郎は汗を流してから、水風呂に一直線。
サウナとの急激な温度差で一度はでようとしたものの、そのまま浸かった。
「はぁ……。生き返る」
「きっもちぃぃな、オイ」
裕太がスタスタと歩いてきて、汗を流しながら、
「それじゃ、二人とも罰ゲームってことで用意しておくよ」
「裕太、お、お前まさか……」
急に慣れてきたはずの水風呂の寒さが再び体を襲う。
「メイド服じゃないよな……」
「ふっふっふ……。どうだろうね」
その時に見た裕太の笑顔はまるで悪魔だった。
やめてくれぇぇぇぇ!
俺が着たら軽く地獄だからぁぁぁぁ!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

想妖匣-ソウヨウハコ-

桜桃-サクランボ-
キャラ文芸
 深い闇が広がる林の奥には、"ハコ"を持った者しか辿り着けない、古びた小屋がある。  そこには、紳士的な男性、筺鍵明人《きょうがいあきと》が依頼人として来る人を待ち続けていた。 「貴方の匣、開けてみませんか?」  匣とは何か、開けた先に何が待ち受けているのか。 「俺に記憶の為に、お前の"ハコ"を頂くぞ」 ※小説家になろう・エブリスタ・カクヨムでも連載しております

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺たちの共同学園生活

雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。 2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。 しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。 そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。 蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?

処理中です...