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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~

51・5時間目 ココロノナカ

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皆でご飯を食べながら、私は顔を少し赤くしながらも会話を楽しんでいる。
神谷さん……。
あんまり、私が高橋君の事が好きな事知らせないで~!
せめて、明日の遊園地のペアチケットがあるからそれに誘ってからにして欲しかった。
このパーティーの存在を知ったのは2日前の事。
雑誌の懸賞で有名な遊園地のペアチケットを応募していて、それが当たったと私1週間前には知っていた。
前から舞花ちゃんとは一緒に行けたらいいねと話していたので当たった事を言おうと電話をしたら、舞花ちゃんからのお誘いで山内君の家でパーティーをしようと言われた。
そして、そのチケットは高橋君と行くのに使ってとも言われた。
もちろん、それを言われた時はすごく焦った。
なんで山内君が舞花ちゃんの事を知っているのかは知らないけど、黒沢さんか菫ちゃん、もしかしたら神谷さんが教えたりしたのだろう、そしてなんで舞花ちゃんに高橋君の事が好きだということがバレているのかこれはきっと神谷さんが言ったに違いないと自己完結した。
その日はクリスマス前日のクリスマスイブだからきっとクリスマスパーティーか何かをすると思っていた。
メンバーの詳細は知らされていなかった。
今思えば、これは神谷さんの企みだと思う。
舞花ちゃんはきっとそんな事はしないだろうから。
まぁ、そのおかげと言えばおかげなのだけれど、私は楽しい時間を過ごせている。

そして、現在。
私は、大好きなチーズケーキを食べている。
チーズケーキはサクサクのタルトに濃厚なチーズがマッチして美味しい。
子供の時から大好きで、良くお父さんに買ってきてもらっていたのを覚えている。
行動範囲が広くなった今は、自分でデパートに買いに行くようになり、月に一度、自分へのご褒美として買いに行く。
山内君が買ってきてくれたのは、私のお気に入りのよく食べている有名パティシエが作ったチーズケーキ。
「ん~! おいひ~!」
「うまっ。そういや、チーズケーキ久しぶりに食ったわ」
「口にあって良かったよ。ドンドン食べてよ。僕あんまりケーキとかの甘いもの好きじゃなくてさ。もっとガッツリした濃い味の物のほうが好きなんだよね」
「へぇ~、私と同じね。私も写真映え~! とかの甘ったるいスイーツとか飲み物あんまり好きじゃないわ」
「神谷さんもなんですね。俺は逆だなぁ。甘いもの大好きなんだ! だって、美味しいじゃん?」
三石君は、そういえば前にファミレス行った時もなんかめちゃくちゃ甘そうなパフェを食べていたなと思い出す。
ちなみに、あのパフェは最近写真映えするとネットで話題になっている。
私もよく食べ物の写真を撮ったりするけれど、あんまり映えとかは狙わない。
「そういえば、神谷さん、自炊するんですか?」
「お? 裕太、お前神谷さん狙ってんのか? 高学歴スタイル抜群ゆるふわお姉さんだぜ? 最高の物件だよな」
「もー!! 高橋君褒めすぎ! キャーっ! そんなに褒めてもなにもでないわよー!」
神谷さんって、結構チョロいのかも知れない。
この人も後二ヶ月で二十歳。
もうすぐ成人だ。
彼氏さんとかいるのだろうか。
少し気になる。
「いやいやいや、僕には恋とかそんなのは早かったから。僕は逆に他人の恋愛を応援したいな」
チラリと山内君は私と高橋君を見る。
これ、言った方がいいのかなぁ。
「たっ、高橋君……!」
「なっ、なに?!」
私はソロりとチケットを見せて、真っ赤になっているであろう顔をうつむきながら、
「あっ、明日っ、一緒に、行きませんか?」
勇気を出して言った。
私、誘えた。
頭の中がグルグルしてるよぉ……。
「お、おう。もしよければよろしくお願いします」
と言ってくれた。
少し安堵する。
「そ、それじゃあ、明日の昼頃、高校の最寄りの駅で待ち合わせ……していい?」
「わ、分かった」
私は心の中で安堵の息を吐いた。
はぁぁぁぁぁぁぁ……良かった。
数分後、山内君のお開きの言葉で約2時間ほど続いたクリスマスイブパーティーの幕が降りた。
そして、私は夕焼けの空をバックに三石君と帰ろうとする高橋君に笑顔で言った。
「じゃあ、明日、ねっ」
それの返事として返ってきた「俺も楽しみにしている」という言葉が空耳ではありませんようにと願いながら、駅へと舞花ちゃんとニヤニヤしている神谷さんとで歩いていった。
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