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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
51時間目 日常
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文化祭のあの日から2週間後、俺達は元の日常に戻った。
最初の2、3日は噂を聞いたクラスメイトから怪奇の目で見られている事があり、裕太も少しでも心の支えとなっていた幼馴染みが学校に来ない事に落ち込んでいた。
宮浦はもう、学校には来ない。
学校の先生は家の用事で転校と言っていたが俺達には例の事だと分かった。
だが、話題すぐに別の話題へと移り変わった。
クリスマス。
聖なる一夜。
明日はクリスマス。
彼氏彼女リア充が生まれるイベントである。
まぁ、モテなくて非リアな俺にとっては羨ましい限りだ。
裕太は多少落ち込んでいるが一見そんな素振りを見せないようにするくらいは回復はしていた。
俺はクリスマスイブと言われる今日、裕太の家に来いと言われた。
なにやら3人でパーティーをするとかなんとか。
「敦志、来たね! ささ、入って入って!」
元のテンションに戻ってよかったなと思いながら、俺は裕太の誘いに乗り入った。
その自分をぶん殴りたい。
案内されたのは普段よく行く裕太の部屋ではなくリビング。
そこには、森山、神谷さん、女郎が居た。
「あっ……」
「高橋君、おつかれー」
「高橋さん、どうも……」
「……裕太、これどういう事?」
「えっ? なにが? 暇なら来てって呼んだだけだよっ?」
なにが『呼んだだけだよっ』だよ!
ちょっときまずいいいぃぃぃ……。
森山ああぁぁぁ……。
「あっ、敦志! そこの席に座ってよ! 青色のお皿置いているところ!」
トイレから出てきた遼太郎が指差すのは森山の正面。
もうそれですら、この二人と神谷さんの企みがあるのではないかと思ってくる。
森山は中学の頃の事もあるし、普通に接しても接し方があってるのか不安になるんだよな。
「うっす……」
「高橋君、久しぶり。その……ライブ、かっこよかった、よ……」
はい、反則です。
その屈託のない純粋で無垢な笑顔は。
森山の笑顔に心に天使が射った3本目の愛の矢が俺の理性を砕きます。
「お、おう……サンキュ……」
「それじゃあ、始めよっか。それでは~! メリークリスマスー!」
「「「「「「メリークリスマスー!!!!!!」」」」」」
_______
クリスマスイブパーティーが始まった。
スーパーで買ったと思われるチキンの替わりの唐揚げ、ホールケーキの替わりのチーズタルト。
それをつまみながら俺達は会話を楽しんでいた。
「それにしても、高橋君。そろそろ冬休みよね? またバイトに来てくれない? 年末年始は忙しくて……」
「あ、黒沢センパイにそういや来いって言われてました。分かりました。行けたらいきます」
「それ、絶対来ないわね……。まぁ、いいわ。小春ちゃんとイチャイチャしておきなさい。青春は逃したらもう2度と戻って来ないわよ」
その言葉に俺と森山の顔は真っ赤になった。
「かっ、神谷さん?! なに言って!」
「あらあら~? 小春ちゃんは素直じゃないわね~……」
「いやいや……。神谷さん、そんなのないっすから。森山はさすがに俺なんてただの友達としか思ってないですって」
「……そんな事はないよ。ただの友達じゃ、ないよ」
「じゃあなに?」
まさか。
いや、そんなわけ。
でも、期待してしまう。
やめろ。
非リアな俺にはそんな漫画みたいな事は起こらない。
森山は深呼吸しながら、
「親友でしょ……?」
と上目遣いで言った。
上目遣いに動かされたんじゃない。
この言葉に、俺は何度も心を動かされる。
溢れてくる気持ち。
これが恋。
恋心。
前から気が付いていた。
だけど。
まだ。
言うべきじゃないだろ……!
心に決めている。
どうせなら、明日。
予定があるのか知らねぇけど、俺は森山に告白する。
この気持ちを伝えずに腐らすのはもったいねぇから。
そして、忘れたくない。
今、俺が恋をしているこの気持ちを。
最初の2、3日は噂を聞いたクラスメイトから怪奇の目で見られている事があり、裕太も少しでも心の支えとなっていた幼馴染みが学校に来ない事に落ち込んでいた。
宮浦はもう、学校には来ない。
学校の先生は家の用事で転校と言っていたが俺達には例の事だと分かった。
だが、話題すぐに別の話題へと移り変わった。
クリスマス。
聖なる一夜。
明日はクリスマス。
彼氏彼女リア充が生まれるイベントである。
まぁ、モテなくて非リアな俺にとっては羨ましい限りだ。
裕太は多少落ち込んでいるが一見そんな素振りを見せないようにするくらいは回復はしていた。
俺はクリスマスイブと言われる今日、裕太の家に来いと言われた。
なにやら3人でパーティーをするとかなんとか。
「敦志、来たね! ささ、入って入って!」
元のテンションに戻ってよかったなと思いながら、俺は裕太の誘いに乗り入った。
その自分をぶん殴りたい。
案内されたのは普段よく行く裕太の部屋ではなくリビング。
そこには、森山、神谷さん、女郎が居た。
「あっ……」
「高橋君、おつかれー」
「高橋さん、どうも……」
「……裕太、これどういう事?」
「えっ? なにが? 暇なら来てって呼んだだけだよっ?」
なにが『呼んだだけだよっ』だよ!
ちょっときまずいいいぃぃぃ……。
森山ああぁぁぁ……。
「あっ、敦志! そこの席に座ってよ! 青色のお皿置いているところ!」
トイレから出てきた遼太郎が指差すのは森山の正面。
もうそれですら、この二人と神谷さんの企みがあるのではないかと思ってくる。
森山は中学の頃の事もあるし、普通に接しても接し方があってるのか不安になるんだよな。
「うっす……」
「高橋君、久しぶり。その……ライブ、かっこよかった、よ……」
はい、反則です。
その屈託のない純粋で無垢な笑顔は。
森山の笑顔に心に天使が射った3本目の愛の矢が俺の理性を砕きます。
「お、おう……サンキュ……」
「それじゃあ、始めよっか。それでは~! メリークリスマスー!」
「「「「「「メリークリスマスー!!!!!!」」」」」」
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クリスマスイブパーティーが始まった。
スーパーで買ったと思われるチキンの替わりの唐揚げ、ホールケーキの替わりのチーズタルト。
それをつまみながら俺達は会話を楽しんでいた。
「それにしても、高橋君。そろそろ冬休みよね? またバイトに来てくれない? 年末年始は忙しくて……」
「あ、黒沢センパイにそういや来いって言われてました。分かりました。行けたらいきます」
「それ、絶対来ないわね……。まぁ、いいわ。小春ちゃんとイチャイチャしておきなさい。青春は逃したらもう2度と戻って来ないわよ」
その言葉に俺と森山の顔は真っ赤になった。
「かっ、神谷さん?! なに言って!」
「あらあら~? 小春ちゃんは素直じゃないわね~……」
「いやいや……。神谷さん、そんなのないっすから。森山はさすがに俺なんてただの友達としか思ってないですって」
「……そんな事はないよ。ただの友達じゃ、ないよ」
「じゃあなに?」
まさか。
いや、そんなわけ。
でも、期待してしまう。
やめろ。
非リアな俺にはそんな漫画みたいな事は起こらない。
森山は深呼吸しながら、
「親友でしょ……?」
と上目遣いで言った。
上目遣いに動かされたんじゃない。
この言葉に、俺は何度も心を動かされる。
溢れてくる気持ち。
これが恋。
恋心。
前から気が付いていた。
だけど。
まだ。
言うべきじゃないだろ……!
心に決めている。
どうせなら、明日。
予定があるのか知らねぇけど、俺は森山に告白する。
この気持ちを伝えずに腐らすのはもったいねぇから。
そして、忘れたくない。
今、俺が恋をしているこの気持ちを。
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