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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
50時間目 後悔と罰
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「ここは……」
私はどこか分からない場所で目を覚ます。
私は確か、裕太くんに殴られた。
どうして、こうなったのか。
私の想いは伝わらない。
想いはもう、届くことがない。
行き場のない膨大な想いは私の背中を重くする。
涙が止まらない。
伝わらない。伝えられない。
届かない。
手が、届いてくれない。
私は、これからどうなるのだろう。
「起きたか」
声の方に目をやると、見知らぬ男性。
その男性は警察の制服を着ているため、警官だと分かった。
私はなにかされるのではと思い、その人を睨む。
「おおー……。こわいこわい……」
微笑混じりに彼は言う。
きっと、バカにしているのだろう。
「なにをする気?」
「ん? なにもしない。別に俺はセクハラ課長じゃないからな。つーか、高校生には興味がない。そこらのオッサン刑事じゃお前が色仕掛けを使ったら逃がしそうだからな。だから俺だ。一応、名前は伝えておく。俺の名前は白膠孝木。まぁ、とりあえずゆっくりしておけ。もうすぐ事情聴衆の時間だから」
名前を教えてもらっても別に興味がないので覚えない。
そういって男はペットボトルの水を差し出す。
受け取るとひんやりとしていて脳内の混乱を少し落ち着けてくれた。
体は水分を欲していたため、ありがたかった。
「今の何曜日ですか?」
私はジャブ程度に質問をする。
これで私はどうなるのか一刻も早く知りたかった。
「今か? 丁度時間が変わったところだ。土曜日だよ。おっ、もう12月か」
男は続けて、
「まだ寝とくか? 加害者とはいえまだ子供。一応少年法でお前は護られている。メディアが伝える事はきっと無い。でも、被害者の心の傷は一生消えない。癒えない、だろ?」
寒気がした。
少し前まであんなに優しい雰囲気だった男が、悪魔のような顔をしている。
「わ、たし、は……」
なんとか声を振り絞る。
「ん?」
男は元の優しい雰囲気に戻る。
「私は、どうなるの、ですか?」
男はため息をついて、部屋の中にある椅子に座った。
「分かるだろうけどここは面会室。君はこれからどうするかを審議する。君の人生はこれからどうなるかは君の態度によるよ。あと、この件は学校に連絡がいく。君は親にも迷惑をかけているし、山内君に心の傷を負わしている。高橋君にも三石君にもね。さっきも言った通りだけど、人は傷つけられた心の傷は癒える事はない。皆隠しているんだ。俺もそう。まぁ、これからどうなるかはここで考えを改めな」
そういって、男は机にうつ伏せになった。
それよりも、私は。
この感覚は初めてだった。
なに、なになの。
これは、これは。
自分が、怖い。
これが、恐怖。
これが、自己嫌悪。
私は、知った。
初めて知った。
やっと、気がついた。
犯した罪の重さに気がついた。
__________
「大変だったな……」
俺達は黒沢センパイに車で送られている。
「うん。二人ともほんとごめん。敦志、腕大丈夫?」
「おう、痛みも消えたし大丈夫だ」
「大丈夫だよー! 俺は見ていただけだけどな」
俺達二人で裕太を元気づけようとするも、彼は暗い顔をしたままだ。
「お前らァ、この2日はしっかり休めよ。特に山内と敦志。気ィつけろ」
「はい……分かりました」
「了解っす」
返事の仕方でさえ、こんなにも違いが出る。
俺達を乗せたアルファードは不安な気分で夜道を駆けていった。
私はどこか分からない場所で目を覚ます。
私は確か、裕太くんに殴られた。
どうして、こうなったのか。
私の想いは伝わらない。
想いはもう、届くことがない。
行き場のない膨大な想いは私の背中を重くする。
涙が止まらない。
伝わらない。伝えられない。
届かない。
手が、届いてくれない。
私は、これからどうなるのだろう。
「起きたか」
声の方に目をやると、見知らぬ男性。
その男性は警察の制服を着ているため、警官だと分かった。
私はなにかされるのではと思い、その人を睨む。
「おおー……。こわいこわい……」
微笑混じりに彼は言う。
きっと、バカにしているのだろう。
「なにをする気?」
「ん? なにもしない。別に俺はセクハラ課長じゃないからな。つーか、高校生には興味がない。そこらのオッサン刑事じゃお前が色仕掛けを使ったら逃がしそうだからな。だから俺だ。一応、名前は伝えておく。俺の名前は白膠孝木。まぁ、とりあえずゆっくりしておけ。もうすぐ事情聴衆の時間だから」
名前を教えてもらっても別に興味がないので覚えない。
そういって男はペットボトルの水を差し出す。
受け取るとひんやりとしていて脳内の混乱を少し落ち着けてくれた。
体は水分を欲していたため、ありがたかった。
「今の何曜日ですか?」
私はジャブ程度に質問をする。
これで私はどうなるのか一刻も早く知りたかった。
「今か? 丁度時間が変わったところだ。土曜日だよ。おっ、もう12月か」
男は続けて、
「まだ寝とくか? 加害者とはいえまだ子供。一応少年法でお前は護られている。メディアが伝える事はきっと無い。でも、被害者の心の傷は一生消えない。癒えない、だろ?」
寒気がした。
少し前まであんなに優しい雰囲気だった男が、悪魔のような顔をしている。
「わ、たし、は……」
なんとか声を振り絞る。
「ん?」
男は元の優しい雰囲気に戻る。
「私は、どうなるの、ですか?」
男はため息をついて、部屋の中にある椅子に座った。
「分かるだろうけどここは面会室。君はこれからどうするかを審議する。君の人生はこれからどうなるかは君の態度によるよ。あと、この件は学校に連絡がいく。君は親にも迷惑をかけているし、山内君に心の傷を負わしている。高橋君にも三石君にもね。さっきも言った通りだけど、人は傷つけられた心の傷は癒える事はない。皆隠しているんだ。俺もそう。まぁ、これからどうなるかはここで考えを改めな」
そういって、男は机にうつ伏せになった。
それよりも、私は。
この感覚は初めてだった。
なに、なになの。
これは、これは。
自分が、怖い。
これが、恐怖。
これが、自己嫌悪。
私は、知った。
初めて知った。
やっと、気がついた。
犯した罪の重さに気がついた。
__________
「大変だったな……」
俺達は黒沢センパイに車で送られている。
「うん。二人ともほんとごめん。敦志、腕大丈夫?」
「おう、痛みも消えたし大丈夫だ」
「大丈夫だよー! 俺は見ていただけだけどな」
俺達二人で裕太を元気づけようとするも、彼は暗い顔をしたままだ。
「お前らァ、この2日はしっかり休めよ。特に山内と敦志。気ィつけろ」
「はい……分かりました」
「了解っす」
返事の仕方でさえ、こんなにも違いが出る。
俺達を乗せたアルファードは不安な気分で夜道を駆けていった。
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