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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
43・8時間目 想い出の中の悪魔②
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「で、今回のテストはどうなの? 優香?」
僕には、優香という一つ下の後輩の彼女が居た。
「んー、かなり良い出来だと思うのですけどねぇ。裕太君はどうなのですか?」
クスクスと純白な笑顔を見せる優香は天然パーマの髪質が逆にギャップになっていて、凄く可愛かった。
今も、過去に戻れたら惚れている。
そして、何よりも彼女の家系は貴族の子孫らしい。
ので、お嬢様のような喋り方がまた、これも可愛くて心を擽られた。
「うーん、どうだろう。多分大丈夫だと思うけどね。今日はどうするの? 僕の家来る?」
僕らはお互いの家を行き来している。
お互い学校から家が少し遠いため、学校から一緒に帰ることにしている。
僕の家が若干ではあるが、彼女の家よりも学校からの距離が近いため、家に帰ってから待ち合わせるというのも面倒だったからだ。
「裕太君からいつも良い匂いがします。私、この匂い大好きです」
と言って、二人きりになると彼女は外でも、僕に抱き付いてくる。
付き合い始めた頃は辺りを良く見渡して確認してから僕に抱きついていた。
一応彼女は僕よりも10cmほど身長が小さいので、首元に彼女の顔が来るといった抱擁になる。
この時の恥じらいと好意を混ぜたような表情が可愛さが、僕に幸福感を与えてくれた。
もちろん、僕は彼女の背に手を回し、優しく抱きしめる。
この時、僕の手が背中に回った時の幸福感と安心感をかけた時の顔が僕は大好きだった。
そして、見つめあって、僕らはキスをした。
「っ・・・。裕太君、これからも私とずっと居てくれますか?」
何度目かのキスをした後、頬を赤らめた優香は、僕の部屋でそう言った。
「はい。僕は必ずあなたを幸せにします」
僕はそう答えた。
窓から希望の光のように射し込んでくる夕陽が、僕らの恋を愛へと変えようとしていた。
僕は大好きな人と、全てを分け合えていたこの時間が本当に幸せだった。
これが、山内裕太の中学2年生の時の物語だ。
__________
だけども、その時間が、幸せが、長く続くことは無かった。
これからは、山内裕太の中学3年生の時の物語だ。
とある夏休み、僕は自身の進学先を決めるため、高校の案内とにらめっこをしていた。
夏には高校の進学先をある程度は決めなければいけない。
だが、どうしても決まらなかった。
ガラガラと教室のドアが開く音が聞こえた。
ここの教室にいるのは僕だけなので、誰だろうとその方向に目をやる。
「あっ、裕太君。何してるの?」
「あぁ、カナ。久しぶり」
カナは僕を見つけると、横の席に座り、見てくる。
「久しぶりかな? 毎日あってるけどね」
「まぁ、そうだね。カナは高校決まった?」
「んー。あんま決まってないかな。でも取り合えずは偏差値高いところ行きたいよね」
カナは自身の髪の毛をクルクルと弄りながら言った。
「そういやさ」
少し声のトーンを落としてカナは一度間を開ける。
「彼女とは上手くいってるの?」
今聞けばあんたがその関係を潰したんだと思うセリフ。
だけど、この時は普通に幼馴染みの恋愛を応援しているとしか捉えれなかった。
「うん。上手くいってると思うよ」
そのセリフが、後に後悔することなんてきっとカナ以外は知らなかった。
__________
「プルル・・・、プルルル・・・。只今、お掛けになった電話は電波の届かない所にあるか・・・」
気分転換に優香と遊びに誘い承諾してくれたのに、彼女は来ることは無かった。
カフェで2時間待っている。
初めの30分までは多目に見れた。
LINEも数回送ったものの、既読すら付かなかった。
時間ももったいないので僕は外に出た。
僕はなぜ彼女が来なかったのか、週明けにそれは知ることになる。
まず、異変に気づいた時は、クラスの僕に対する失笑が示していた。
そして、僕は席に座ると、友達であったやつが、
「よう、山内! お前二股してるんだって? 噂になってんぞ」
「は?」
突然知らされた根も歯も無い噂に、僕は耳を疑った。
そして、地獄はそれからだった。
「裕太君っ! グズッ、うぅッ・・・! なんでですか?! 私ッ! 信じていたのに・・・。あなたの事なんて大嫌い・・・! 大嫌いです! もう2度と・・・現れないでくださ・・・い」
「優香、違う。僕はやってないッ!」
その日、優香と最後の会話となった。
__________
そして、僕は勉強をする気も失せ、結局、私立の志望校を合格する事は叶わなかった。
公立高校決定の懇談の時、担任の先生に、清王高校を勧められた事から僕はそこに向かうことにした。
偏差値としては余裕だった。
だから、その高校独自の特待生の制度を取れた。
そして、高校入学の日。
「裕太くん、今日は入学式だねっ!」
家を出ると、同じ高校の制服姿の幼馴染みが居た。
「カナ・・・。同じ高校だったんだね」
「うんっ。一緒に行こ!」
「うん。そうしようか」
そして、僕らは歩いて30分後、高校に着いた。
「おはようございます」
正門に集まっている先生方に挨拶し、僕は特待生なので代表の挨拶のため、一度カナと別れてから職員室に迷いながら行き、その原稿を持って、体育館に行こうとしたとき、親友と出会う。
__________
ドンッ!
あっ!ぶつかっちゃった。
先輩で目をつけられたらやだな。
そこにいたのは、目付きが悪く髪の毛がボサボサ・・・天然パーマの生徒が居た。
一応、先輩という事も配慮して、
「イテテ・・・ごめんなさい。ちょっと入学式の代表で呼ばれていて、急いでいたんです。ケガは無いですか?」
「あ、ああ。大丈夫です。こちらこそすみません。ケガ無いですよ。体育館どこにあるのか分からなくて困っているんです。分かりますか?」
その人は優しかった。
「あ、同期生? よろしくお願いします。僕は、特待生で入学しました。山内裕太と言います。今後、よろしくお願いします」
「山内さん。よろしくお願いします。特待生凄いですね。俺は、高橋敦志と言います。よろしくお願いします」
その人こそ、僕の今でもこれからも笑顔にしてくれる親友だった。
__________
なぜ今過去の事が脳裏を霞めるのか、僕には分からない。
だけど、もう分かる。
あの日、僕らを別れさせたのも、そして、今僕がこんなにも感情が爆発しそうになっているのも全部全部、お前のせいだ。
15時55分頃ー。
公園内で制服姿で待っている宮浦加奈に、僕は声をかけた。
僕は君を許さない。
僕には、優香という一つ下の後輩の彼女が居た。
「んー、かなり良い出来だと思うのですけどねぇ。裕太君はどうなのですか?」
クスクスと純白な笑顔を見せる優香は天然パーマの髪質が逆にギャップになっていて、凄く可愛かった。
今も、過去に戻れたら惚れている。
そして、何よりも彼女の家系は貴族の子孫らしい。
ので、お嬢様のような喋り方がまた、これも可愛くて心を擽られた。
「うーん、どうだろう。多分大丈夫だと思うけどね。今日はどうするの? 僕の家来る?」
僕らはお互いの家を行き来している。
お互い学校から家が少し遠いため、学校から一緒に帰ることにしている。
僕の家が若干ではあるが、彼女の家よりも学校からの距離が近いため、家に帰ってから待ち合わせるというのも面倒だったからだ。
「裕太君からいつも良い匂いがします。私、この匂い大好きです」
と言って、二人きりになると彼女は外でも、僕に抱き付いてくる。
付き合い始めた頃は辺りを良く見渡して確認してから僕に抱きついていた。
一応彼女は僕よりも10cmほど身長が小さいので、首元に彼女の顔が来るといった抱擁になる。
この時の恥じらいと好意を混ぜたような表情が可愛さが、僕に幸福感を与えてくれた。
もちろん、僕は彼女の背に手を回し、優しく抱きしめる。
この時、僕の手が背中に回った時の幸福感と安心感をかけた時の顔が僕は大好きだった。
そして、見つめあって、僕らはキスをした。
「っ・・・。裕太君、これからも私とずっと居てくれますか?」
何度目かのキスをした後、頬を赤らめた優香は、僕の部屋でそう言った。
「はい。僕は必ずあなたを幸せにします」
僕はそう答えた。
窓から希望の光のように射し込んでくる夕陽が、僕らの恋を愛へと変えようとしていた。
僕は大好きな人と、全てを分け合えていたこの時間が本当に幸せだった。
これが、山内裕太の中学2年生の時の物語だ。
__________
だけども、その時間が、幸せが、長く続くことは無かった。
これからは、山内裕太の中学3年生の時の物語だ。
とある夏休み、僕は自身の進学先を決めるため、高校の案内とにらめっこをしていた。
夏には高校の進学先をある程度は決めなければいけない。
だが、どうしても決まらなかった。
ガラガラと教室のドアが開く音が聞こえた。
ここの教室にいるのは僕だけなので、誰だろうとその方向に目をやる。
「あっ、裕太君。何してるの?」
「あぁ、カナ。久しぶり」
カナは僕を見つけると、横の席に座り、見てくる。
「久しぶりかな? 毎日あってるけどね」
「まぁ、そうだね。カナは高校決まった?」
「んー。あんま決まってないかな。でも取り合えずは偏差値高いところ行きたいよね」
カナは自身の髪の毛をクルクルと弄りながら言った。
「そういやさ」
少し声のトーンを落としてカナは一度間を開ける。
「彼女とは上手くいってるの?」
今聞けばあんたがその関係を潰したんだと思うセリフ。
だけど、この時は普通に幼馴染みの恋愛を応援しているとしか捉えれなかった。
「うん。上手くいってると思うよ」
そのセリフが、後に後悔することなんてきっとカナ以外は知らなかった。
__________
「プルル・・・、プルルル・・・。只今、お掛けになった電話は電波の届かない所にあるか・・・」
気分転換に優香と遊びに誘い承諾してくれたのに、彼女は来ることは無かった。
カフェで2時間待っている。
初めの30分までは多目に見れた。
LINEも数回送ったものの、既読すら付かなかった。
時間ももったいないので僕は外に出た。
僕はなぜ彼女が来なかったのか、週明けにそれは知ることになる。
まず、異変に気づいた時は、クラスの僕に対する失笑が示していた。
そして、僕は席に座ると、友達であったやつが、
「よう、山内! お前二股してるんだって? 噂になってんぞ」
「は?」
突然知らされた根も歯も無い噂に、僕は耳を疑った。
そして、地獄はそれからだった。
「裕太君っ! グズッ、うぅッ・・・! なんでですか?! 私ッ! 信じていたのに・・・。あなたの事なんて大嫌い・・・! 大嫌いです! もう2度と・・・現れないでくださ・・・い」
「優香、違う。僕はやってないッ!」
その日、優香と最後の会話となった。
__________
そして、僕は勉強をする気も失せ、結局、私立の志望校を合格する事は叶わなかった。
公立高校決定の懇談の時、担任の先生に、清王高校を勧められた事から僕はそこに向かうことにした。
偏差値としては余裕だった。
だから、その高校独自の特待生の制度を取れた。
そして、高校入学の日。
「裕太くん、今日は入学式だねっ!」
家を出ると、同じ高校の制服姿の幼馴染みが居た。
「カナ・・・。同じ高校だったんだね」
「うんっ。一緒に行こ!」
「うん。そうしようか」
そして、僕らは歩いて30分後、高校に着いた。
「おはようございます」
正門に集まっている先生方に挨拶し、僕は特待生なので代表の挨拶のため、一度カナと別れてから職員室に迷いながら行き、その原稿を持って、体育館に行こうとしたとき、親友と出会う。
__________
ドンッ!
あっ!ぶつかっちゃった。
先輩で目をつけられたらやだな。
そこにいたのは、目付きが悪く髪の毛がボサボサ・・・天然パーマの生徒が居た。
一応、先輩という事も配慮して、
「イテテ・・・ごめんなさい。ちょっと入学式の代表で呼ばれていて、急いでいたんです。ケガは無いですか?」
「あ、ああ。大丈夫です。こちらこそすみません。ケガ無いですよ。体育館どこにあるのか分からなくて困っているんです。分かりますか?」
その人は優しかった。
「あ、同期生? よろしくお願いします。僕は、特待生で入学しました。山内裕太と言います。今後、よろしくお願いします」
「山内さん。よろしくお願いします。特待生凄いですね。俺は、高橋敦志と言います。よろしくお願いします」
その人こそ、僕の今でもこれからも笑顔にしてくれる親友だった。
__________
なぜ今過去の事が脳裏を霞めるのか、僕には分からない。
だけど、もう分かる。
あの日、僕らを別れさせたのも、そして、今僕がこんなにも感情が爆発しそうになっているのも全部全部、お前のせいだ。
15時55分頃ー。
公園内で制服姿で待っている宮浦加奈に、僕は声をかけた。
僕は君を許さない。
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