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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
42時間目 ライブ開演の文化祭①
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「頑張るかー!」
遼太郎がスキップしながら、体育館へと先導する。
その手にはドラムセットが入ったカバンを手にしている。
俺もテンションあげていかねぇとな。
俺の横で裕太は、ベースを背負い、片手でアンプを持ちながら、遼太郎を見ていた。
「やー、本当にこの日が来たんだね、待ち遠しかった」
フゥとため息をつく裕太。
そのため息の中には緊張が分かるほど混じっていた。
「でも早かったよな。つい少し前までは夏休みだったのによ。マジで頑張らねぇと」
「俺達が皆のハートを盗みとってやろうぜ!敦志!山内!」
クルリと回転し、俺達の方向に来た遼太郎。
なんか前にもこんな事言ってたよな。
そして、俺はいつの日かいったショッピングセンターの紙袋を持っている。
今まで俺や裕太は制服だったので、それからラフな格好に着替えるためだ。
ファッションセンスのある裕太が選んだから大丈夫に違いない。
「そういや、リハーサルやるんだよな。あー、なんか緊張してきた・・・」
「一歩一歩がなんか重いね。頑張らないと」
体育館に着いて、なんでたとツッコミたくなるように用意されていたペットボトルのお茶を飲んで落ち着いてから、ギターやベース、ドラムを各々取りだし、アンプに繋いでチューニングしたり、慣らしで音を出したりと、準備を終えた後、
「それじゃあ、1曲目やろうか。 あーあー、ンンッ、敦志、いつでも」
俺は裕太の声に頷き、ギターを掻き鳴らした。
体育館には、美しくでも、どこかカッコいい歌声とギターとドラムの音が響いていた。
_____
そして、リハーサルを終え、とうとう本番10分前。
リハーサルでの改善点を話し合った俺達は後は場の雰囲気で頑張るという方向に話がまとまった。
ガヤガヤと徐々に人が増してくるグラウンドの一角。
体育館の近くにある普段なら、バスケをする所に人がざっと200人ほど集まっている。
その中に森山も黒沢センパイ達も居るのだろうか。
薔薇さんなら絶対気絶してるなと少し余裕の笑みがでてきた。
「あ、そういや、敦志、前に話していたバンド名の件だけど、どうなったの?」
裕太が突然そんな事を聞き出すので慌てた。
「はっ、えっ、ちょっ、マジスか」
「あっ、考えてないやつだ」
「や、ひとつだけずっと温めてた名前があるから。それはなー」
「「それは?」」
裕太と遼太郎が一緒になって聞く。
「bestyouth って名前・・・。どうだ?」
俺は二人の反応をドキドキしながら待っていると、
「どういう意味?」
と遼太郎が口を開いた。
「最高の青春って意味だよ。敦志らしい、1年間の答えじゃない?」
「まだ秋だっつーの。俺は今までもこれからも、お前らと過ごしたい。だから、このライブを絶対に成功させたいし、それでまた友情が芽生えるかもしれねぇ、だから、まずは楽しんでいこうbestyouth!」
「おう!」
「さー、頑張ろっ!」
丁度、会場を大いに盛り上げてくれた司会担当の子がいつでもどうぞと言ってくれた。
ステージの照明は1度落ちていて、会場の盛り上がりも最高潮となっていた。
俺達は頷きあい、ステージに飛び出し、位置についた。
センターは、アンコールまで裕太だ。
照明が点いた瞬間、キャーと黄色い歓声。
思えば入学してすぐはこういうのが凄く欲しかったって思っていたんだと思い出すと、恥ずかしくなってくる。
歓声が少し落ち着いてきた所で、
「皆さん、こんばんは。bestyouthです!」
再び歓声が飛び交う。
もう平気だ。
「1曲目、【人生を共に】歌いたいと思います」
そう言うと、裕太はマイクを構え、いつでも歌えるからと言うような視線を送ってくる。
1曲目、裕太の優しい声が皆を魅了するはずだ。
俺のこれからの楽しさを今から語る前置きのような優しい雰囲気がある前奏をギターで弾いた。
俺が今までもこれからも皆で楽しく歩くために。
遼太郎がスキップしながら、体育館へと先導する。
その手にはドラムセットが入ったカバンを手にしている。
俺もテンションあげていかねぇとな。
俺の横で裕太は、ベースを背負い、片手でアンプを持ちながら、遼太郎を見ていた。
「やー、本当にこの日が来たんだね、待ち遠しかった」
フゥとため息をつく裕太。
そのため息の中には緊張が分かるほど混じっていた。
「でも早かったよな。つい少し前までは夏休みだったのによ。マジで頑張らねぇと」
「俺達が皆のハートを盗みとってやろうぜ!敦志!山内!」
クルリと回転し、俺達の方向に来た遼太郎。
なんか前にもこんな事言ってたよな。
そして、俺はいつの日かいったショッピングセンターの紙袋を持っている。
今まで俺や裕太は制服だったので、それからラフな格好に着替えるためだ。
ファッションセンスのある裕太が選んだから大丈夫に違いない。
「そういや、リハーサルやるんだよな。あー、なんか緊張してきた・・・」
「一歩一歩がなんか重いね。頑張らないと」
体育館に着いて、なんでたとツッコミたくなるように用意されていたペットボトルのお茶を飲んで落ち着いてから、ギターやベース、ドラムを各々取りだし、アンプに繋いでチューニングしたり、慣らしで音を出したりと、準備を終えた後、
「それじゃあ、1曲目やろうか。 あーあー、ンンッ、敦志、いつでも」
俺は裕太の声に頷き、ギターを掻き鳴らした。
体育館には、美しくでも、どこかカッコいい歌声とギターとドラムの音が響いていた。
_____
そして、リハーサルを終え、とうとう本番10分前。
リハーサルでの改善点を話し合った俺達は後は場の雰囲気で頑張るという方向に話がまとまった。
ガヤガヤと徐々に人が増してくるグラウンドの一角。
体育館の近くにある普段なら、バスケをする所に人がざっと200人ほど集まっている。
その中に森山も黒沢センパイ達も居るのだろうか。
薔薇さんなら絶対気絶してるなと少し余裕の笑みがでてきた。
「あ、そういや、敦志、前に話していたバンド名の件だけど、どうなったの?」
裕太が突然そんな事を聞き出すので慌てた。
「はっ、えっ、ちょっ、マジスか」
「あっ、考えてないやつだ」
「や、ひとつだけずっと温めてた名前があるから。それはなー」
「「それは?」」
裕太と遼太郎が一緒になって聞く。
「bestyouth って名前・・・。どうだ?」
俺は二人の反応をドキドキしながら待っていると、
「どういう意味?」
と遼太郎が口を開いた。
「最高の青春って意味だよ。敦志らしい、1年間の答えじゃない?」
「まだ秋だっつーの。俺は今までもこれからも、お前らと過ごしたい。だから、このライブを絶対に成功させたいし、それでまた友情が芽生えるかもしれねぇ、だから、まずは楽しんでいこうbestyouth!」
「おう!」
「さー、頑張ろっ!」
丁度、会場を大いに盛り上げてくれた司会担当の子がいつでもどうぞと言ってくれた。
ステージの照明は1度落ちていて、会場の盛り上がりも最高潮となっていた。
俺達は頷きあい、ステージに飛び出し、位置についた。
センターは、アンコールまで裕太だ。
照明が点いた瞬間、キャーと黄色い歓声。
思えば入学してすぐはこういうのが凄く欲しかったって思っていたんだと思い出すと、恥ずかしくなってくる。
歓声が少し落ち着いてきた所で、
「皆さん、こんばんは。bestyouthです!」
再び歓声が飛び交う。
もう平気だ。
「1曲目、【人生を共に】歌いたいと思います」
そう言うと、裕太はマイクを構え、いつでも歌えるからと言うような視線を送ってくる。
1曲目、裕太の優しい声が皆を魅了するはずだ。
俺のこれからの楽しさを今から語る前置きのような優しい雰囲気がある前奏をギターで弾いた。
俺が今までもこれからも皆で楽しく歩くために。
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