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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~

40・5時間目 自信と朝の出来事

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「♪~♪~~♪」
 ん~、もう朝かぁ。まだ寝ていたいなぁ。
「♪~♪~~♪」
 一向にやむ気配がないスマホのアラームを寝ぼけた目で、なんとか止める。
 んー、なんか今日用事あった気がするよねぇ。
 なんだったっけ。
 少しずつ感覚が戻ってきた目でそれを見た時は絶叫しそうになった。
「う・・・あ・・・。私寝過ごしてないよね?!」
 時計を見ると、時刻は8時。
「き、着替えなきゃ!」
 イソイソとうすいピンク色のネグリジェから制服に着替え、全身鏡を見て髪をくしで整えてから、今はもう居ない母が幼少期の頃にくれた少し古くなってきたオレンジ色のリボンで髪を止める。
 中学の頃、男子に怖い思いをさせられ、自暴自棄になって伸ばしに伸ばしてしまい、それすらもうっとうしいと感じていた髪は今は、私のチャームポイントになった。
 ふと、自分の顔を見ると、中学の頃と同じような長さだった時よりも、断然、不覚にも、自意識過剰かもしれないけれど、今の自分は可愛いのかなと思い、ずっと会いたいと想っていた高橋君の顔を思い出して、顔が赤くなってしまった。
 こい、してるの、かな。
 私には、私の気持ちが分からない。
 でも、高橋君は私の事なんて好きじゃないだろう。
 なぜなら、私と高橋君は、
『親友』だからだ。
 親友以上であり、恋人未満だからだ。
 だから、私は思う。
 この気持ちは「恋」でないことを信じて。
 私は私の人生を楽しむ。
 私が私の人生を楽しまないで、誰が私の人生を楽しんでくれるのかと、なにかの本にかいていた気がする。
 今日は文化祭。
 高橋君、頑張って。
 私は学校指定の茶色の靴を履き、駅に向かって歩きだした。
 家に、家族に、私自身に向かって、
「いってきます」
 と玄関に出る前に一言言った。


         ー


「オーイ、おきろー。桃花ァ~」
「おきろー。菫ェ~」
 桃花と菫の部屋のドアをノックするが、桃花は反応が無く、菫は「花園さんのオムライスおいしーのー」と返事ではなく、寝言が帰ってきた。
「オイオイ・・・。寝言で返事すんなっての・・・」
 白膠はおとといから出勤しており、家に居ない。
「ンア、桃花ァ~!おーきろー!」
 再びドアをノックすると、部屋から、
「んー・・・。朝ぁ?おはよー、睡蓮」
 と帰ってきた。
 たぶん、起きた。
 俺は、台所に戻り朝食であるカレーを温め、炊いていたご飯をお椀によそった。
 ドタドタと階段を降りてくる足音が聞こえ、菫と桃花が降りてきた。
「ご、ごめんなの。寝過ごしちゃったの・・・」
「だ、大丈夫だよね?!まだ間に合うよね?!」
「アア、大丈夫だ。まだ時間がある」
 俺はそう返すと、二人は安堵の表情を浮かべた。
「さって! サッサと食って、行くかァ!」
 菫と桃花は俺が用意をしたカレーを食べ、そして、そろそろ行こうかとなった頃、俺に着信が来た。
「ア? 誰だ?」
 スマホを見てみると、「神谷」との文字があった。
「ンゲェ・・・!」
 俺は顔をしかめてしまった。
「なんで今なんだよォ・・・!」
 と、少しイラつきながらも、電話に出る。
「はい、お疲れさまです。なんすか?」
『おつかれー、今さ、私暇なんだよね~。 なにか面白いことない?』
 俺は高橋達を思い出す。
 文化祭だな。
「あ、あるっスよ。 高橋いるじゃないっスか?あいつ、今日文化祭なんすよね」
『あらー!それじゃあ、行こうかしら。 あ、もう就活終わったからこれから昼間もバイトでるわね。 それじゃあ、またー♪』
「あ、うす」
 プツンと電話がきれた。
 相変わらずのマシンガントークだなァ・・・。
「神谷さん来るのー?」
「ンア、来るってよ」
「やったのー!」
「そ、それじゃ、行こうよ。時間大丈夫かな?」
「アァ、そろそろ行くかァ・・・」
 俺達は高橋達の高校へ向かった。
 ま、別にそんなに急がなくてもすぐに着くンだけどなァ・・・。
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