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第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
40時間目 始まりの文化祭
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不思議な夢を見た。
いつの日か見た時の服装の森山が、俺が買ったギターを抱えたまま、目の前にいるのにキョロキョロと人が溢れる交差点で探している夢だ。
そして、情景が変わって次は、神谷さんがでてきた。
神谷さんは、普段していない青い水晶のピアスを着けていて、白をメインとした服装に、黒の長スカートを着ていた。
そこは、図書館で、神谷さんは小説を読んでいた。
どんな小説を読んでいたのかは今はもう分からない。
そして、目の前が砂嵐に覆われた。
よく心霊の番組で見るあのホラー染みた砂嵐に。
なんだなんだと困惑しているうちに、砂嵐は次第に消え、小学生くらいの女の子が、一人花を摘んでいた。
そこは公園だった。
きっと、どこかの児童公園だと俺は思っている。
その子は、どこか暗い顔をしていて、シロツメグサを必死に摘んでいた。
俺はどうやらベンチに座っているようで、少し離れた所でその子を見守っていた。
その子を起点に左を見ると、小学生が数人でワイワイと遊んでいる。
その子を起点に、次は左を見てみると、中学生の二人組が、なにやら、話していた。
俺は、その女の子に話しかけてみた。
「どうしたの? あっちで皆で遊びなよ。 皆居るでしょ?」
その子は、俺の声にビクッと怯えて、キュッと制服の袖を掴んでいた。
「な、んで、皆と一緒じゃないと、いけない、の?」
その子が口を開いた事はなんとなく、俺にも分かる。
その子は続けて、
「先生も、ママもそういうの。 皆と遊びなさいって。 私はいやだ。 ひとり好き」
「うーん・・・。 確かに独りの時間は大切だよ。 独りになることで、誰かが居てくれる喜びを改めて実感するときがあるからね。 でも、いつか独りに飽きてくる。 誰かが居るから。 自分を必要としてくれると思うから。 人って活きる理由があると思うんだな」
俺が、そう言うと、その子はポロポロと涙を流した。
「えっ、ちょっ、な、泣かないで」
「うん、うええぇぇぇぇん! わぁぁぁん!」
「フッグ・・・! ヒッグ・・・! グズッ・・・! えーん!」
当然、俺は困惑する。
その子が泣き止むまでは、かなりの時間を要した。
「大丈夫?」
「グズッ・・・! あり、がと。 あつしくん。 はい。 ぷれぜんと!」
俺の名前を呼んで、シロツメグサで作った花輪をくれた女の子の顔を改めて見ると、どこか知っていて、会いたいと思っている子の顔が浮かんだ。
ー
「・・・って、いう夢でさ。 なんか懐かしい感じがしたんだよな」
いつもの集合場所で、俺達はダベっている。
いつもと違うのは、遼太郎が異常に興奮しているということと、裕太が少し緊張しているような顔をしていることと、俺がギターを背負い、裕太がベースを背負っていて、遼太郎が学校指定のリュックとは違い、手に大きめのカバン、ドラムセットを持っている事だ。
「へぇ~! なんだろ。 昔の夢かな? その子知り合いなのかな?」
遼太郎が興奮しながら、聞く。
「んー。 どうだろうな。 もう起きてかなりたっているから、忘れてきているかもな」
「まー、夢ってそんなものだよ。 あと、7時間後には、僕らステージの上だよ!」
裕太が、ビシッと体育館を指指す。
「うわぁぁぁ。 緊張してきたじゃん。 どうしよ。 大丈夫かな?!」
遼太郎がわざとらしく、緊張をみせる。
「大丈夫だろ。 やるだけの事はやって来たんだから。 俺はそれより、カフェの方が心配なんだよな」
「あぁ、オッサンマスター役の敦志は、チョビ髭をつけなきゃいけないもんね。 頑張れ!」
「今どき、そんなチョビ髭なんかつけてる人いないだろって思っているけどな。 三島さん髭なんてつけてねぇじゃん。 肌ツルツルじゃん」
「三島さんが例外じゃないの?」
「それはそうかもね。 いやぁ・・・。 お客さん集まるといいね・・・」
裕太が心配そうに呟く。
「それ絶対集まってくるだろ」
「そうだね。 フッ・・・! フフフッ!」
なにがそんな面白いのか俺には分からないが、学校に着くと、俺達は自身の教室に行き、そこで準備している女子たち。
宮浦たちに、挨拶する。
裕太の方を見ると、自然に挨拶しているものの、顔が笑っていない。
三石は他の女子達と話しており、互いに頑張ってねと声を掛け合っている。
全員が集まった頃、俺達は荷物を置いて、食堂へと移動する。
俺は厨房に移動し、調理を始める。
今作っているのはメイド喫茶定番中の定番「オムライス」だ。
卵を割っては、醤油をいれてから混ぜて、割っては入れて混ぜを繰り返して下味と仕込みを済ませる。
飾りのプチトマトやブロッコリーは冷凍のものを使う。
俺が準備を順調にしていると、女子が着替え終えたようで、俺や裕太、遼太郎で次、準備室で着替える。
教室に入ると、三石が、
「ちゃんと正式な格好でやってね」
と言った。
やっぱり髭をつけるしかないのか・・・。
俺の抵抗は空しく、裕太と三石に強制的に髭をつけられ、だて眼鏡をかけられた。
いつの日か見た時の服装の森山が、俺が買ったギターを抱えたまま、目の前にいるのにキョロキョロと人が溢れる交差点で探している夢だ。
そして、情景が変わって次は、神谷さんがでてきた。
神谷さんは、普段していない青い水晶のピアスを着けていて、白をメインとした服装に、黒の長スカートを着ていた。
そこは、図書館で、神谷さんは小説を読んでいた。
どんな小説を読んでいたのかは今はもう分からない。
そして、目の前が砂嵐に覆われた。
よく心霊の番組で見るあのホラー染みた砂嵐に。
なんだなんだと困惑しているうちに、砂嵐は次第に消え、小学生くらいの女の子が、一人花を摘んでいた。
そこは公園だった。
きっと、どこかの児童公園だと俺は思っている。
その子は、どこか暗い顔をしていて、シロツメグサを必死に摘んでいた。
俺はどうやらベンチに座っているようで、少し離れた所でその子を見守っていた。
その子を起点に左を見ると、小学生が数人でワイワイと遊んでいる。
その子を起点に、次は左を見てみると、中学生の二人組が、なにやら、話していた。
俺は、その女の子に話しかけてみた。
「どうしたの? あっちで皆で遊びなよ。 皆居るでしょ?」
その子は、俺の声にビクッと怯えて、キュッと制服の袖を掴んでいた。
「な、んで、皆と一緒じゃないと、いけない、の?」
その子が口を開いた事はなんとなく、俺にも分かる。
その子は続けて、
「先生も、ママもそういうの。 皆と遊びなさいって。 私はいやだ。 ひとり好き」
「うーん・・・。 確かに独りの時間は大切だよ。 独りになることで、誰かが居てくれる喜びを改めて実感するときがあるからね。 でも、いつか独りに飽きてくる。 誰かが居るから。 自分を必要としてくれると思うから。 人って活きる理由があると思うんだな」
俺が、そう言うと、その子はポロポロと涙を流した。
「えっ、ちょっ、な、泣かないで」
「うん、うええぇぇぇぇん! わぁぁぁん!」
「フッグ・・・! ヒッグ・・・! グズッ・・・! えーん!」
当然、俺は困惑する。
その子が泣き止むまでは、かなりの時間を要した。
「大丈夫?」
「グズッ・・・! あり、がと。 あつしくん。 はい。 ぷれぜんと!」
俺の名前を呼んで、シロツメグサで作った花輪をくれた女の子の顔を改めて見ると、どこか知っていて、会いたいと思っている子の顔が浮かんだ。
ー
「・・・って、いう夢でさ。 なんか懐かしい感じがしたんだよな」
いつもの集合場所で、俺達はダベっている。
いつもと違うのは、遼太郎が異常に興奮しているということと、裕太が少し緊張しているような顔をしていることと、俺がギターを背負い、裕太がベースを背負っていて、遼太郎が学校指定のリュックとは違い、手に大きめのカバン、ドラムセットを持っている事だ。
「へぇ~! なんだろ。 昔の夢かな? その子知り合いなのかな?」
遼太郎が興奮しながら、聞く。
「んー。 どうだろうな。 もう起きてかなりたっているから、忘れてきているかもな」
「まー、夢ってそんなものだよ。 あと、7時間後には、僕らステージの上だよ!」
裕太が、ビシッと体育館を指指す。
「うわぁぁぁ。 緊張してきたじゃん。 どうしよ。 大丈夫かな?!」
遼太郎がわざとらしく、緊張をみせる。
「大丈夫だろ。 やるだけの事はやって来たんだから。 俺はそれより、カフェの方が心配なんだよな」
「あぁ、オッサンマスター役の敦志は、チョビ髭をつけなきゃいけないもんね。 頑張れ!」
「今どき、そんなチョビ髭なんかつけてる人いないだろって思っているけどな。 三島さん髭なんてつけてねぇじゃん。 肌ツルツルじゃん」
「三島さんが例外じゃないの?」
「それはそうかもね。 いやぁ・・・。 お客さん集まるといいね・・・」
裕太が心配そうに呟く。
「それ絶対集まってくるだろ」
「そうだね。 フッ・・・! フフフッ!」
なにがそんな面白いのか俺には分からないが、学校に着くと、俺達は自身の教室に行き、そこで準備している女子たち。
宮浦たちに、挨拶する。
裕太の方を見ると、自然に挨拶しているものの、顔が笑っていない。
三石は他の女子達と話しており、互いに頑張ってねと声を掛け合っている。
全員が集まった頃、俺達は荷物を置いて、食堂へと移動する。
俺は厨房に移動し、調理を始める。
今作っているのはメイド喫茶定番中の定番「オムライス」だ。
卵を割っては、醤油をいれてから混ぜて、割っては入れて混ぜを繰り返して下味と仕込みを済ませる。
飾りのプチトマトやブロッコリーは冷凍のものを使う。
俺が準備を順調にしていると、女子が着替え終えたようで、俺や裕太、遼太郎で次、準備室で着替える。
教室に入ると、三石が、
「ちゃんと正式な格好でやってね」
と言った。
やっぱり髭をつけるしかないのか・・・。
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