58 / 244
第3章 選択の文化祭とすれ違う思惑 ~友のために、自分のために~
36時間目 ギター入門
しおりを挟む
「お前ら、もうちょい、買うの遅かったら練習出来なかったなァ・・・。 ま、それぞれ弾いてみれくれ」
俺達は今、黒沢センパイの家に来ている。
黒沢センパイの家はどうやら三階建てのようで、こないだ来たリビングをスルーし、三階の部屋に来た。
そこには、ドラムやギター、ベース等のライブ用と思われる楽器があった。
「すげぇっすね! このベースめっちゃカッコよくありませんか?」
遼太郎が興奮しながら、言う。
「アァ、まァな、山内、そこにかけてあるギター取ってくれないかァ?」
「あ、はい」
山内は、黒沢センパイご指名のエレキギターを持ち、恐る恐るそれを渡した。
全てを魅了するような海のような深い青色のグラデーションがあるギター。
「う、お・・・。 かっこいいっすね」
「だろ? お前もここに座れよ。 高橋」
「はいっす」
俺は黒沢センパイの隣に座り、そのギターをマジマジと見つめる。
なんだろう。
かっこいいしか出てこない。
「んじゃ、今からなんか適当に弾くか」
「ン~。 そうだなァ・・・。 あ、これとかどうだ? 桃花が作ったンだが、コードも初心者向きだったハズ・・・」
「黒沢さん達って何者なんですか?! 音楽性ありすぎませんか?!」
「何言ってンだ。 あるわけねェだろ?」
カチカチとマウスを操作しながら、ひとつのファイルを開いた。
「あったあった。 これだこれ」
そういって聴こえてきたのはロック感じるメタルソングだった。
激しいドラムの音にカッコよすぎるギターの音。
「・・・どうだ? 一応コードもC、Dm、F、Aくらいか・・・しか使わねェからさ」
俺を含め、3人とも固まった。
「いやいや・・・黒沢センパイが・・・」
俺が流石に無理だと言おうとすると、
「「めっちゃ凄いっすね!! やりましょう!」」
「おっ、マジで?」
「マジです」
三石が自信アリ気に答える。
「いやいやいや・・・。 俺達ド素人だぜ? あんなロックなの出来るわけねぇだろ?」
「敦志! やろうと思えば出来る!」
裕太がおれのため肩に手を置いて、グッと親指を立てている。
なんかコイツが言うと説得力あるなぁ・・・。
「お前、賢いし、モテまくりだから説得力あるわ・・・」
「んじゃ、やるぞー! 敦志、山内! 俺達の演奏でこの学校中の女子のハートを盗んでやろうぜ! ついでに森山さんの分も!」
「お前なぁ・・・。 俺は森山にはそういう気もないし、森山も俺になんてそんな気にもなんないだろ・・・」
「お前らー。 まぁ、来る間に基本は教えてやったから、後は実践あるのみだぞー。 頑張れよー」
「頑張ります」
こうして初めの練習が始まった。
ー
「なぁ、遼太郎! このコードなんなの? 指ちぎれるって! 痛っ!」
俺は難関のFコードの練習中である。
C、Dm、Aのコードは基本的に押さえれるようになったが、Fコードだけは、人差し指全体で押さえなければいけない、バレーコードというやつだった。
「ベース凄くムズくない? どうやったらあんなに早く指動かせるんだろう・・・。 三石、そっちはどう?」
「うーん、鳴らす順番がゴチャゴチャになっちゃう。 ムズい・・・」
俺達は苦戦中である。
現在時刻は午後21時。
後1時間ほどで練習を終わらないと近所にも迷惑になるので、なるべく収穫が少しでも増えて欲しいところだ。
「お、やってるな」
「黒沢センパイ、Fコードって他の弾き方ありますか?」
「あるけど?」
「あるんかい?!」
遼太郎の強烈なツッコミと共に、黒沢センパイは音の鳴る方へ足を運ぶ。
「山内! かなり出来てるじゃねェか! これで後はサビとBメロのサビにはいるところだけだな! 頑張れ!」
「ふぅ、ありがとうございます。 イテテ・・・。 普段あんまり指を動かさないんで、痛いです」
汗をタオルで拭きながら、黒沢センパイと会話する裕太は多分全女子が羨ましがる光景だろう。
なんだろう。 山内の周りが光って見えるけど俺の目のせいかな。
「・・・で、高橋、Fコードの他の弾き方はなァ、割りとCコードと似てるンだよ。 こんな感じだ」
そういって黒沢センパイは、自身のギターを持ち、Fコードを押さえている。
確かにCコードとほとんど同じところを押さえているように見える。
「ま、これは一番俺が押さえやすいってだけで他にもあるから試した方がいいかもなァ」
「ありがとうございます!」
「おおっ、1発で音が出た! 合ってますか?」
「あってるあってる。 ちょっと音が変だが、それは練習しまくって直せばいいなァ」
「ンァ、もうすぐ時間だし、1回併せてやってみて、それからお前らメシ食っていけ」
「分かりました! ありがとうございます。 敦志、山内、やってみよ」
「んじゃいきます」
その言葉の数秒後、俺のギターと山内のベースの音が重なる。
イントロはゆっくりなため、コードチェンジも楽である。
よっしよっし、いい感じ。
イントロが終わり、Aメロにはいるとドラムがはいる。
そして、一番難関のBメロ。
ドラムとベースの音が合わさって、凄くカッコいい。
ボキャブラリー崩壊しそうだ。
そしてサビ。
ギターソロからはいる。
そして、この曲のタイトルをボーカルが歌うときの楽器の音が重なる瞬間は鳥肌がたった。
「おっしゃー!」
まず、サビが終わった瞬間、三石が叫んだ。
「いやぁ、良かったね・・・。 凄いや・・・」
「これ1曲目で行こう!」
「そうだな。 しっかし誰が歌うんだ?」
「山内の方がいいんじゃない?」
「声が透き通ってるもんな」
「ええ? 本当に? んじゃ、この曲は僕がいくよ・・・」
「お前ら、すげェな。 マジで三時間でここまでいくとは思ってなかった」
黒沢センパイもかなり驚いている。
「じゃ、歌も頼むな! 裕太!」
「了解!」
「ベースボーカル、だねっ!」
俺達は和気あいあいと今の演奏を評価するのであった。
ヤバイって、ギター楽しすぎだろ。
俺達は今、黒沢センパイの家に来ている。
黒沢センパイの家はどうやら三階建てのようで、こないだ来たリビングをスルーし、三階の部屋に来た。
そこには、ドラムやギター、ベース等のライブ用と思われる楽器があった。
「すげぇっすね! このベースめっちゃカッコよくありませんか?」
遼太郎が興奮しながら、言う。
「アァ、まァな、山内、そこにかけてあるギター取ってくれないかァ?」
「あ、はい」
山内は、黒沢センパイご指名のエレキギターを持ち、恐る恐るそれを渡した。
全てを魅了するような海のような深い青色のグラデーションがあるギター。
「う、お・・・。 かっこいいっすね」
「だろ? お前もここに座れよ。 高橋」
「はいっす」
俺は黒沢センパイの隣に座り、そのギターをマジマジと見つめる。
なんだろう。
かっこいいしか出てこない。
「んじゃ、今からなんか適当に弾くか」
「ン~。 そうだなァ・・・。 あ、これとかどうだ? 桃花が作ったンだが、コードも初心者向きだったハズ・・・」
「黒沢さん達って何者なんですか?! 音楽性ありすぎませんか?!」
「何言ってンだ。 あるわけねェだろ?」
カチカチとマウスを操作しながら、ひとつのファイルを開いた。
「あったあった。 これだこれ」
そういって聴こえてきたのはロック感じるメタルソングだった。
激しいドラムの音にカッコよすぎるギターの音。
「・・・どうだ? 一応コードもC、Dm、F、Aくらいか・・・しか使わねェからさ」
俺を含め、3人とも固まった。
「いやいや・・・黒沢センパイが・・・」
俺が流石に無理だと言おうとすると、
「「めっちゃ凄いっすね!! やりましょう!」」
「おっ、マジで?」
「マジです」
三石が自信アリ気に答える。
「いやいやいや・・・。 俺達ド素人だぜ? あんなロックなの出来るわけねぇだろ?」
「敦志! やろうと思えば出来る!」
裕太がおれのため肩に手を置いて、グッと親指を立てている。
なんかコイツが言うと説得力あるなぁ・・・。
「お前、賢いし、モテまくりだから説得力あるわ・・・」
「んじゃ、やるぞー! 敦志、山内! 俺達の演奏でこの学校中の女子のハートを盗んでやろうぜ! ついでに森山さんの分も!」
「お前なぁ・・・。 俺は森山にはそういう気もないし、森山も俺になんてそんな気にもなんないだろ・・・」
「お前らー。 まぁ、来る間に基本は教えてやったから、後は実践あるのみだぞー。 頑張れよー」
「頑張ります」
こうして初めの練習が始まった。
ー
「なぁ、遼太郎! このコードなんなの? 指ちぎれるって! 痛っ!」
俺は難関のFコードの練習中である。
C、Dm、Aのコードは基本的に押さえれるようになったが、Fコードだけは、人差し指全体で押さえなければいけない、バレーコードというやつだった。
「ベース凄くムズくない? どうやったらあんなに早く指動かせるんだろう・・・。 三石、そっちはどう?」
「うーん、鳴らす順番がゴチャゴチャになっちゃう。 ムズい・・・」
俺達は苦戦中である。
現在時刻は午後21時。
後1時間ほどで練習を終わらないと近所にも迷惑になるので、なるべく収穫が少しでも増えて欲しいところだ。
「お、やってるな」
「黒沢センパイ、Fコードって他の弾き方ありますか?」
「あるけど?」
「あるんかい?!」
遼太郎の強烈なツッコミと共に、黒沢センパイは音の鳴る方へ足を運ぶ。
「山内! かなり出来てるじゃねェか! これで後はサビとBメロのサビにはいるところだけだな! 頑張れ!」
「ふぅ、ありがとうございます。 イテテ・・・。 普段あんまり指を動かさないんで、痛いです」
汗をタオルで拭きながら、黒沢センパイと会話する裕太は多分全女子が羨ましがる光景だろう。
なんだろう。 山内の周りが光って見えるけど俺の目のせいかな。
「・・・で、高橋、Fコードの他の弾き方はなァ、割りとCコードと似てるンだよ。 こんな感じだ」
そういって黒沢センパイは、自身のギターを持ち、Fコードを押さえている。
確かにCコードとほとんど同じところを押さえているように見える。
「ま、これは一番俺が押さえやすいってだけで他にもあるから試した方がいいかもなァ」
「ありがとうございます!」
「おおっ、1発で音が出た! 合ってますか?」
「あってるあってる。 ちょっと音が変だが、それは練習しまくって直せばいいなァ」
「ンァ、もうすぐ時間だし、1回併せてやってみて、それからお前らメシ食っていけ」
「分かりました! ありがとうございます。 敦志、山内、やってみよ」
「んじゃいきます」
その言葉の数秒後、俺のギターと山内のベースの音が重なる。
イントロはゆっくりなため、コードチェンジも楽である。
よっしよっし、いい感じ。
イントロが終わり、Aメロにはいるとドラムがはいる。
そして、一番難関のBメロ。
ドラムとベースの音が合わさって、凄くカッコいい。
ボキャブラリー崩壊しそうだ。
そしてサビ。
ギターソロからはいる。
そして、この曲のタイトルをボーカルが歌うときの楽器の音が重なる瞬間は鳥肌がたった。
「おっしゃー!」
まず、サビが終わった瞬間、三石が叫んだ。
「いやぁ、良かったね・・・。 凄いや・・・」
「これ1曲目で行こう!」
「そうだな。 しっかし誰が歌うんだ?」
「山内の方がいいんじゃない?」
「声が透き通ってるもんな」
「ええ? 本当に? んじゃ、この曲は僕がいくよ・・・」
「お前ら、すげェな。 マジで三時間でここまでいくとは思ってなかった」
黒沢センパイもかなり驚いている。
「じゃ、歌も頼むな! 裕太!」
「了解!」
「ベースボーカル、だねっ!」
俺達は和気あいあいと今の演奏を評価するのであった。
ヤバイって、ギター楽しすぎだろ。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる