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第2章EX ~高校1年の夏の最後の1日~
30・2時間目 夏休み最後に出会ったあの人
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三石が買ってきてくれたジュースを飲みながら歩みを進めている俺達。
三石がふと、思い付いたように呟いた。
「そういやさ、昨日のテレビでこんなニュース見たんだけど、これって、山内の行ってた中学校だよね?」
と、言ってメモアプリにURLをメモっていたのだろうニュースの動画を見せてきた。
三石が、おもむろに画面を俺達に見せる。
「ああ・・・。 そうだけど」
「えっとね、これなんだけど・・・。 まだ犯人捕まってないんだよね?」
そういって、見たのは『男子中学生3名、何者かに襲われ重症』という記事だ。
「なんで全員男子なんだろう・・・。 部活での揉め事とかかなぁ?」
「さぁ、どうなんだろうね・・・。 僕もあんまり詳しく知らなかったよ・・・。 酷いね」
「そうだなぁ。 世の中には酷いことをする人が居るもんだな」
少し間が開いて三石が再び「あ!」と言う。
当然少し驚く。
「な、なんだい?」
「俺、クレープ食べたい! あそこに屋台あるじゃん! いこ!」
「じゃ、俺も買おうっと。 山内は?」
「あ~・・・。 どうしよう・・・。 お腹いっぱいになったら嫌だから遠慮しとくよ。 ありがと」
俺と三石はクレープ屋の前に行き、メニューを眺める。
「おお・・・。 結構種類あるんだな」
「だよねっ! すっごく美味しそう! すみませーん! オススメってどれですか?」
「はいー! オススメは・・・って、高橋君?!」
俺は驚いた。
帽子を被っていて顔が見えなかったので声だけじゃだれか分からなかったのだ。
「うわっ! な、か、か、神谷さん?!」
「なんで」と言いかけてしまった。
危ない。
「あっれー? 奇遇だね! 今日は・・・デート?」
「俺、男ですよ!!」
神谷さんはクレープの生地をクルクルと棒で伸ばしている。
「あっはっは・・・。 ごめんね。 君、名前は? あ、あのイケメンの子・・・。 名前はなんだったっけ」
「あー、えっと、このちょっと赤毛混じりの半分女子みたいなやつが三石です。 イケメンでリア充なやつが山内です」
「へぇ~。 三石君かぁ・・・。 下の名前は?」
「遼太郎です」
「よろしくね! 三石君」
「ひゃ、ひゃい!」
「なんで、ひゃいなんだ?」
「緊張してて・・・」
「ほ~う・・・」
ヤバイ、神谷さんの眼が光った。
「・・・で、クレープは? 何にする?」
「んじゃ、チョコバナナお願いします」
「ストロベリープリンセスで・・・」
「はーい! 待っててね」
俺達はクレープを作ってもらっている間に神谷さんと雑談することにした。
神谷さんは凄く器用な人だ。
喋りながらもクレープを作っている。
「今日は神谷さんバイトっすか?」
「そーだよ、車の免許取りに行こうと思っててさ・・・。 それでお金が必要なんだよね」
「へぇ・・・。 車ですか。 いいですね」
「あら、三石君。 興味あるの? 今度お姉さんの車に乗せてあげるわね」
神谷さんそれ、誘拐になりますよ?
記事に、『女子大学生、男子高校生を誘拐』とか、『女子大学生、男子高校生と不純交遊 親「そんな子じゃなかった」』とかで最悪捕まりますよ?
なんて俺の下らない妄想を神谷さんは感じ取っていたのだろう。
ジトーと俺を見ていた。
「高橋君」
「なんすか?」
俺は平然を装った。
「エッチな事考えていたでしょ」
「はは、はぁ」
「バレバレよ」
「すみません」
ジト目は笑顔に変わって、
「お待たせしましたぁ! チョコバナナとストロベリープリンセスでーす!」
と宣言されたクレープを受け取った。
「じゃ、また来てね。 いつまでやるんすか?」
「今日までよ」
「これないじゃないっすか!?」
「嘘よ。 じゃ、バイトでね」
神谷さんに一礼してから、俺達は山内の方に戻った。
「ごめん。 遅くなった!」
スマホをいじっていた山内は声に顔をあげる。
「いいよ、全然。 誰か居たの?」
「俺のバイトの先輩の神谷さんって人でさ。 この前あった人。 ポニーテールの」
「あぁ、あの人か・・・。 それにしても三石のクレープ・・・。 すごい色だね」
「美味しそうでしょ!」
「じゃ、急ぎますか」
「「そうしますか」」
俺達は後数分で着くショッピングセンターに急ぐのであった。
三石がふと、思い付いたように呟いた。
「そういやさ、昨日のテレビでこんなニュース見たんだけど、これって、山内の行ってた中学校だよね?」
と、言ってメモアプリにURLをメモっていたのだろうニュースの動画を見せてきた。
三石が、おもむろに画面を俺達に見せる。
「ああ・・・。 そうだけど」
「えっとね、これなんだけど・・・。 まだ犯人捕まってないんだよね?」
そういって、見たのは『男子中学生3名、何者かに襲われ重症』という記事だ。
「なんで全員男子なんだろう・・・。 部活での揉め事とかかなぁ?」
「さぁ、どうなんだろうね・・・。 僕もあんまり詳しく知らなかったよ・・・。 酷いね」
「そうだなぁ。 世の中には酷いことをする人が居るもんだな」
少し間が開いて三石が再び「あ!」と言う。
当然少し驚く。
「な、なんだい?」
「俺、クレープ食べたい! あそこに屋台あるじゃん! いこ!」
「じゃ、俺も買おうっと。 山内は?」
「あ~・・・。 どうしよう・・・。 お腹いっぱいになったら嫌だから遠慮しとくよ。 ありがと」
俺と三石はクレープ屋の前に行き、メニューを眺める。
「おお・・・。 結構種類あるんだな」
「だよねっ! すっごく美味しそう! すみませーん! オススメってどれですか?」
「はいー! オススメは・・・って、高橋君?!」
俺は驚いた。
帽子を被っていて顔が見えなかったので声だけじゃだれか分からなかったのだ。
「うわっ! な、か、か、神谷さん?!」
「なんで」と言いかけてしまった。
危ない。
「あっれー? 奇遇だね! 今日は・・・デート?」
「俺、男ですよ!!」
神谷さんはクレープの生地をクルクルと棒で伸ばしている。
「あっはっは・・・。 ごめんね。 君、名前は? あ、あのイケメンの子・・・。 名前はなんだったっけ」
「あー、えっと、このちょっと赤毛混じりの半分女子みたいなやつが三石です。 イケメンでリア充なやつが山内です」
「へぇ~。 三石君かぁ・・・。 下の名前は?」
「遼太郎です」
「よろしくね! 三石君」
「ひゃ、ひゃい!」
「なんで、ひゃいなんだ?」
「緊張してて・・・」
「ほ~う・・・」
ヤバイ、神谷さんの眼が光った。
「・・・で、クレープは? 何にする?」
「んじゃ、チョコバナナお願いします」
「ストロベリープリンセスで・・・」
「はーい! 待っててね」
俺達はクレープを作ってもらっている間に神谷さんと雑談することにした。
神谷さんは凄く器用な人だ。
喋りながらもクレープを作っている。
「今日は神谷さんバイトっすか?」
「そーだよ、車の免許取りに行こうと思っててさ・・・。 それでお金が必要なんだよね」
「へぇ・・・。 車ですか。 いいですね」
「あら、三石君。 興味あるの? 今度お姉さんの車に乗せてあげるわね」
神谷さんそれ、誘拐になりますよ?
記事に、『女子大学生、男子高校生を誘拐』とか、『女子大学生、男子高校生と不純交遊 親「そんな子じゃなかった」』とかで最悪捕まりますよ?
なんて俺の下らない妄想を神谷さんは感じ取っていたのだろう。
ジトーと俺を見ていた。
「高橋君」
「なんすか?」
俺は平然を装った。
「エッチな事考えていたでしょ」
「はは、はぁ」
「バレバレよ」
「すみません」
ジト目は笑顔に変わって、
「お待たせしましたぁ! チョコバナナとストロベリープリンセスでーす!」
と宣言されたクレープを受け取った。
「じゃ、また来てね。 いつまでやるんすか?」
「今日までよ」
「これないじゃないっすか!?」
「嘘よ。 じゃ、バイトでね」
神谷さんに一礼してから、俺達は山内の方に戻った。
「ごめん。 遅くなった!」
スマホをいじっていた山内は声に顔をあげる。
「いいよ、全然。 誰か居たの?」
「俺のバイトの先輩の神谷さんって人でさ。 この前あった人。 ポニーテールの」
「あぁ、あの人か・・・。 それにしても三石のクレープ・・・。 すごい色だね」
「美味しそうでしょ!」
「じゃ、急ぎますか」
「「そうしますか」」
俺達は後数分で着くショッピングセンターに急ぐのであった。
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