親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

文字の大きさ
上 下
36 / 244
第2章 夏休みと青春 ~バイト尽くしの常夏!職は違えど楽しさは同じ!~

26時間目 親友と幼馴染み

しおりを挟む
「いやぁ・・・ 何する?」
「そうだな。 あ、俺コンビニでアイス買ってくる。 欲しいもの言ってくれ」
「俺はスーパーカップー!敦志よろしくー」
ピューと俺の部屋から去っていく三石。
オイ、あの野郎。
逃げたな。
「ハァ・・・ 山内、一緒に行くか」
「うん。 僕もアイス買おうっと」
俺たちは階段を降りる。
途中で2階で冷蔵庫を勝手に漁っている三石に、チョップをかましてやった。
オイ、人の家の冷蔵庫を勝手に漁るな。
三石はいたぁと言いながら唇を尖らせて、拗ねた。
それを無視して、山内と共に最寄りのコンビニ、バイト先へと行く。
「三石アイツ、人の家の冷蔵庫を勝手に漁るとかどんな神経してんだよ・・・」
「まぁ、人の家の冷蔵庫を勝手に漁るのはよくないよ。 チョップを喰らって正解だね」
俺はため息を、山内は笑顔を振りまいて店内に入った。
店員は黒沢センパイでは無く、いつも深夜のシフトを入れている神谷かみやさんだ。
彼女は、一応成人していて、大学を通いながら生活しているいわゆる就活生という人だ。
お客さんに対して笑顔を忘れず、礼儀が正しい。
俺に対しても黒沢センパイの悪態にもスムーズに対応する優しくて仕事が出来る優秀なセンパイだ。
「あら、高橋君♪」
今日は一段と楽しそうな声色で俺の名前を呼んだ。
「うす。 こんばんちゃす!」
俺はかなり砕けたしゃべり方でしかし、敬意を忘れない挨拶をした。
「あら? 後ろの子はお友達? イケメンさんねぇ・・・。 いいわねぇ・・・ 企業にモテそうだわ・・・」
神谷さんが、山内を羨ましそうに見つめている。
「あはは・・・。 初めまして。 高橋君の友達です。 山内裕太って言います」
山内は、さりげなく握手した。
クゥ・・・。 イケメンめ・・・。
神谷さんはその握手に応じ、笑顔を花咲かせる。
モコモコとした髪が揺れる。
「ふふ・・・。 えーとごめんなさい、ん、んん! バイト中は私語厳禁だったわね。 これ守る人絶対いるわけないわよね? 高橋君は黒沢君にしごかれているのかしら?」
「確かにそっすね、守ってんの黒沢センパイぐらいじゃないすか? 全然っすよ! あの人マジイケメンっす!」
神谷さんはふふと笑っている。
今日はいつにもまして上機嫌のようだ。
『ピロリンピロリン♪』
俺がよく聞く開閉音が耳に入った。
その時は会話も落ち着いたので、神谷さんとは別れたところだった。
「あ! 裕太くーん! 奇遇ぅー! こんな所で会うなんてー!」
と、甲高い声が聞こえた。
「あ、ああ、カナ・・・。 ひ、久し振り」
「どうしたのー? 暗いよー! あ、この目付き悪いのが裕太君に何かしたの?」
「してないよ、あのさ」
「ひっどーい。 いつも裕太君に絡んでくるもんね。 カナ腹が立つぅ」
「あのさ、カナ」
・・・これ、俺どうしたらいいの?
完全に二人だけの世界じゃん。
つーか、俺、そんな目付き悪いの?
「カナ。 いい加減にしてくれる?」
山内の声色が明らかに怒りに染まった。
カナと呼ばれる女子がゴクリと生唾を飲む。
「敦志は別に僕になにかしたわけじゃないし、確かに目付きが少し悪いけどそれがどうしたの? 別にいいじゃないか。 この際だから言っておくけど、僕はカナのその媚びたしゃべり方が嫌いだ。 そして、敦志の事を今後一切悪く言わないでくれ。 いくら君が幼馴染みとは言え、親友を悪くいうことは僕が許さない」
「分かった?」
山内は、今まで見たことがないような顔でカナ・・・カナさんに言った。
こいつでもこんな顔をするのか。
いつも笑顔の人間ですら。
人を傷つけるための顔を。
カナさんは、無言でその場を去った。
俺には、その後ろ姿に少し寒気を感じた。
「・・・っと、ごめんなさい、敦志、アイス買って帰ろうか、三石が待ってる」
山内は、ピノを買い、俺は三石のためにスーパーカップを、自分用にガツンとミカンを買ってコンビニを後にした。
家まで徒歩3分という短い時間なのに、長く感じられた。
「なぁ、山内。 お前もしかして、あのカナって子にあとをつけられているのか?」
「いや、違う・・・よ。 カナとは聞こえたかもしれないけど小学校から一緒にいる幼馴染みでね。 普通に可愛いし、スタイルもいいんだけど、かなり重たいところがあってね・・・」
そう語りながら、山内は顔に影を作る。
「あのさ・・・」
俺は決意を決める。
山内がこちらを見る。
「俺に、俺たちに、相談してくれよな・・・。 なにか力になるからさ・・・。 親友が、傷つくところを黙って見てるわけには行かねぇからさ」
山内が一度うつむく。
そして、もう一度こちらを見る。
「ありがとう、それは頼りになる」
と笑って言った。
「さあ、走ろ! 三石が待ってるよ!」
街灯の灯りが山内の顔を明るく照らす。
その顔からは、影は一時的に消えたようだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

想妖匣-ソウヨウハコ-

桜桃-サクランボ-
キャラ文芸
 深い闇が広がる林の奥には、"ハコ"を持った者しか辿り着けない、古びた小屋がある。  そこには、紳士的な男性、筺鍵明人《きょうがいあきと》が依頼人として来る人を待ち続けていた。 「貴方の匣、開けてみませんか?」  匣とは何か、開けた先に何が待ち受けているのか。 「俺に記憶の為に、お前の"ハコ"を頂くぞ」 ※小説家になろう・エブリスタ・カクヨムでも連載しております

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺たちの共同学園生活

雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。 2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。 しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。 そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。 蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?

処理中です...