親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第2章 夏休みと青春 ~バイト尽くしの常夏!職は違えど楽しさは同じ!~

22時間目 突然の来客

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「・・・」
静まり返るMISHIHANA。
ドアの前に立っている人は、ガジガジと頭を掻いて、ハァとため息をついた。
そして、口を開いた。
「・・・あのなぁ、睡蓮、菫、桃花。 なんとか口を開いたらどうだ? 桃花や菫はともかく睡蓮、お前絶対なんか企んでるだろ?」
黒沢センパイは、クククと笑って、
「ンだよ。白膠。 やっぱ気づいてンじゃねェか。 お前の事知らないふりしてやろうと思ったのによォ」
「いやがらせにもほどがあるだろ・・・」
と、その人は頭をガジガジと掻きながら、入ってきた。
「えっと、黒沢君。 さっき言ってたツレの子かい?」
と、三島さんが聞く。
「あ、そうっス」
と、黒沢センパイは答えた。
と、いうことは。
俺の目の前に座った人が。
180cmはあろう身長。
服の上からでもわかる鍛え上げられた肉体。
山内に負けないほど整った顔立ち。
かっこいいと誰もが言えるウルフカット。
グレーのロングコートがかっこよくバサバサと揺れる。
この人が、黒沢センパイの親友。
「んじゃ、自己紹介をするよ。 俺の名前は白膠孝木しらかわこうき。 睡蓮とは子供の頃からずっと一緒にいる。 幼馴染みかな。 まぁ、一応、俺の方が年上なんだけどね」
白膠さんは、そういって、クスクスと笑いながら、さりげなく握手をしてきた。
その手は温かく、優しい熱がしたのと同時に固くてひんやりとした異物が手にはあった。
「手の中、見てみて」
「はい」
俺は言われた通りに手を見ると、
「警察官・白膠孝木」
と書かれた紙があった。
「け、警察官ー!?」
と、いつのまにか俺の近くに来ていた三石が悲鳴に似た声をあげた。
「うん。 俺は警察官だよ。ま、まさか、君たち、なにもやってないよね。 俺は容赦なく逮捕するよ~!」
と、ニヤリと笑いながら、かっこいいポーズを取る白膠さん。
「ち、違います! すっげぇ! 本物の警察官だぁー! プライベートでなにかをしているところ始めて見たぁー!」
と、キラキラした目をしながら言った。
そして、握手を求めた。
白膠さんは、アハハと笑いながらも、握手をしっかりとしている。
「ふえぇ・・・」
三石は、キラキラした目をしながら、元の席へと戻っていった。
俺は、イケメンランキングを作り直さなければいけないなと思い、心のメモ帳に「白膠さん、イケメンランキング暫定2位」とメモをした。
イケメンすぎるだろ。
「いやぁ~! 参ったねぇ。 ところで、君たちは、名前なんて言うの?」
白膠さんは、俺と山内を交互に指をさしながらいった。
「俺は、高橋敦志たかはしあつしです。 バイトでは黒沢センパイ・・黒沢さんにお世話になってます。 よろしくお願いします」
「僕は、山内裕太やまうちゆうたです。 バイトは薔薇しょくびさんにお世話になっております。 以後、お見知りおきを」
俺は、「黒沢センパイ」と言おうとしたら、ボケ~としていた黒沢センパイがすっげぇ怖い顔で睨んできたので「黒沢さん」と言い直した。
こわっ・・。
「よろしく。 高橋君、山内君。 それにしても、睡蓮。 黒沢センパイかぁ~! いいじゃん!いいじゃん! よかったねー! こんなになついてくれる後輩が出来てさ」
「まぁ、別に悪くないけどよォ。 敦志、他人の前では俺の事を『黒沢さん』って呼べよ。 まぁ、一応こいつもバイトは楽しいみたいだしな。 俺はそれで嬉しいよ」
ヘヘッと笑う黒沢センパイ。
「そうすか。 俺は黒沢センパイのおかげでバイトが毎日楽しいっス」
「そーか」
ぶっきらぼうに言葉を返す黒沢センパイ。
それがこの人の優しさなんだろうなと思いながら、俺はコーヒーを飲んだ。
砂糖の甘さが心を優しく穏やかにした。
「そろそろ、お開きにしようか」
と、三島さんが言った。
食事も程よくして、雑談をして、笑った短い二時間は、もうすぐ幕を閉じる。
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