上 下
16 / 46
第3章 憧れの先輩

第3章 第12話 修学旅行 ~3日目~

しおりを挟む
朝、目覚まし時計が鳴り、目を覚ますと、山崎がイスに座って、朝日を見ていた。
「お、楓おはよう!」
彼が俺より、早く起きるなんて、珍しいと思いながら、おはようと、返す。
俺は驚愕した。
   コイツ...どれだけ、食べるんだよ...
彼はニヒヒッと笑って、ホテルのサービスである、クッキーと、紅茶を食べて飲んでいた。
全く、彼の腹の虫は中々鳴き止まないようだ。
そして、もう一人のクラスメイトと女子達が目を覚まし、俺たちの修学旅行最後の時間が始まろうとしていた。
ホテルグランドオールスターの朝食はとても、豪華で、まるで、5つ星のフレンチを食べているような感覚になった。
郷土料理と、ふわっふわなオムライス。
とても、美味しかった。

そして、11時ぐらいになった。
俺たちは、班行動で、調べた店に向かっている。
電車とバスが無料になるチケットをもらい、山崎が先導をしていた。
はしゃぎ過ぎだ。
時おり、俺が持ってきた観光雑誌を皆でにらみながら、行くと、オシャレ有名カフェ「Dreamdance」に着いた。
外装からして、『流行を走っています!』的な雰囲気が流れているのを、花園さん達、女子組が、ワクワクしながら、入っていった。
このBGMは確か、聞いたことがある気がする。
何かの映画に流れていた。
2、3年前に流行った映画の...
と、映画名を思い出そうとした瞬間、とても元気な声が聞こえてきた。
「わぁ、来たよ!!」
なんと、アイスクリームがドリンクの上に刺さっており、タピオカがたっぷり入ったTHE・甘い系の飲み物が来た。
山崎は興奮しながら、写真を撮っている。
お前は女子か。
初めて食べるタピオカ。
一体どんな味なんだろうかと思い、スプーン1杯分を口に入れた。
もちもちとした食感で、柔らかく、甘い。
アイスクリームは、バニラの風味がとても、気分を良くしてくれる。
とても、美味しいミルクティーを飲みながら、皆で写真を撮った。

電車が一定のリズムで、揺れる。
今から向かう場所は、僕が見つけた、湖畔神社だ。ここは、死者が向かう神社で有名らしい。
ホームページで見た通り、賑やかな祭りが開催されていた。
たくさん並ぶ屋台、神社とは思えないほどの人混み。
真っ昼間から、ビールを飲んでいる中年の人たちもいれば、屋台を歩き回りながら、イチャイチャしているカップルもいる。
そんな感じで、まずは、参拝をしようか。ということになり、皆で神社の鐘を鳴らした。
俺が望むこと。
これは死者に気持ちが届くと言ってもいい。
【ねぇ、君は俺の事を覚えていてくれているかい。
もし、覚えていてくれたら、君に感謝と、気持ちを伝えたい。俺は君のおかげで、大切な人を助けることが出来たよ。本当にありがとう。そして、俺は君の事が好きだった。修学旅行で、一緒の班になった辺りからだ。だけど、気持ちを伝えることは出来なくなったから、今、あの日の俺より、少し大人になった俺が望むことはひとつだけ。君と、幸せになりたかった。けど、もう叶わない。だから、君も、そっちで、幸せになってくれよ。また、どこかで会えるといいね。ありがとう。元気でね。】
俺は、あの子への想いも込めて、拝んだ。
神社から、出ようとした時だった。
ありがとうと女性の声が聞こえた。
そして、好きだったよとまた、聞こえてきた。
俺は泣きそうになる気持ちをグッとこらえて、神社に頭を下げた。
そして、ハンカチを見た。

それから、電車に身を任せ、フラフラと色々な場所に寄った。
アイスクリーム屋に行ったり、猫カフェに行ったり、色々な場所に行き、色々な体験をした。
君の、花園さんの、笑顔がくっきりと目に焼き付いた。
それから、18時。
俺たちはお土産店にいる。
最終の土産店で、自分用に何を買おうかと、迷っている所だ。
花園さんは、「三島君は買ったの?」と聞いてきたので、自分用はまだと言い、一緒に探してくれる優しさを利用した。
本当は、彼女が選んだ物を買いたかっただけだ。
必死に考えてくれるのは、きっと花園さんだけであろう。
俺は、カステラと、長崎で、作られたTシャツを買った。
中々センスがいい。
「花園さん、お土産考えてくれて、ありがとう。」
「ううん。私も、自分用に買いたかったから、一緒にいて楽しかった。」
この言葉が引き金であろう。
体全体に、特殊な熱が走った。
「三島君どうしたの?顔赤いよ?」
「だい、じょう...ぶだから。」
「本当に?」
「うん。心配してくれて、ありがとう。」
俺は気づいてしまった。
心から、思ってしまった。
今日の、神社での、言葉が体をもっと、熱くさせる。
あの子は、俺の事が好きだったんだ。
良かった。
そして、改めて思う。
俺は、花園さんが好きだ。
きっと、誰よりも。
隣の席に座っている。
君が。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

処理中です...