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2020年 12月20日 かがみもち1st birthday SS
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本日、12月20日は僕、かがみもちの誕生日でございます。
ので、今回は特別編と言うことで、親リア×青春の罪と罰という組み合わせをしていきたいと思います!
一体どんな物語になるのか、お楽しみに!
※この物語は「青春の罪と罰」の後日談となっております。
今回のお話はノンフィクションではなく空想です。
ですので、ここでの主人公の一人称は「僕」となっております。
「青春の罪と罰」の主人公のおさらい(ネタバレを含みますので先に青春の罪と罰を読むことをおすすめします)
URL↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/661827276/339410425
もし、よければどうぞ。
【名前:かがみもち】
【職業:学生、小説家(希望)、ギタリスト(希望)】
【年齢:15歳】
【好きな小説:「召喚士が陰キャで何が悪い(かみや)」、「氷の令嬢の溶かし方(高峰翔)」、「三角の距離は限りないゼロ(岬鷺宮)」、「君の膵臓をたべたい(住野よる)」】
【好きな音楽:スピッツ、コブクロ】
【好きな言葉:「これから傷ついたり誰か傷つけても僕のままでどこまで届くのだろう(楓・スピッツ)」、「無視されるかもしれない。拒絶されるかもしれない。無視されてもいい。拒絶されてもいい。その時もう一度、ちゃんと傷つけ。(青くて痛くて脆い・住野よる)」】
中学1、2年生の時に人を傷つけてしまった少年。
それを糧に今出来ることを、元からあった全力投球を心に決めて頑張っている。
口癖は「傷つけない・傷付かない」。
人との関わりを一度は諦めかけていたが、デュオのギター仲間によりもう一度人と関わる事を頑張っている。
最近はハキハキ喋れている。
親友が3人居る。
それでは、どうぞ!
「フゥフゥ……!」
やると決めたからには必ず続けるのが僕だ。
良いことも悪いことも口にしたことは今まで成し遂げられなかったことは無い。
「フッフッ……! ハッハッ!」
まだ薄暗い道を走っている。
無造作に置かれた自動販売機や信号がピカピカと一定間隔で光っている。
これは、卒業式後、つまり、春休みの物語である。
3月下旬になったとはいえ、やはり辺りは暗かった。
僕は今日、朝5時30分から起床し、ポケットの中に300円だけを入れて走っている。
この300円は後で微糖のコーヒー、スティックパンか菓子パンを買うためだ。
信号が赤になってしまったが、僕はそんなのを気にしないで渡る……事をする人間ではないので、遠回りになるが方向転換をして、ランニングを続ける。
手先が外に出たときは冷えていたが今は暖かく感じる。
「ハッ……! ハッ! フゥ……! ウグムゥ!」
なんか最後変な声がでたが。
家を出てからかなりの時間を走っていたためか、息が切れた。
「ハッ……! っし、まだまだ!」
僕はそんなところでくたばるような人間じゃない。
重い足を動かす。
暗示をかけるようにもう一人の自分に言う。
─運動なんかで死なない。もっともっと。自分が傷付かないために─
こうすることで、僕は今の僕を保てている。
─ああ、そうだ。 俺は償うんだろ?一生を賭けてさ。 あの子のために。アイツのために。自分のために─
すると心なしかもう一人の僕が言ってくれている感じがするのだ。
「頑張ろ……ぜッッ!」
僕は自然と言葉が出た。
余談だが、僕の家は中学校から遠い。
だから、近くには絶対に行かない。
行くとしても、ギター仲間と遊びに行くときだけだ。
だが、あの子の家は少し近い。
近所のスーパーの近くに住んでいるから罪を犯す前は、彼女にたまに会った事がある。
あと、あの子の彼の家も近い。
僕と彼は小学校が同じだったため、彼とは中学1年生の始めの頃、一緒に帰っていた時期があった。
そういや、それももう3年前の事か。
あの日、仲が良かった僕らは彼女をキッカケに決別した。
おかげで僕はクソ野郎扱いされ、彼は彼女を護るようになった。
思い出しただけでも腹がえぐれるような痛みが走る。
ただでさえ、走っていてお腹が痛いのに、余計に痛くなる。
でも、これを思えば、思い出せば、自然と僕には笑顔がでて、勇気と希望とチャンスを与えてくれる。
まず、僕の部活動の顧問だった先生の顔を思い出す。
先生はいつも僕に勇気をくれた。
発言のひとつひとつが。
行動のひとつひとつが。
『たとえ、出来なくてもその過程が大事なんだよ』って。
僕を信じてくれた。
アイツを殴ったときだってそう。
僕の記憶が曖昧になっているとき、冷静になれたのは、先生のおかげだったんだ。
今の僕を支えてくれている柱は先生の言葉だ。
僕は、息を切らしながら、公園に着いたので一度立ち止まった。
「ハァハァ……!」
何度かの呼吸で息を整える。
肺に新鮮な朝の空気が巡ってきた。
僕は時計を見る。
「6時15分……。家出てから15分か……。あと、1時間45分!」
僕は公園にポツンとある自動販売機に近寄り、微糖のコーヒーを買う。
缶は冷たいが、走っていたため、体が冷たい飲み物を欲していた。
パキュとプルタブの心地よい音が鳴り、ゴクゴクと飲めば、甘いカフェオレのような味の中にコーヒーの幌かな苦味が心に染みる。
「ふぅ……。美味しい」
一気に飲み干してしまい、ゴミ箱に投げ入れた。
それから、またランニングを再開し、次は祖母の家の近くの公園へと向かう。
ちなみに、祖母と祖父は鉄工所をしており、僕はそれを尊敬している。
なんせ、壊れてしまった自転車を自力で直すほどの技術が祖父にはあるし、僕が熱をだしたり、ご飯が食べたいと言って行けばいつでも用意をしてくれたからだ。
だが、継げない。
僕には体力も無いし、しかも技術も無い。
僕の行く高校は商業の高校だから。
そんな事を思いながら公園を抜けて、今来た道を通り抜け、家の前を通り過ぎた頃には太陽の光が昇ってきていた。
「うおっ……!」
太陽の光が住宅地を照らしている。
それが僕の目に反射している。
キラキラと輝く太陽を普段なら眩しいと言って俯くが、今日の、ここ最近の僕は俯かなかった。
輝くそれは、あの日のライブの風景を思い出させてくれる。
太陽の光は僕の目から逸れて、住宅街を照らしている。
空が徐々に明るく蒼くなっていった。
「ゲホッ……! ケホッ……! ヴェッ!」
祖母の家の近くの公園に着いた頃、空気がなぜかヘンな所に入ってしまって噎せた。
「ゲッホ……。ゥ……」
大丈夫。
ちょっと吐き気がしたけど。
スーハーと深呼吸を繰り返し、僕は時計を見た。
6時45分か……。
吐いたら嫌だし、今日はもう帰ろっかな。
ちょっとコンビニによろうっと。
僕は、ここから直線にあるコンビニめがけて走った。
「いらっしゃいませー!」
と女性の声が聞こえる。
僕はスタコラサッサとスティックパン(チョコチップ)と微糖のコーヒー缶とカフェオレのペットボトルを持ち、レジに向かった。
店員さんは、無言で会計をしている。
僕はその間にポケットから200円を取り出す。
ピッというあのバーコードを読み取る音がかなり好きだ。
店員さんは自分の制服に付いている名札のバーコードを読み取り、商品に赤外線を当てていく。
見てしまったが、名前は「神谷」と書いていた。
たまにバーコードを読み取れない商品があって、「あれ?」となる時があるが、今回は無かったようだ。
なんか買う側が責任感じちゃうんだ。
読み取れない商品選らんでしまったなって。
なんて、事は置いといて。
僕は笑顔でおつりと商品を受け取り、コンビニを後にした。
家にはすぐに着いた。
僕は、家に帰るとすぐにパジャマに着替えてベッドに寝転ぶ。
机には高校の過去問やらがまだ散らばっている。
ギターは玄が1本外れており、弾ける状態だが弾きたくない。
僕はとにかく疲れていたので意識は眠りのなかに引き込まれていった。
そして、起きたのは何時頃だろうか。
まだ付いていた腕時計を見て、驚愕した。
「は……!? 12時?」
ウソでしょ。
僕こんなに寝ちゃったの?
なんて愚痴っていても仕方がないので、2階に降りて、父と母に挨拶した。
両親はまたいつもの土日のランニングかと慣れた様子だ。
母が昼食を作っていてくれたので僕は食べる。
昼食といってもサラダと昨日の唐揚げの残りだが。
「おいひぃ」
「しっかし、あんたももう高校生やなぁ。特待生取れたし、頑張りや」
母はバリバリの関西人。
父もバリバリの関西人。
だけども、僕は関西弁を使わない。
なぜか標準語だ。
まぁ、祖父もそうだが。
祖父の血が濃いということにしている。
「そうだね。頑張るよ」
僕は普通の会話をして、昼食を堪能した。
最近は人との会話をしっかりするように心がけている。
「ごちそうさま」
僕がそういうのと同時に父は浴室からでてきた。
「そうだ。銭湯行く?」
父はそう僕に聞いてきた。
が、これは断る。
今日は本屋に好きな小説家の新刊の発売だからだ。
「んー。ごめん。今日はいいや。また今度行こう」
「了解」
と言うと父はドタドタと忙しそうに玄関に行った。
僕は母に買い物に行ってくるとだけ伝えて、上ほ自分の部屋に上がった。
その際、「マスク持っていきや」も聞こえた。
もちろん、持っていく。
僕は普段使っている迷彩柄の鞄を持って、出ていく。
新刊を買いに行くが、とりあえず、今持っている小説もブックカバーを着けて鞄の中に入れた。
今いれた小説は現実と異世界を往復する世界で主人公が努力で無双していくという内容のファンタジー小説だ。
僕はそんな現実と異世界を往復する世界があったら行きたい。
少なくとも盾にはなるだろうし、僕はジワジワと敵にダメージを与えれる呪文とか使えそうだ。
なんて、事を考えながら、僕は快晴の中、自転車を漕いだ。
耳にイヤホンを当てて、好きな音楽が流れている。
この歌を聴くと過去の事が頭の中でグルグルと回ってくるのはなぜだろうか。
数分で、古本屋には着いた。
自転車をいつもの位置に停める。
キィとアスファルトとペダルが摩りきれる音がする。
ここの古本屋は古本を置いているだけでなく、しっかりと新刊も置いてあるし、ゲームとCDも売っている。
つまり、何でも屋だった。
ここを最近は拠点としている。
僕は心の中で【小説の宝庫】と読んでいる。
なんかダサいな。
と、とにかく、僕は店内に入り、2階にある小説コーナーに向かう。
「ねぇ! 見て! 敦志! この人の小説凄いね!」
「ああ、そうだな。世の中苦労している人間が居るもんだな」
あ、言うのを忘れていた。
僕は自身の人生を語った小説をだしている。
もちろん、名前等は偽名や僕が心の中で思っている言い方で言っているが、僕は「かがみもち」という名前で小説を書いている。
だが、ノンフィクション、ましてやエッセイを書いている人なんてごまんと居る。
だから、僕の小説な訳がないのだ。
……そうだよね?
「中2で自身を戒めるとか普通できないよな」
「他人を傷つけない覚悟と自分が傷付かないようにする努力……くぅ! 泣けるねぇ!」
「ん、俺かおうっと!」
「んじゃ、俺も」
「山内にも勧めてみようよ!」
「そうだな。 バイト帰りに言ってみるか」
と言って僕の小説を買ってくれたお兄さんたちはそのまま、去っていった。
赤髪の子って女子かな?
声高かったし。
あの天パの人、絶対ヤクザだろ?!
目付きクソ悪いんだもん。
僕も人の事言えないけどさ。
僕はとりあえず、好きな小説家の新刊を手に取り、1階にあるレジに向かった。
ちなみに、内容はおせっかいの高校生男子が人と関わらない女子との恋愛物語だ。
僕は恋愛小説がまぁ、好きだ。
僕は会計を済まし、お金を払って、でていこうとした。
かなり、イケメンの人だったな。
名前は……「山内」だったっけな。
ドアの前で僕の腰辺りにぶつかった感触があった。
「あっ、ごめんなさい」
と小柄の男性が謝っていた。
「だ、大丈夫です」
僕はペコリと頭を下げ、でていった。
あの人、男の人だよな。
服ブカブカじゃん。
僕はアホな想像をしながら、自転車で帰った。
その帰り道、近所のスーパーでも寄ろうかと方向転換した時だった。
ドクンと胸が、心臓が跳ねた。
あの子が、彼と居た。
僕は、この胸の痛みを頭痛のようなズキズキとする痛みを必死に堪えながら、逃げるように家に帰った。
スーパーには行けなかった。
虚しさが止まない。
小説を読んでみるが、ジャンルが恋愛小説だからか、余計だ。
僕はベッドに寝転ぶ。
もしも、あの日、勘違いをされるような行動を取らなかったら─
今頃。
あの笑顔は。
僕の隣にあったのだろうか。
考えても意味がない。
考え出したらキリが無い。
分かっているよ。
あの笑顔を見る度に思う。
「もう二度と元には戻ってこないって」
もう二度と来ない時を僕は夢の中で取り戻そうとしていた。
起きたとき、頬には熱い水が流れていた。
ので、今回は特別編と言うことで、親リア×青春の罪と罰という組み合わせをしていきたいと思います!
一体どんな物語になるのか、お楽しみに!
※この物語は「青春の罪と罰」の後日談となっております。
今回のお話はノンフィクションではなく空想です。
ですので、ここでの主人公の一人称は「僕」となっております。
「青春の罪と罰」の主人公のおさらい(ネタバレを含みますので先に青春の罪と罰を読むことをおすすめします)
URL↓
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もし、よければどうぞ。
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【年齢:15歳】
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【好きな音楽:スピッツ、コブクロ】
【好きな言葉:「これから傷ついたり誰か傷つけても僕のままでどこまで届くのだろう(楓・スピッツ)」、「無視されるかもしれない。拒絶されるかもしれない。無視されてもいい。拒絶されてもいい。その時もう一度、ちゃんと傷つけ。(青くて痛くて脆い・住野よる)」】
中学1、2年生の時に人を傷つけてしまった少年。
それを糧に今出来ることを、元からあった全力投球を心に決めて頑張っている。
口癖は「傷つけない・傷付かない」。
人との関わりを一度は諦めかけていたが、デュオのギター仲間によりもう一度人と関わる事を頑張っている。
最近はハキハキ喋れている。
親友が3人居る。
それでは、どうぞ!
「フゥフゥ……!」
やると決めたからには必ず続けるのが僕だ。
良いことも悪いことも口にしたことは今まで成し遂げられなかったことは無い。
「フッフッ……! ハッハッ!」
まだ薄暗い道を走っている。
無造作に置かれた自動販売機や信号がピカピカと一定間隔で光っている。
これは、卒業式後、つまり、春休みの物語である。
3月下旬になったとはいえ、やはり辺りは暗かった。
僕は今日、朝5時30分から起床し、ポケットの中に300円だけを入れて走っている。
この300円は後で微糖のコーヒー、スティックパンか菓子パンを買うためだ。
信号が赤になってしまったが、僕はそんなのを気にしないで渡る……事をする人間ではないので、遠回りになるが方向転換をして、ランニングを続ける。
手先が外に出たときは冷えていたが今は暖かく感じる。
「ハッ……! ハッ! フゥ……! ウグムゥ!」
なんか最後変な声がでたが。
家を出てからかなりの時間を走っていたためか、息が切れた。
「ハッ……! っし、まだまだ!」
僕はそんなところでくたばるような人間じゃない。
重い足を動かす。
暗示をかけるようにもう一人の自分に言う。
─運動なんかで死なない。もっともっと。自分が傷付かないために─
こうすることで、僕は今の僕を保てている。
─ああ、そうだ。 俺は償うんだろ?一生を賭けてさ。 あの子のために。アイツのために。自分のために─
すると心なしかもう一人の僕が言ってくれている感じがするのだ。
「頑張ろ……ぜッッ!」
僕は自然と言葉が出た。
余談だが、僕の家は中学校から遠い。
だから、近くには絶対に行かない。
行くとしても、ギター仲間と遊びに行くときだけだ。
だが、あの子の家は少し近い。
近所のスーパーの近くに住んでいるから罪を犯す前は、彼女にたまに会った事がある。
あと、あの子の彼の家も近い。
僕と彼は小学校が同じだったため、彼とは中学1年生の始めの頃、一緒に帰っていた時期があった。
そういや、それももう3年前の事か。
あの日、仲が良かった僕らは彼女をキッカケに決別した。
おかげで僕はクソ野郎扱いされ、彼は彼女を護るようになった。
思い出しただけでも腹がえぐれるような痛みが走る。
ただでさえ、走っていてお腹が痛いのに、余計に痛くなる。
でも、これを思えば、思い出せば、自然と僕には笑顔がでて、勇気と希望とチャンスを与えてくれる。
まず、僕の部活動の顧問だった先生の顔を思い出す。
先生はいつも僕に勇気をくれた。
発言のひとつひとつが。
行動のひとつひとつが。
『たとえ、出来なくてもその過程が大事なんだよ』って。
僕を信じてくれた。
アイツを殴ったときだってそう。
僕の記憶が曖昧になっているとき、冷静になれたのは、先生のおかげだったんだ。
今の僕を支えてくれている柱は先生の言葉だ。
僕は、息を切らしながら、公園に着いたので一度立ち止まった。
「ハァハァ……!」
何度かの呼吸で息を整える。
肺に新鮮な朝の空気が巡ってきた。
僕は時計を見る。
「6時15分……。家出てから15分か……。あと、1時間45分!」
僕は公園にポツンとある自動販売機に近寄り、微糖のコーヒーを買う。
缶は冷たいが、走っていたため、体が冷たい飲み物を欲していた。
パキュとプルタブの心地よい音が鳴り、ゴクゴクと飲めば、甘いカフェオレのような味の中にコーヒーの幌かな苦味が心に染みる。
「ふぅ……。美味しい」
一気に飲み干してしまい、ゴミ箱に投げ入れた。
それから、またランニングを再開し、次は祖母の家の近くの公園へと向かう。
ちなみに、祖母と祖父は鉄工所をしており、僕はそれを尊敬している。
なんせ、壊れてしまった自転車を自力で直すほどの技術が祖父にはあるし、僕が熱をだしたり、ご飯が食べたいと言って行けばいつでも用意をしてくれたからだ。
だが、継げない。
僕には体力も無いし、しかも技術も無い。
僕の行く高校は商業の高校だから。
そんな事を思いながら公園を抜けて、今来た道を通り抜け、家の前を通り過ぎた頃には太陽の光が昇ってきていた。
「うおっ……!」
太陽の光が住宅地を照らしている。
それが僕の目に反射している。
キラキラと輝く太陽を普段なら眩しいと言って俯くが、今日の、ここ最近の僕は俯かなかった。
輝くそれは、あの日のライブの風景を思い出させてくれる。
太陽の光は僕の目から逸れて、住宅街を照らしている。
空が徐々に明るく蒼くなっていった。
「ゲホッ……! ケホッ……! ヴェッ!」
祖母の家の近くの公園に着いた頃、空気がなぜかヘンな所に入ってしまって噎せた。
「ゲッホ……。ゥ……」
大丈夫。
ちょっと吐き気がしたけど。
スーハーと深呼吸を繰り返し、僕は時計を見た。
6時45分か……。
吐いたら嫌だし、今日はもう帰ろっかな。
ちょっとコンビニによろうっと。
僕は、ここから直線にあるコンビニめがけて走った。
「いらっしゃいませー!」
と女性の声が聞こえる。
僕はスタコラサッサとスティックパン(チョコチップ)と微糖のコーヒー缶とカフェオレのペットボトルを持ち、レジに向かった。
店員さんは、無言で会計をしている。
僕はその間にポケットから200円を取り出す。
ピッというあのバーコードを読み取る音がかなり好きだ。
店員さんは自分の制服に付いている名札のバーコードを読み取り、商品に赤外線を当てていく。
見てしまったが、名前は「神谷」と書いていた。
たまにバーコードを読み取れない商品があって、「あれ?」となる時があるが、今回は無かったようだ。
なんか買う側が責任感じちゃうんだ。
読み取れない商品選らんでしまったなって。
なんて、事は置いといて。
僕は笑顔でおつりと商品を受け取り、コンビニを後にした。
家にはすぐに着いた。
僕は、家に帰るとすぐにパジャマに着替えてベッドに寝転ぶ。
机には高校の過去問やらがまだ散らばっている。
ギターは玄が1本外れており、弾ける状態だが弾きたくない。
僕はとにかく疲れていたので意識は眠りのなかに引き込まれていった。
そして、起きたのは何時頃だろうか。
まだ付いていた腕時計を見て、驚愕した。
「は……!? 12時?」
ウソでしょ。
僕こんなに寝ちゃったの?
なんて愚痴っていても仕方がないので、2階に降りて、父と母に挨拶した。
両親はまたいつもの土日のランニングかと慣れた様子だ。
母が昼食を作っていてくれたので僕は食べる。
昼食といってもサラダと昨日の唐揚げの残りだが。
「おいひぃ」
「しっかし、あんたももう高校生やなぁ。特待生取れたし、頑張りや」
母はバリバリの関西人。
父もバリバリの関西人。
だけども、僕は関西弁を使わない。
なぜか標準語だ。
まぁ、祖父もそうだが。
祖父の血が濃いということにしている。
「そうだね。頑張るよ」
僕は普通の会話をして、昼食を堪能した。
最近は人との会話をしっかりするように心がけている。
「ごちそうさま」
僕がそういうのと同時に父は浴室からでてきた。
「そうだ。銭湯行く?」
父はそう僕に聞いてきた。
が、これは断る。
今日は本屋に好きな小説家の新刊の発売だからだ。
「んー。ごめん。今日はいいや。また今度行こう」
「了解」
と言うと父はドタドタと忙しそうに玄関に行った。
僕は母に買い物に行ってくるとだけ伝えて、上ほ自分の部屋に上がった。
その際、「マスク持っていきや」も聞こえた。
もちろん、持っていく。
僕は普段使っている迷彩柄の鞄を持って、出ていく。
新刊を買いに行くが、とりあえず、今持っている小説もブックカバーを着けて鞄の中に入れた。
今いれた小説は現実と異世界を往復する世界で主人公が努力で無双していくという内容のファンタジー小説だ。
僕はそんな現実と異世界を往復する世界があったら行きたい。
少なくとも盾にはなるだろうし、僕はジワジワと敵にダメージを与えれる呪文とか使えそうだ。
なんて、事を考えながら、僕は快晴の中、自転車を漕いだ。
耳にイヤホンを当てて、好きな音楽が流れている。
この歌を聴くと過去の事が頭の中でグルグルと回ってくるのはなぜだろうか。
数分で、古本屋には着いた。
自転車をいつもの位置に停める。
キィとアスファルトとペダルが摩りきれる音がする。
ここの古本屋は古本を置いているだけでなく、しっかりと新刊も置いてあるし、ゲームとCDも売っている。
つまり、何でも屋だった。
ここを最近は拠点としている。
僕は心の中で【小説の宝庫】と読んでいる。
なんかダサいな。
と、とにかく、僕は店内に入り、2階にある小説コーナーに向かう。
「ねぇ! 見て! 敦志! この人の小説凄いね!」
「ああ、そうだな。世の中苦労している人間が居るもんだな」
あ、言うのを忘れていた。
僕は自身の人生を語った小説をだしている。
もちろん、名前等は偽名や僕が心の中で思っている言い方で言っているが、僕は「かがみもち」という名前で小説を書いている。
だが、ノンフィクション、ましてやエッセイを書いている人なんてごまんと居る。
だから、僕の小説な訳がないのだ。
……そうだよね?
「中2で自身を戒めるとか普通できないよな」
「他人を傷つけない覚悟と自分が傷付かないようにする努力……くぅ! 泣けるねぇ!」
「ん、俺かおうっと!」
「んじゃ、俺も」
「山内にも勧めてみようよ!」
「そうだな。 バイト帰りに言ってみるか」
と言って僕の小説を買ってくれたお兄さんたちはそのまま、去っていった。
赤髪の子って女子かな?
声高かったし。
あの天パの人、絶対ヤクザだろ?!
目付きクソ悪いんだもん。
僕も人の事言えないけどさ。
僕はとりあえず、好きな小説家の新刊を手に取り、1階にあるレジに向かった。
ちなみに、内容はおせっかいの高校生男子が人と関わらない女子との恋愛物語だ。
僕は恋愛小説がまぁ、好きだ。
僕は会計を済まし、お金を払って、でていこうとした。
かなり、イケメンの人だったな。
名前は……「山内」だったっけな。
ドアの前で僕の腰辺りにぶつかった感触があった。
「あっ、ごめんなさい」
と小柄の男性が謝っていた。
「だ、大丈夫です」
僕はペコリと頭を下げ、でていった。
あの人、男の人だよな。
服ブカブカじゃん。
僕はアホな想像をしながら、自転車で帰った。
その帰り道、近所のスーパーでも寄ろうかと方向転換した時だった。
ドクンと胸が、心臓が跳ねた。
あの子が、彼と居た。
僕は、この胸の痛みを頭痛のようなズキズキとする痛みを必死に堪えながら、逃げるように家に帰った。
スーパーには行けなかった。
虚しさが止まない。
小説を読んでみるが、ジャンルが恋愛小説だからか、余計だ。
僕はベッドに寝転ぶ。
もしも、あの日、勘違いをされるような行動を取らなかったら─
今頃。
あの笑顔は。
僕の隣にあったのだろうか。
考えても意味がない。
考え出したらキリが無い。
分かっているよ。
あの笑顔を見る度に思う。
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起きたとき、頬には熱い水が流れていた。
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