天才侍、異世界に!!

レクス

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002 仕向けられた闇

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「…来たな」

ふと、父親が呟いた
何が来たか、それは既に判明している…母を標的とした暗殺者共だ
先日、とある貴族が依頼しているのを目撃し待ち構えていた
当然の如く、罠を張り巡らせ準備は万端

かつて剣聖とも崇められた現国王の実弟
彼が居るとは言えど伴うは、あれから成長したと言えど4歳の少年
少年を人質にでも取ってしまえば『標的の始末』は叶わずとも遠からず
身柄開放を交換条件に側室でも取らせればいい、なんなら正妻の座を奪い取るのも良いだろう
剣聖と争うよりは安全で確実で合理的な行動と言えるだろう

数々の同僚が帰らぬ者となった任務、いくら自我を捨てた暗殺者と言えど命は惜しい
完璧な安全マージンを取り、傷心ゆえ妻は取らないと言う困った事になる可能性を消すことも可能
毎度の事ながら、俺が狙われる
ただ、それは実力を知る他者から語れば見当違いも甚だしい

少年の、剣さえまともに握れぬような極めて小さな手が触れる度
暗殺者の体は人の原型さえ残さぬ肉塊と化し砕け散る骨と共に血沼に沈んでいく
残虐であり、だからこそ敵の戦意をゴッソリと抉り取る確実な殺害という事実
容易く、それでいて苦悶も浮かべず黙々と何も宿らぬ瞳の少年が仲間を肉塊へと変えていく

体内で練った気功を肩甲骨で起こした波に乗せ対象の体内に浸透させる
同時に爆裂した気功が対象を内部から粉々に破壊し爆発させる
臓腑は潰れ骨は砕け肉は散る、有り余る能源エネルギーが吹き出る血液を沸かす
煮え滾るような血沼は地獄、それを4歳児が作り出しているという現実
驚愕と畏怖で全く動けない暗殺者は容赦無く肉塊と化す

2分と経たず、全滅という結果を残す事となる無惨な…否、無残な暗殺者達の姿
血の海となった筈だった家は見事に痕跡すら残っていない
神から貰った能力の1つ、無限収納
異空間に任意の物を出し入れする、至って簡易で強力だ

「授与の儀を受けずに、やはりアビスは才能有りだな!!」

授与の儀
それは5歳になると受ける儀式、神から能力を授与される
俺は既に能力を持っているが、あくまで劣化品
極稀に儀を受ける前に能力を持つ者が産まれるが、儀で得た物よりは効力が薄いとされている
儀式を受けると正式な物を授けられると確定している様な物、有能な事には変わりない


「バルト様、此度の依頼人の貴族を証拠と共に国王陛下様に届けて参りました」

「おぉ!! 流石だバンス、今後も頼むぞ!!」

「何なりと」

影に融けるように消えるバンス
主人の邪魔にならぬ様、気配を極限まで消し付かず離れずの距離でお供するのだ
見る人が見れば忠実で優秀な執事とでも言うだろう
だが、本質はその気配の緩急が元より何に利用されていたかだ

そう、戦闘だ
高い敏捷で相手を翻弄する、そこに気配の緩急が付随する
いくら気配察知で避けようとしても、気配がしたと思えば後ろから気配無しの攻撃が突き刺さる

「アナタ、終わったのね?」

「おう、楽勝ってモンよ!!エミリアは俺が絶対守るからな!!」

「まぁっ///」

顔を赤くする母を姫抱きに持ち上げ寝室に足を進める父
憧憬と深愛に混じった目で父を見上げる母
…お熱いことで

「怖かっただろう、俺が温めてやろう!!」

「アナタッ! アビスに聞こえてるわよ!?」

「アビスにも分かる日が来るさ、そのうちな!!」

その夜、俺の隣に有る両親の寝室から木材の軋む音と幸せそうな嬌声が響いて来た
これは…弟か妹が出来る日も遠くないだろうな
もはや、今夜出来るかもしれんが…

謎の期待を胸に、眠りに着いた夜だった
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