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第9話、草
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side:マリエール
『飯処・政』の店主、マサさんに付いて来いと言われ、素直に付いて行くと厨房に来ました
「ほれ、こいつを食ってみろ」
マサさんに差し出されたのは黒っぽい色をした魚の切り身?
「これは何でしょうか?」
「魚のみりん干しって言って島国じゃ高級な保存食で、醤油とかみりんで味付けしてある。お嬢さんの探してるのは多分醤油と味噌だと思うんだが」
「シューユ?ミソ?」
「探してた割に名前は知らないのか?」
「残念ながら島国は積極的に他国と合流をしてないようで、詳しい資料が無いのです。なので未だに島国の国名も分からない状況ですね。」
「そういやまだ鎖国中だったか、ちなみにお嬢さんが国名を知らないのは当然だ。そもそも国名が無いからな」
「え?ちょっと意味が分からないのですけど」
「島国は小さな集落の集まりで成り立っていて、一応纏め役が何人かいるが国って言える規模じゃねぇからな
それに島国周辺の海流は複雑でかなり危険なんだ、だから命知らずの物好きしか来ねぇんだよ
お嬢さんが読んだっていう本を書いた奴も相当な変わり者だろう
まぁそんな感じだから噂だけが一人歩きしていつの間にか島国って事になっちまってたがな(笑)
訂正すんのも面倒だから放置してるってオチだ、そんな事よりみりん干し食ってみなよ」
あぁ~、真実は小説よりもなんとやら、といったところでしょうか
そんな事より今はみりん干しです!
「頂きます、あーん、、もぐもぐもぐもぐ、確かにこの国には無い味付けですね」
「ちなみにつくだ煮も同じような調味料で作られるんだが、お嬢さんも飲食店をやってるなら分かってるだろうが、調味料ってのは塩ひとつ見ても作るのに相当な手間隙がかかる
それに加えて醤油と味噌は専門の職人が、代々作り方を受け継いで作るんだ、材料や大まかな作り方が分かった所で作れるとは思えん」
「普通ならそうでしょうね、でもこの国には島国に無い『魔法』という物が存在します。わたくしはこれでも魔法には自信がありますから
それに、マサさんなら普通以上に多くの知識を持っているのではないですか?」
「どういう事だ?」
「かつて島国には『草』と呼ばれる者達が他国の街に住み、情報収集の任に就いていたとか
マサさんは見たところベテランのようですから、様々な国の知識があるのではないですか」
「っ?!、、、何処でそれを!あんた何者だ?」
「あら♪マサさんは本当に『草』だったのですね、本に書いてあった事を言ってみただけなのですけど(笑)」
「ちっ!俺とした事が初歩的なミスをしちまったぜ、これから拷問でもするのかい?」
「物騒な事を言わないで下さい、わたくしは味噌と醤油が欲しいだけです。それ以上でもそれ以下でもありません
マサさんが違法な事をしているなら兵士に通報しなくてはなりませんけど、日常生活の中で見聞きした事を誰かに話したり手紙に書いたりするのは普通の事てしょう?」
「まっ、まぁそうだが、わざわざ『草』の話をしたのはどういうつもりだ?仲間の中には、怪しい奴は拷問して知ってる事を全て吐かせようとする奴も居るんだぞ」
「伊達や酔狂でここに来た訳では無い、と知って貰う為ですね。わたくしは命を賭けてここに居ます。死んでしまうと目的が達成出来ないので絶対に死にませんけど」
「まったく、言ってる事がめちゃくちゃだな、だがそういう奴は嫌いじゃねぇ♪味噌と醤油は俺達も欲しいからな
ただなぁ、お嬢さんも飲食店をやってるんなら俺達の商売敵になるんじゃねぇのか?」
「そこは住み分けが出来ると思います、わたくしのお店のお客さんは主に貴族や兵士の方々ですから、マサさんのお店のお客さんとは被らないと思うのですが」
「なるほど、それなら問題無い。せっかくだし味噌と醤油作りに必要な物は揃えておいてやる、だから後日改めて来てくれるか?」
「ありがとうございます♪」
つづく。
『飯処・政』の店主、マサさんに付いて来いと言われ、素直に付いて行くと厨房に来ました
「ほれ、こいつを食ってみろ」
マサさんに差し出されたのは黒っぽい色をした魚の切り身?
「これは何でしょうか?」
「魚のみりん干しって言って島国じゃ高級な保存食で、醤油とかみりんで味付けしてある。お嬢さんの探してるのは多分醤油と味噌だと思うんだが」
「シューユ?ミソ?」
「探してた割に名前は知らないのか?」
「残念ながら島国は積極的に他国と合流をしてないようで、詳しい資料が無いのです。なので未だに島国の国名も分からない状況ですね。」
「そういやまだ鎖国中だったか、ちなみにお嬢さんが国名を知らないのは当然だ。そもそも国名が無いからな」
「え?ちょっと意味が分からないのですけど」
「島国は小さな集落の集まりで成り立っていて、一応纏め役が何人かいるが国って言える規模じゃねぇからな
それに島国周辺の海流は複雑でかなり危険なんだ、だから命知らずの物好きしか来ねぇんだよ
お嬢さんが読んだっていう本を書いた奴も相当な変わり者だろう
まぁそんな感じだから噂だけが一人歩きしていつの間にか島国って事になっちまってたがな(笑)
訂正すんのも面倒だから放置してるってオチだ、そんな事よりみりん干し食ってみなよ」
あぁ~、真実は小説よりもなんとやら、といったところでしょうか
そんな事より今はみりん干しです!
「頂きます、あーん、、もぐもぐもぐもぐ、確かにこの国には無い味付けですね」
「ちなみにつくだ煮も同じような調味料で作られるんだが、お嬢さんも飲食店をやってるなら分かってるだろうが、調味料ってのは塩ひとつ見ても作るのに相当な手間隙がかかる
それに加えて醤油と味噌は専門の職人が、代々作り方を受け継いで作るんだ、材料や大まかな作り方が分かった所で作れるとは思えん」
「普通ならそうでしょうね、でもこの国には島国に無い『魔法』という物が存在します。わたくしはこれでも魔法には自信がありますから
それに、マサさんなら普通以上に多くの知識を持っているのではないですか?」
「どういう事だ?」
「かつて島国には『草』と呼ばれる者達が他国の街に住み、情報収集の任に就いていたとか
マサさんは見たところベテランのようですから、様々な国の知識があるのではないですか」
「っ?!、、、何処でそれを!あんた何者だ?」
「あら♪マサさんは本当に『草』だったのですね、本に書いてあった事を言ってみただけなのですけど(笑)」
「ちっ!俺とした事が初歩的なミスをしちまったぜ、これから拷問でもするのかい?」
「物騒な事を言わないで下さい、わたくしは味噌と醤油が欲しいだけです。それ以上でもそれ以下でもありません
マサさんが違法な事をしているなら兵士に通報しなくてはなりませんけど、日常生活の中で見聞きした事を誰かに話したり手紙に書いたりするのは普通の事てしょう?」
「まっ、まぁそうだが、わざわざ『草』の話をしたのはどういうつもりだ?仲間の中には、怪しい奴は拷問して知ってる事を全て吐かせようとする奴も居るんだぞ」
「伊達や酔狂でここに来た訳では無い、と知って貰う為ですね。わたくしは命を賭けてここに居ます。死んでしまうと目的が達成出来ないので絶対に死にませんけど」
「まったく、言ってる事がめちゃくちゃだな、だがそういう奴は嫌いじゃねぇ♪味噌と醤油は俺達も欲しいからな
ただなぁ、お嬢さんも飲食店をやってるんなら俺達の商売敵になるんじゃねぇのか?」
「そこは住み分けが出来ると思います、わたくしのお店のお客さんは主に貴族や兵士の方々ですから、マサさんのお店のお客さんとは被らないと思うのですが」
「なるほど、それなら問題無い。せっかくだし味噌と醤油作りに必要な物は揃えておいてやる、だから後日改めて来てくれるか?」
「ありがとうございます♪」
つづく。
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