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最終話 幸せな未来の為に

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side:リネット


朝、目が覚めると

私はいつものように目の前の黒い毛の塊に挨拶をする。


「おはようカイザー、朝だよぉ」

「、、、わぅ~」


相変わらずカイザーは朝が苦手らしく、返事はしてくれたけど2度寝するき満々だ。


「2度寝しようとしてないで散歩に行くよカイザー!散歩に行かないとご飯抜きになっちゃうけど良いのね?」

「わぅっ?!、、、わんっわんっ!」

「ふふっ、ちょうど行こうと思ってた所だったんだよね?さぁ、行くよ!」

「うぉん♪」




カイザーと一緒に庭に来ると、今朝も日課のランニングをしているグレゴリオさんとジュリアさんが走っている。


「「はっ、、ほっ、、はっ、、ほっ、、はっ、、ほっ」」

「グレゴリオさんにジュリアさん、おはようございます」

「リネット様、おはようございまーす♪」

「おっ!リネット様、おはようございます。今朝も元気そうで何よりです。カイザーもおはよう。相変わらず朝は苦手か?」

「わぅ~」

「ん?わははは、案外心配性なんだな。カイザーの努力はきちんとアマンダに伝えておくから、朝飯抜きにはならんよ」

「わんっ♪」


カイザーに早起きは少し可哀想な気もするけれど、私の護衛なんだから頑張って欲しい。


「ぜぇはぁ、、ぜぇはぁ、、ぜぇはぁ、、お二人とも、もう少し、ぜぇはぁ、、、、ペースを落とし、、ぜぇはぁ、、くだ、、さい(汗)」

「この程度でへばってどうするゴブルス!」

「そうですよゴブルスさん、元貴族の誇りはどうしたんです?」

「いや、あの、体力と元貴族は関係無いでしょう?そして私の年齢も考慮して頂きたい」

「おっと、これはうっかりしていた。確かに年齢の考慮はしていなかったな。よし!屋敷の周囲を10周する所を倍の速度で走って7周に減らそう♪」

「は?!ちょっ、グレゴリオ殿!それは更にキツくなるのでは?!」

「ガハハハハ、朝飯の前に良い汗がかけそうだ♪それではリネット様、我々はランニングの続きをしますので、ゴブルスにジュリア行くぞ!」

「はーい、リネット様にカイザーも、またねぇ~」

「「はっ、、ほっ、、はっ、、ほっ、、はっ、、ほっ、、」」


「リネット様、私も行きます。」

「はい、ゴブルスさん無理はなさらず。」

「ははは、多少の無理くらいはさせていただきますとも。では!グレゴリオ殿にジュリアさん待ってくれぇ~(汗)」


ふふっ

グレゴリオさんとジュリアさんに付いて行くのは大変だろうけど、せっかく特赦されたんだからゴブルスさんには頑張って欲しい。



帝都で国際平和連盟の代表グズダボ・メッターボ公爵が襲われたあの日、私達の予想通りゴブルス・バーナード子爵も加わっていたというか、バーナード子爵が主犯だった。

グズダボ・メッターボを人質に取ったバーナード子爵は、国際平和連盟の非道な行為を白日の元に晒す事を皇帝陛下に要求した。

そして皇帝陛下は人質を解放する事を条件に要求を受け入れたのだ。

前々から国際平和連盟のやり方に不信感を抱いていた皇帝陛下は、グズダボ・メッターボをはじめとした国際平和連盟の幹部達の悪事を既に調べて上げており、国際裁判所に告発するタイミングを見計らっていたらしい。

皇帝陛下からしてみればバーナード子爵達の行動は渡りに舟だったのだろう。

結果的に国際平和連盟の幹部達は拘束されて今も裁判が続いている。

裁判がどうなるかは私には分からないけれど、国際平和連盟は解散になるそうだ。

ただし、似たような組織は次から次に幾らでも作られるから、根本的な解決にはならないと、クラウス様が疲れた顔で教えてくれた。


そうそう!

どうしてシュナウザー侯爵家にゴブルスさんが居るかというと、ロウレシア帝国の法で裁かれたゴブルスさんは貴族籍の剥奪と、市中引き回しの上で鞭打ち100回の刑に処された。

皇帝陛下が用意した鞭が『ススキ』だったから、ススキがボロボロにならないようにきっちり100回鞭打つ方が大変だっただろうけどね。

まぁこれは皇帝陛下による特赦って事なのだろう。

無事に刑を終えたゴブルスさんは、何故かシュナウザー侯爵家の庭師見習いとして働いている。

生涯をかけて償いをする為らしいけど

放っておいてもまたいつ私を襲うか分からないから、近くに置いて24時間監視が可能な状態の方が安心出来るとはいえ、なかなか複雑ではある。


「わぅわぅ」

「あぁ、ごめんごめん、お腹減ったよね?早く戻ってご飯たべよう」

「わんっ♪」


さてと

難しい事を考えても私には分からないんだから

帝都で買ったレシピを見て、新しい甘味を作らなくっちゃ!

沢山甘味を作って毎晩クラウス様に差し入れに行けば、シュナウザー侯爵家の後継ぎを授かる事にも繋がるしね。


よぉーし

クラウス様との子作り、頑張るぞぉー♪






 
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