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第31話 これからの事
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side:リネット
今夜は珍しくクラウス様から夕食後に部屋に来るように言われている。
いわゆる『夜のお誘い』では無くて、何か話があるみたいだ。
おそらくバーナード子爵関連の事で何か新しく分かった事があるのかもしれない。
さっそくクラウス様の部屋に言ってみよう。
コンコン
「クラウス様、リネットです。」
「入ってくれ」
ガチャッ
「失礼します。」
「わざわざすまないな適当に座ってくれ。実はバーナード子爵の事で話がある」
「バーナード子爵ですか、、、私の暗殺計画でも企てていましたか?」
「幸いにも違うようだ、、、いや、リネットには悪いが今回に限っては残念と言わざるをえない」
残念?
わざわざ『残念』という言葉を使うのだから、バーナード子爵が想定外の行動をしたという事なのかな?
「もしかしてバーナード子爵の狙いがクラウス様になったのでしょうか?」
「もしそうであったなら叩き潰せば済んだんだがな、どうやらバーナード子爵はひそかに兵を集めて何かをするつもりのようだ。」
「私は孤児院からバーナード子爵家に引き取られてから、たった3日しか子爵家に滞在していませんでしたけれど、それでもバーナード子爵が何か大きな事を成せるような器では無いと断言します。
何かの間違いでは?」
「なかなか辛辣な意見だな(笑)まぁ俺もバーナード子爵はその程度の器という認識だが、死を覚悟しての事なら話は別だ。
ルゼッツ公国の貴族には最近、国際平和連盟から言い掛かりにも等しい『戦時国際法違反』の罪で賠償金の請求と当主の出頭を命じられている。
バーナード子爵も例外では無く連盟本部に出頭命令が出されていて、このままでは子爵本人も拘束された上で子爵家は取り潰しだ。
ルゼッツ公国は消滅へのカウントダウンが始まってしまって、もはや止める事は出来ないだろう。
だからこそバーナード子爵も命を懸けて何かをしようとしていると思われる。」
「バーナード子爵は死ぬつもりなのですね」
「運良く生き延びても討伐軍が差し向けられるだけだろうからな。そこで問題になるのがリネット、君だ。」
「え?」
「孤児院から引き取られたとはいえ、リネットはバーナード子爵の娘だ。後々に難癖を付けられる可能性がある。
シュナウザー侯爵家に直接何かを言ってくる可能性は低いが、念の為にリネットはロウレシア帝国に亡命して来た事にして、俺がリネットの後見人となる。
その上で結婚すれば誰にも文句は言わせないし、俺が直接リネットを守ってあげられる。
という事なんだが、リネットは了承してくれるか?」
「政治や貴族の事は難しくてよく分かりませんが、私は死ぬまでクラウス様に守って頂けるという事でしょうか?」
「約束する!
俺の目の届く範囲に居てくれる限り、誰にも手出しはさせん。」
「でしたら、何処にも行かないようにちゃんと掴まえていて下さいね♪」
「えーーーっと、、、ここはリネットを抱きしめるところか?」
「ふふっ、ちゃんと確認してくれるのはクラウス様らしくて私は好きですけど、そこまで私に気を使わなくても大丈夫ですよ。」
「そっ、そうなのか?
夫婦円満の秘訣を聞いたら、意志疎通が大事だと聞いたんだが」
「確かに意志疎通は大事ですね。お互いの意思を確認する為にも、一緒に居る時間を増やして頂けると嬉しいです。」
「おっ、おう。せっかくだし、その、、、ベッドの上で色々と確認するのはどうだろうか?」
「はい、喜んで」
「本当か♪直ぐに準備するから待っててくれ。お茶と何か食べる物も必要だよな?今から甘味を用意するのは難しいだろうから、サンドイッチでも良いか?」
「お腹を満たせるなら何でも構いませんけど、焼き芋ペーストは厨房に残っているかもしれませんよ」
「焼き芋ペーストがあったか!あれは値段も安くて旨いよな♪
朝食用に作り置きしてるだろうから、少し貰って来よう。では行ってくる!」
ガチャッ
あらら
クラウス様が嬉しそうに部屋から出て行ってしまった。
ああいう所はまだまだ子供っぽくて可愛いなと思う。
そしたら私はいったん部屋に戻って着替えとタオルを用意持って来なくっちゃ。
つづく。
今夜は珍しくクラウス様から夕食後に部屋に来るように言われている。
いわゆる『夜のお誘い』では無くて、何か話があるみたいだ。
おそらくバーナード子爵関連の事で何か新しく分かった事があるのかもしれない。
さっそくクラウス様の部屋に言ってみよう。
コンコン
「クラウス様、リネットです。」
「入ってくれ」
ガチャッ
「失礼します。」
「わざわざすまないな適当に座ってくれ。実はバーナード子爵の事で話がある」
「バーナード子爵ですか、、、私の暗殺計画でも企てていましたか?」
「幸いにも違うようだ、、、いや、リネットには悪いが今回に限っては残念と言わざるをえない」
残念?
わざわざ『残念』という言葉を使うのだから、バーナード子爵が想定外の行動をしたという事なのかな?
「もしかしてバーナード子爵の狙いがクラウス様になったのでしょうか?」
「もしそうであったなら叩き潰せば済んだんだがな、どうやらバーナード子爵はひそかに兵を集めて何かをするつもりのようだ。」
「私は孤児院からバーナード子爵家に引き取られてから、たった3日しか子爵家に滞在していませんでしたけれど、それでもバーナード子爵が何か大きな事を成せるような器では無いと断言します。
何かの間違いでは?」
「なかなか辛辣な意見だな(笑)まぁ俺もバーナード子爵はその程度の器という認識だが、死を覚悟しての事なら話は別だ。
ルゼッツ公国の貴族には最近、国際平和連盟から言い掛かりにも等しい『戦時国際法違反』の罪で賠償金の請求と当主の出頭を命じられている。
バーナード子爵も例外では無く連盟本部に出頭命令が出されていて、このままでは子爵本人も拘束された上で子爵家は取り潰しだ。
ルゼッツ公国は消滅へのカウントダウンが始まってしまって、もはや止める事は出来ないだろう。
だからこそバーナード子爵も命を懸けて何かをしようとしていると思われる。」
「バーナード子爵は死ぬつもりなのですね」
「運良く生き延びても討伐軍が差し向けられるだけだろうからな。そこで問題になるのがリネット、君だ。」
「え?」
「孤児院から引き取られたとはいえ、リネットはバーナード子爵の娘だ。後々に難癖を付けられる可能性がある。
シュナウザー侯爵家に直接何かを言ってくる可能性は低いが、念の為にリネットはロウレシア帝国に亡命して来た事にして、俺がリネットの後見人となる。
その上で結婚すれば誰にも文句は言わせないし、俺が直接リネットを守ってあげられる。
という事なんだが、リネットは了承してくれるか?」
「政治や貴族の事は難しくてよく分かりませんが、私は死ぬまでクラウス様に守って頂けるという事でしょうか?」
「約束する!
俺の目の届く範囲に居てくれる限り、誰にも手出しはさせん。」
「でしたら、何処にも行かないようにちゃんと掴まえていて下さいね♪」
「えーーーっと、、、ここはリネットを抱きしめるところか?」
「ふふっ、ちゃんと確認してくれるのはクラウス様らしくて私は好きですけど、そこまで私に気を使わなくても大丈夫ですよ。」
「そっ、そうなのか?
夫婦円満の秘訣を聞いたら、意志疎通が大事だと聞いたんだが」
「確かに意志疎通は大事ですね。お互いの意思を確認する為にも、一緒に居る時間を増やして頂けると嬉しいです。」
「おっ、おう。せっかくだし、その、、、ベッドの上で色々と確認するのはどうだろうか?」
「はい、喜んで」
「本当か♪直ぐに準備するから待っててくれ。お茶と何か食べる物も必要だよな?今から甘味を用意するのは難しいだろうから、サンドイッチでも良いか?」
「お腹を満たせるなら何でも構いませんけど、焼き芋ペーストは厨房に残っているかもしれませんよ」
「焼き芋ペーストがあったか!あれは値段も安くて旨いよな♪
朝食用に作り置きしてるだろうから、少し貰って来よう。では行ってくる!」
ガチャッ
あらら
クラウス様が嬉しそうに部屋から出て行ってしまった。
ああいう所はまだまだ子供っぽくて可愛いなと思う。
そしたら私はいったん部屋に戻って着替えとタオルを用意持って来なくっちゃ。
つづく。
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