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第28話 ゴブルス・バーナード子爵
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side:ゴブルス・バーナード子爵
例の件の報告を聞く為に、長年私に仕えてくれている執事のラースを執務室に呼び出した。
「旦那様、先程ロウレシア帝国に居る者から連絡があり、依頼をした男共は何も出来ずに返り討ちにあったらしく、リネットはかすり傷ひとつ負わず無事だそうです。」
「チッ!やはり上手くは行かなかったか。あまり期待していなかったとはいえ、かすり傷すら負わせられんとはな。
これではシュナウザー侯爵に『娘を傷物にされた』という理由で賠償金を請求するのは難しいか?」
「無傷ではなんともなりません。
心に傷を負ったからと賠償金を請求する事は出来なくもありませんが、リネットと口裏を合わせなければなりませんし、そんな事は相手側もさせないでしょう。
詳しい説明を求める事は出来ますが、申し訳程度の金品が贈られて来るのがせいぜいかと」
「ぐぬぬぬぬっ!このままではバーナード子爵家は取り潰され、私も含めた一族郎党が奴隷墜ちになってしまう!どどどどどどうすれば良いのだ?!
クソッ!クソッ!クソッ!」
「落ち着いて下さい旦那様」
「落ち着いていられるか馬鹿者!」
忌々しいのは国際平和連盟の奴等だ!
今頃になって戦時国際法違反で賠償金の請求と連盟本部に出頭しろなどと言って来やがった。
しかもその理由が、『非戦闘員の農民を虐殺した罪』でだ!
何が、貴様の行いは非人道的行為で許されざる行為だ馬鹿者共が!
これだから安全な場所で茶を飲みながら指示を出すだけの馬鹿は嫌になる。
戦場で鍬や鋤を持って呑気に農作業をしている間抜けな農民が居るというのなら連れて来い!
確かに、農民の中には無理矢理戦場に連れて来られた者居るかもしれんし、俺自身も不本意ながら命乞いをした者を殺した事もある
だがしかし、それらは全て戦場で敵味方入り乱れての命の奪い合いの最中の話だ。
そんな状況で敵の言う事など信用する馬鹿はおらん!見逃した瞬間背後から刺されるのが目に見えているのだからな。
ルゼッツ公国では似たような理由で幾つもの貴族家に賠償金の請求がされており、賠償金を払えない家は取り潰しの上で当主とその家族が拘束されて連行されてしまった。
奴等の狙いは長く続いた紛争で疲弊しきった大陸の国々を、ルゼッツ公国から賠償金を奪って立て直すつもりだ。
ルゼッツ公国は他の国々に比べれば小さく、消滅しても影響はほぼ無いとでも考えているのだろう。
忌々しい奴等だ!
しかしながら、最早この流れは変えられん。
私はゴブルス・バーナード、ルゼッツ公国の誇りある貴族だ。
ならば祖国と同胞の為に、最後まで足掻いて足掻いて足掻いて、泥水を啜ってでも一矢報いてやろうではないか。
「ラース、私の私財を売り払って兵を集めろ」
「だっ、旦那様?!何をお考えなのでしょうか?」
「最早バーナード子爵家に先は無い。妻と子供達は中立国の何処かに亡命させろ。それが済めばラース、貴様は解雇する。長きに渡り世話になったな、ご苦労であった。」
「くっ、、無念でございます。」
「これも世情を読めなかった愚かな俺のせいだ。妻と子供の事は頼んだ。」
「はっ!旦那様の御下命であれば、不肖ラース、この命に代えましても必ず。」
ふふっ
愚かな俺には過ぎたる執事であった。
さてと、久方振りに剣の稽古でもするか♪
つづく。
例の件の報告を聞く為に、長年私に仕えてくれている執事のラースを執務室に呼び出した。
「旦那様、先程ロウレシア帝国に居る者から連絡があり、依頼をした男共は何も出来ずに返り討ちにあったらしく、リネットはかすり傷ひとつ負わず無事だそうです。」
「チッ!やはり上手くは行かなかったか。あまり期待していなかったとはいえ、かすり傷すら負わせられんとはな。
これではシュナウザー侯爵に『娘を傷物にされた』という理由で賠償金を請求するのは難しいか?」
「無傷ではなんともなりません。
心に傷を負ったからと賠償金を請求する事は出来なくもありませんが、リネットと口裏を合わせなければなりませんし、そんな事は相手側もさせないでしょう。
詳しい説明を求める事は出来ますが、申し訳程度の金品が贈られて来るのがせいぜいかと」
「ぐぬぬぬぬっ!このままではバーナード子爵家は取り潰され、私も含めた一族郎党が奴隷墜ちになってしまう!どどどどどどうすれば良いのだ?!
クソッ!クソッ!クソッ!」
「落ち着いて下さい旦那様」
「落ち着いていられるか馬鹿者!」
忌々しいのは国際平和連盟の奴等だ!
今頃になって戦時国際法違反で賠償金の請求と連盟本部に出頭しろなどと言って来やがった。
しかもその理由が、『非戦闘員の農民を虐殺した罪』でだ!
何が、貴様の行いは非人道的行為で許されざる行為だ馬鹿者共が!
これだから安全な場所で茶を飲みながら指示を出すだけの馬鹿は嫌になる。
戦場で鍬や鋤を持って呑気に農作業をしている間抜けな農民が居るというのなら連れて来い!
確かに、農民の中には無理矢理戦場に連れて来られた者居るかもしれんし、俺自身も不本意ながら命乞いをした者を殺した事もある
だがしかし、それらは全て戦場で敵味方入り乱れての命の奪い合いの最中の話だ。
そんな状況で敵の言う事など信用する馬鹿はおらん!見逃した瞬間背後から刺されるのが目に見えているのだからな。
ルゼッツ公国では似たような理由で幾つもの貴族家に賠償金の請求がされており、賠償金を払えない家は取り潰しの上で当主とその家族が拘束されて連行されてしまった。
奴等の狙いは長く続いた紛争で疲弊しきった大陸の国々を、ルゼッツ公国から賠償金を奪って立て直すつもりだ。
ルゼッツ公国は他の国々に比べれば小さく、消滅しても影響はほぼ無いとでも考えているのだろう。
忌々しい奴等だ!
しかしながら、最早この流れは変えられん。
私はゴブルス・バーナード、ルゼッツ公国の誇りある貴族だ。
ならば祖国と同胞の為に、最後まで足掻いて足掻いて足掻いて、泥水を啜ってでも一矢報いてやろうではないか。
「ラース、私の私財を売り払って兵を集めろ」
「だっ、旦那様?!何をお考えなのでしょうか?」
「最早バーナード子爵家に先は無い。妻と子供達は中立国の何処かに亡命させろ。それが済めばラース、貴様は解雇する。長きに渡り世話になったな、ご苦労であった。」
「くっ、、無念でございます。」
「これも世情を読めなかった愚かな俺のせいだ。妻と子供の事は頼んだ。」
「はっ!旦那様の御下命であれば、不肖ラース、この命に代えましても必ず。」
ふふっ
愚かな俺には過ぎたる執事であった。
さてと、久方振りに剣の稽古でもするか♪
つづく。
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