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第13話 下着

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side:リネット


ジュリアさんとカイザーに連れて来られたのは、常連客の8割が娼婦という下着屋さん。

赤・黄・ピンク・黒・シルバー・ゴールド

見ていると目がシパシパしてくるくらい様々な色の下着が、お店の棚に隙間無く並べられている。

下着なんて孤児院を出るまで着た事が無かったから自信は無いけれど、このお店にある下着は実用性よりデザイン重視

しかもそのデザインも、男性を喜ばせる為のデザインなのかなと思う。

男性がどんな下着を喜ぶのかは分からないんだけど、娼婦が常連客という事は、そういう事なんだと思う。


「こんにちはー、ハンナおばさーん!」

「あいよぉ~、、、おやまぁ、ジュリアちゃんが私の店に来るなんて珍しいねぇ。あんたにも骨抜きにしたい男が出来たのかい?」

「そんな良い男が居るなら紹介して欲しいですよ。用があるのは私じゃなくてこっちのリネット様です。
クラウス様と結婚するんで、クラウス様がやる気の出る下着をお願いします!」

「なるほど、あのクラウス様もついに嫁を貰う日が来たかい。それでリネット様に下着が必要と、、、セクシー系よりは可愛い系で攻める方がクラウス様の好みかねぇ?」


下着屋さんの店主と思われる女性とジュリアさんはどうやら知り合いらしいけど、私を置いてどんどん話を進めないで欲しい。

とは言え、せっかくならクラウス様に喜んで貰える下着を買いたい。


「ねぇハンナおばさん、大銀貨2枚以内でセクシー系と可愛い系の両方は無理かな?」

「ほぉほぉ、そんなに予算があるなら攻めのパターンを増やしてみようか。ジュリア、採寸するからリネット様を連れて来な。カイザーは店番頼んだよ」

「はい!」「わんっ!」


えぇー?!

これもう絶対にハンナさんとカイザーは会話成立してるぅー!


ーー30分後ーー


はぁ~、疲れた。


「良い下着が買えて良かったですねリネット様♪」

「わぅ~♪」

「そっ、そうだね」


下着屋さんの店主ハンナさんに裸にされ採寸された後は、様々な下着を次から次に試着して、最終的に渡されたのは上下セットになった下着が4セット

ほぼ丸見えなスケスケの赤い下着

私には似合わないと思われる大人っぽい黒の下着

着ている意味があるのか分からない、ほぼ紐の白い下着

唯一私に似合いそうな布の面積が多めの黄色い下着

お値段は4セット合計で、大銀貨1枚と銀貨3枚


うん、高い!

たぶんかなりお安い値段なんだろうとは思うけど、孤児院に居た時は銀貨1枚稼ぐのもやっとだった事を考えれば、高いと感じても仕方ない。


「わぅわぅっ!」

「どうしたのカイザー?」

「わんっ♪」

「あぁ~、お金が余ったから肉串を買って欲しい?」

「わんっ♪」


カイザーはちゃっかりしてるなぁ

まぁ声をかけようと近付いて来たチンピラ風の男を追い払ってくれたし、お礼に肉串買うくらいは構わないけどね。


「カイザーには肉串で、ジュリアさんは何か食べたいものある?」

「うーん、甘味が食べたいんですけど、この辺じゃ高級レストランのデザートくらいしか無いからなぁ」

「じゃあパンケーキ作ってあげようか?ハチミツがあればより美味しくなるけど」

「リネット様って甘味が作れるんですか?!」

「パンケーキだけだけどね」


私がパンケーキを作れる理由は、孤児院に居た時にたまに森で見付けた貴重な卵を、十数人居る孤児院の子供達で分けるにはどうしたらいいか考えた結果だ。

とにかく卵に空気を含ませて、ふわっふわのオムレツを作ればどうにか全員で分ける事が出来た。

後に、空気を含ませた卵に砂糖と小麦粉を混ぜて焼くと、パンケーキになると知った時は衝撃だったなぁ(笑)

砂糖は高価で買えなかったけど、試しに小麦粉だけを混ぜて焼いた卵は、卵だけの時より数倍に大きく膨らみ、卵と小麦粉の素朴な甘さだけでも私には充分だったよ。


残金は銀貨7枚

ハチミツは1㎏で銀貨2枚程度だから、卵と小麦粉も余裕で買える♪

そうと決まれば、早く帰ってパンケーキ作らなくっちゃ!





つづく。
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