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第8話 クラウスとリネットとカイザーと時々ジュリア

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side:リネット


シュナウザー侯爵家の庭で飼われている大きな黒い犬の『カイザー』と仲良くなって知った事がある。

護衛のジュリアさんが言うには、カイザーはクラウス様以外の男性には全く懐かず基本は無視してるらしい

ただし餌を持って来てくれた男性の言う事はちゃんと聞いて従順なんだそう。でも懐きはしないんだとか

そして女性の場合は、初対面の時に追いかけまわすけど、その後は軽く撫でさせてくれる程度には仲良くなれるらしい


それってもう、完全に相手を見て対応を変えてるよね?

カイザー頭良過ぎぃー!

だからなのか、庭でカイザーをワシャワシャしてる時に会った皆さんからは

「流石はリネット様♪」「カイザーも美女には優しいのか(悲)」「もふもふ、、、カイザーのもふもふをもふもふしたいぃぃぃぃぃぃ!」


まぁ色々な反応があったけど、基本的には初対面でカイザーと仲良くなった事で『只者じゃない』って感じで、一定の信頼を得られたっぽい。

ちなみにカイザーは、元々特殊な訓練をされた軍用犬で、敵と味方の識別がちゃんと出来るんだとか。

だから過去に屋敷に忍び込もうとやって来た不審者を、カイザーは容赦無く攻撃して倒したらしい。

カイザーに攻撃された不審者が可哀想な状態になったお陰で、シュナウザー侯爵家においてカイザーの地位は上の方に位置している(主に男性の意見)

『可哀想な状態』がどういうものか気になり、屋敷の警備を担当している人達に訊ねたら、その場に居た男性全員が股間を押さえて青い顔をしていた。

カイザーの体高から考えて、1番攻撃しやすい場所となると、、、

詳しく聞く事はしなかったけれど、まぁそういう事なのだろう。


「ねぇカイザー、私にもお腹を撫でさせてくれないかな、駄目?」

「わうっ」

「なんでリネット様は良くて私は駄目なんだよぉ(悲)」


私にお腹をワシャワシャされて気持ち良さそうにしていたカイザーだけど、ジュリアさんがカイザーのお腹を撫でようとしたら、プイッと横を向いてしまった。

カイザーのお腹を撫でられるのはクラウス様以外だと、メイド長と料理長の2人だけらしい。

これはもうカイザーが私の事をクラウス様の結婚相手と知って、、、る訳は流石に無いだろうから

他の使用人達と違うなっていうのは感じ取ってるんだろうなぁ

カイザーの頭が良過ぎだよ。


「カイザー、ブラッシングをするぞぉー!」

「わんっ♪」

ん?

急にカイザーの態度が変わったから声のした方を見ると、クラウス様がブラシを持ってこちらに歩いて来る。


「クラウス様おはようございます。」

「おはよう。リネットは早起きなのだな。もしかしてカイザーに追いかけられ、、、ては無いようだな。」

「はい、カイザーとはお友達になりましたから、親交を深めている最中です。」

「なるほど。カイザーよく聞け、リネットは俺の結婚相手だから変な奴が近付いて来たら守ってくれよ?」

「うぉん!」


ふふっ

カイザーがなんとなく誇らしげに見えるのは気のせいかな?


「カイザーも護衛は任せろと言っているし、これからカイザーの世話はリネットに頼んでも良いか?」

「勿論、、、と言いたい所ですが、犬を飼った事が無いので自信がありません」

「カイザーと仲良くなれたのなら問題は無いだろう。餌は当番の者が持って来るし、カイザーはこの通り放し飼いだから散歩も必要無い。後はリネットが暇な時に相手をしてやってくれれば良い。
俺も暇な時にしか相手をしてやれて無いからな。」

「そういう事でしたらお任せ下さい!これからよろしくねカイザー♪」

「わふっ♪」

「先ずはリネットにブラッシングして欲しいだとさ」

「え?!クラウス様はカイザーの言葉が分かるのですか?」

「これでもお互いの背中を預けて戦場を駆け回った戦友だからな、だいたいは分かるよ」


うーむ

クラウス様が何処まで本気で言ってるのかは分からないけど、カイザーの顔をムニムニして嬉しそうにしているクラウス様は、ちょっとだけ子供っぽいかも

孤児院に居た男の子達も、犬を見たら同じように犬の顔をムニムニして喜んでたっけ


「わぅ?」


ふふっ

今のは私にも分かったかも、『ブラッシングしてくれないの?』だ!


「よぉーしカイザー、今から思う存分ブラッシングしてあげるからね!」

「わんっ♪」





つづく。
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