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第5話 専属護衛
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side:リネット
「こちらがリネット様の部屋です。最低限必要な物は揃っていると思いますけど、欲しい物があれば私かメイドに言って貰えれば用意致します。」
「ありがとうジュリアさん」
私の専属護衛となったジュリアさんに屋敷内を案内して貰いながら、私の為に用意された部屋にやって来た。
ジュリアさんは最低限と言っていたけれど、部屋の中には全身が映る大きさの鏡にドレッサー、3人は寝られそうな巨大なベッド、他にも地味ながらも立派な造りの家具が置かれている。
だがしかし
案内された部屋で1番驚いたのが広さだ。
孤児院なら最低でも10人で使用するような広さがあるのに、本当に私だけで使う部屋なの?
もしかしたら護衛のジュリアさんやメイドさんと共同で使うのかもと思って、部屋の中を3周して隅々まで確認したけれど、他の人が使う寝具は見当たらなかった。
やっぱり貴族というのは私のような一般人には理解出来ない世界のようだ。
とりあえず紅茶でも飲んで落ち着こう。
部屋には紅茶とクッキーが用意されていたのだけど、私が部屋の中をウロウロしている間にすっかり冷めてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「ジュリアさんも良ければ一緒にお茶飲みませんか?」
「喜んで!いただきまーす。あーんっ、モグモグモグモグ、旨っ!リネット様用のクッキーは私達のおやつとは違って高級ですね♪」
あれ?
ジュリアさんってこんな気さくな感じだったっけ?
「モグモグモグモグ、、ん?もしかしてリネット様は私の話し方が嫌だったりします?」
「そういう事は無いけど、屋敷の前で挨拶してた時と全然違うなと思って」
「あはは、こっちが素の私ですね。
元々私はロウレシア帝国に雇われた傭兵だったんですけどね、グレゴリオ様にスカウトされてシュナウザー侯爵家の護衛になったんです。
なので貴族用の礼儀作法も最低限しか知りませんし、言葉使いもこんな感じです。嫌なら敬語にしますけど」
「そのままで大丈夫。私もずっと孤児院に居たから敬語は全然慣れてなくて」
「じゃあ公式の場以外はこのままって事で。あと、リネット様が孤児院に居たのは言わない方が良いですね。
貴族が孤児を引き取って政略結婚の道具にしてるのは子供でも知ってる事ですけど、リネット様はバーナード子爵家の令嬢であって、それ以上でも以下でもありません。
貴族って体裁が1番大事らしいんで、言わなきゃ分かんない事は言わなくて良いですよ」
「うん、分かった!」
ほっ
最初ジュリアさんと挨拶した時は仲良く出来るか不安だったけど、大丈夫そうだ。
「ねぇリネット様、クッキーのおかわりは要りませんか?」
「もうすぐ夕食だしそれほどお腹も減って無いから大丈夫だよ」
「そうですか(悲)」
うーん
ジュリアさんが空になったお皿を見て凄く悲しそうだ。
「えっと、もう少しだけ食べたいかなぁ」
「直ぐに用意しますね♪」
ふふっ
ジュリアさんはさっきまでこの世の終わりのような表情をしてたのに、一瞬でパァッと花が咲いたみたいな笑顔になっちゃった。
チリンチリン♪
コンコン、ガチャ
「失礼致します。御用件を伺います。」
「クッキーのおかわりをお願いします。」
「かしこまりました。直ぐにお持ちしますので少々お待ち下さい。」
へぇー、話には聞いていたけれど、貴族の屋敷って本当にメイドさんが部屋の近くに控えてるのね。
それと
机の上に置いてあった鈴って獣避けの鈴じゃなかったんだ。
冷静に考えたら、部屋の中で獣避けの鈴を鳴らすって意味が分からないよね(笑)
しかし、鈴を鳴らしてメイドさんを呼ぶのって失礼な気がして私には使える気がしない。
わざわざメイドさんを呼ばなきゃいけない用事なんて無いから鈴を使う機会も無さそうだけどね。
とりあえず、夕食までジュリアさんとお茶を楽しもう♪
つづく。
「こちらがリネット様の部屋です。最低限必要な物は揃っていると思いますけど、欲しい物があれば私かメイドに言って貰えれば用意致します。」
「ありがとうジュリアさん」
私の専属護衛となったジュリアさんに屋敷内を案内して貰いながら、私の為に用意された部屋にやって来た。
ジュリアさんは最低限と言っていたけれど、部屋の中には全身が映る大きさの鏡にドレッサー、3人は寝られそうな巨大なベッド、他にも地味ながらも立派な造りの家具が置かれている。
だがしかし
案内された部屋で1番驚いたのが広さだ。
孤児院なら最低でも10人で使用するような広さがあるのに、本当に私だけで使う部屋なの?
もしかしたら護衛のジュリアさんやメイドさんと共同で使うのかもと思って、部屋の中を3周して隅々まで確認したけれど、他の人が使う寝具は見当たらなかった。
やっぱり貴族というのは私のような一般人には理解出来ない世界のようだ。
とりあえず紅茶でも飲んで落ち着こう。
部屋には紅茶とクッキーが用意されていたのだけど、私が部屋の中をウロウロしている間にすっかり冷めてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「ジュリアさんも良ければ一緒にお茶飲みませんか?」
「喜んで!いただきまーす。あーんっ、モグモグモグモグ、旨っ!リネット様用のクッキーは私達のおやつとは違って高級ですね♪」
あれ?
ジュリアさんってこんな気さくな感じだったっけ?
「モグモグモグモグ、、ん?もしかしてリネット様は私の話し方が嫌だったりします?」
「そういう事は無いけど、屋敷の前で挨拶してた時と全然違うなと思って」
「あはは、こっちが素の私ですね。
元々私はロウレシア帝国に雇われた傭兵だったんですけどね、グレゴリオ様にスカウトされてシュナウザー侯爵家の護衛になったんです。
なので貴族用の礼儀作法も最低限しか知りませんし、言葉使いもこんな感じです。嫌なら敬語にしますけど」
「そのままで大丈夫。私もずっと孤児院に居たから敬語は全然慣れてなくて」
「じゃあ公式の場以外はこのままって事で。あと、リネット様が孤児院に居たのは言わない方が良いですね。
貴族が孤児を引き取って政略結婚の道具にしてるのは子供でも知ってる事ですけど、リネット様はバーナード子爵家の令嬢であって、それ以上でも以下でもありません。
貴族って体裁が1番大事らしいんで、言わなきゃ分かんない事は言わなくて良いですよ」
「うん、分かった!」
ほっ
最初ジュリアさんと挨拶した時は仲良く出来るか不安だったけど、大丈夫そうだ。
「ねぇリネット様、クッキーのおかわりは要りませんか?」
「もうすぐ夕食だしそれほどお腹も減って無いから大丈夫だよ」
「そうですか(悲)」
うーん
ジュリアさんが空になったお皿を見て凄く悲しそうだ。
「えっと、もう少しだけ食べたいかなぁ」
「直ぐに用意しますね♪」
ふふっ
ジュリアさんはさっきまでこの世の終わりのような表情をしてたのに、一瞬でパァッと花が咲いたみたいな笑顔になっちゃった。
チリンチリン♪
コンコン、ガチャ
「失礼致します。御用件を伺います。」
「クッキーのおかわりをお願いします。」
「かしこまりました。直ぐにお持ちしますので少々お待ち下さい。」
へぇー、話には聞いていたけれど、貴族の屋敷って本当にメイドさんが部屋の近くに控えてるのね。
それと
机の上に置いてあった鈴って獣避けの鈴じゃなかったんだ。
冷静に考えたら、部屋の中で獣避けの鈴を鳴らすって意味が分からないよね(笑)
しかし、鈴を鳴らしてメイドさんを呼ぶのって失礼な気がして私には使える気がしない。
わざわざメイドさんを呼ばなきゃいけない用事なんて無いから鈴を使う機会も無さそうだけどね。
とりあえず、夕食までジュリアさんとお茶を楽しもう♪
つづく。
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