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第65話 温泉卵

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side:フィオナ


温泉卵乗せステーキ丼

いざ

実食!


と気合いを入れた私は何だったのだろう?

温泉卵を乗せたステーキ丼は、皆さん全く抵抗無く美味しそうにパクパク食べてくれている。

どうやら温泉卵はソースとして認識されているっぽい。

いや、まぁ、食べ方は自由だから、温泉卵をソースとして使っても間違いでは無いんだけど、、、

よく考えてみたら、ここに居るのはドノバンさんとミニーさんを除いて上級貴族の当主やその家族の皆さんだ。

そのような人達が調理前の生の卵を見る機会なんてまず無い。

キャラメリゼ王国では半熟や生の卵を食べる習慣が無いから当然の事だし、料理は料理人に任せているんだから、殻付きの卵は見た事があっても、殻を割って中身を出した生の卵をわざわざ見る貴族は居ないし、見せる料理人も居ない。

その結果

温泉卵は皆さんに何の先入観も無く受け入れられて、ドノバンさんにいたっては皿に少し残った卵をパンで拭いとって食べているくらいだ。


「いやぁ~、フィオナ嬢の作る料理はいつ食べても旨いなぁ♪おっと、今日からはブルーム公爵夫人と呼ばなければいかんな!」

「ドノバン様、公式の場以外はいつも通りでお願いします。公爵夫人と呼ばれるとどうにも足の裏がムズムズします。」

「おいドノバン、フィオナに余計な事を言って足の裏をムズムズさせてんじゃねぇ!」

「ちょっと待てルーファウス、御両親が居る前でそういう言い方は関心せんぞ。」

「ふんっ、貴様にはこれで充分だろ。それに後で父上と母上に叱られるのは覚悟の上だ。なんだったら父上に当主の座を返しても良いくらいだ。」

「まったくお前というやつは、フィオナ嬢の事になると急に言動がめちゃくちゃだぞ」

「がははははは!ルーファウスもようやっと惚れた女の為に生きるようになったか♪ドノバン殿、息子の無礼な言動は私からも謝罪する。申し訳ない。」

「ちょっ、ちょっと止めて下さい!ケフェウス様が頭を下げるような事ではありませんから(汗)」

「そうだぞ父上、このようなクソな団長に頭を下げる必要は無い!」

「ルーファウス、お前はもうちょっとケフェウス様と俺に対して気を使え!」

「ふふふっ、ルーファウスにも仲の良いお友達が居て嬉しいわぁ♪」

「母上、ドノバンはただの職場の上司ですから!」

「おい待てルーファウス!フィオナ嬢からは、俺とお前は凄く仲が良いって言われただろうが!」

「フィオナちゃーん、私は食後のデザートにアイスクリームが食べたいなぁ~」



おぅふ(汗)

さすがは上級貴族の皆さん、、、と言っていいのだろうか?

皆さん御自分の意見や意思をしっかり持っていて、周囲の雰囲気に流される事も全く無い。

それはとても良い事だけど今この場に限って言えば、まさにカオス!

この先、上手くやっていけるか不安になって来たよ(汗)



◇     ◇     ◇



「皆さん気を付けてお帰り下さい。」


ふぅーーー、なんとか皆さんを無事にお見送りする事が出来た。


「ふふっ、お疲れ様フィオナ。今日は皆浮かれていたようだから大変だっただろう?」

「ええ、まぁ、でも今日は妻としての初日でしたから、充実はしています♪」

「そう言って貰えると嬉しいよ。公爵夫人としてこれからもっと大変な事もあるだろうけど、俺が必ず守る!」

「はい、ちゃんと守ってくれないと野菜ジュースだけの食事になりますからね」

「え゛っ?いや、あの、今さら野菜ジュースだけの食事は勘弁して下さい(汗)」

「ふふっ、それじゃあ夕食の準備を手伝って下さい、だっ、だん、、、旦那様(照)」

「勿論だ!そういえば冷蔵庫を買った魔道具屋から、パンの表面を焼く魔道具が出来たから試して欲しいと連絡があったぞ」

「それってトースターですか?!」

「名前までは聞いていないが冷蔵庫よりはかなり小さいらしい」

「さっそくスミスさんに取りに行って貰わなくっちゃ!」

「ああ、また新しい料理が出来たらアリスが騒ぎそうではあるがな」

「そうですね。ふふっ」

「ふっ」

「「あはははははははは♪」」





つづく。
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