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第34話 ルーファウスの憂鬱 その6

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side:ルーファウス


「違いますぅー。私はお姉ちゃんですぅー。罰として胸モミモミの刑よ!それっ♪」

「きゃっ?!おねーちゃーん、そんなに激しく胸を揉むのは、やーめーてぇー(汗)」


むむっ?

風呂場から聞こえる声は姉上とフィオナ嬢か。

姉上はかなり強引な所があるからフィオナ嬢と仲良くやれるか心配だったが、どうやら杞憂に終わりそうだ。


「おっ?風呂場は何やら楽しそうだな、ルーファウス覗きに行こう!」

「何が悲しゅうて俺が貴様と犯罪行為をしなければいけないんだ。」

「いやいや、美女が風呂に入っていたら男としては覗くのが礼儀だろ?」

「ドノバン、貴様の頭の中にはカビが生えているのか?」

「お前フィオナ嬢が絡むと本当に口が悪くなるよな」

「犯罪者予備軍には充分な話し方だ。それより団長はいつまでここに居る気なんだ?」

「いつまでって、モニカ殿も泊まるらしいし俺も泊まるぞ!」

「姉上は家族だし、今から帰す訳にもいかないから泊まるのは当然だが、団長の屋敷はここから徒歩20分の距離なんだから帰れよ。」

「たまには可愛い部下と親睦を深めるのも団長には必要な事だろう。」

「俺は可愛く無い部下だから親睦を深める必要は無い!」

「わははははは、安心しろルーファウス!俺にとってはお前も可愛い部下だよ♪」


はぁ

それは全く安心する所では無いんだが、ドノバン団長は言い出したら聞かない性格をしているから言っても無駄だろうな。


「俺の心配をしている暇があるなら団長こそ結婚相手を探せよ」

「騎士団の団長とはいえ俺は男爵だからなぁ、喜んで嫁に来てくれる貴族の女なんて居ねぇーよ。
俺は相手が平民でも構わないんだが、男爵程度だと貴族の義務に伴う苦労と比べて得られる利益が少ないから、これもまた嫁に来てくれる女が居ねぇ。
まっ、適当な時期に爵位を返上して平民になってから、ゆっくり嫁探しをするさ」

「意外だな。団長はずっと騎士団で働くと思っていたから」

「騎士団の仕事は嫌いじゃないんだがな、王宮で式典がある時なんかは俺達も警備に駆り出されるだろ?あれはいかん!
細かい事に気を配らなきゃならんし、他の騎士団との連携も必須だ。
にも関わらず他の騎士団の団長達は皆上級貴族だから、無駄にプライドが高い上に個人主義だ。
そんな奴等と一緒に警備の検討会議をせにゃならん、それを毎年何回もな!いい加減ストレスで剥げるわ!」

「ふっ、俺なら魔物の緊急討伐依頼が来たと言って警備から除外して貰うがな。」

「くそっ!その手があったか。だが何回も同じ手は使えないだろ?」

「同じ手を使う必要は無い。所詮俺達は王都から離れた辺境が任務地の騎士団なんだ。橋が落ちたから遅れるとか、作物の収穫に駆り出されているとか、適当な理由を付けてきちんと書類を作れば、わざわざ現地に確認に来る奴など居ないから、書類はそのまま受理されて警備からは除外されるだろう。
ただし、無能な団長のレッテルを貼られて評価は最低になるだろうがな。」

「わはははははは。今さら落ちる評価なんて無ぇーよ♪じゃあ次からはお前が書類を作ってくれ」

「何故俺がそんな面倒な事をしなければならんのだ」

「嫌なら無理にとは言わん。だが良いのか?」

「ニヤニヤしながら俺を見るな!」

「警備に駆り出されるって事は当然お前も王都に行くんだ。その間フィオナ嬢とは会えなくなるが、まぁお前が書類を作るのが嫌ならしょうがないよな。
無理矢理は良くないし、警備も大事な仕事だもんなぁ」

「チッ!書類は作ってやるが、他の団長から探りを入れられた時はきちんと対処しろよ?」

「任せとけって、所詮あいつらはキャンキャン吠える小者しか相手に出来ん連中だからな、こちらが素直に頭を下げてれば嫌味を言う事も出来んさ(笑)」


クソな性格のドノバン団長だが、それでも他の団長達と比べれば断然マシだ。

団長が騎士団を辞めると次は俺がそいつらの相手をせねばならんから、ドノバン団長が辞めないように嫁を探してやる必要がある。

フォルティエス公爵領なら、結婚相手が居ない農家の娘の1人や2人居るのではなかろうか?

これは後日フィオナ嬢に相談してみなければ!





つづく。
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