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第21話 昆布の佃煮
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side:フィオナ
グツグツ、グツグツグツグツ、グツグツ、グツグツグツグツ、、、
「あのぅ、フィオナ様、凄く美味しそうな匂いはしてるんですけど、その鍋に入ってる黒い物は何ですか?」
「これは薬屋さんで買った昆布だけどチュニーは見た事無い?」
「えっと、昆布なら旅馬車の乗り場にも売ってますけど、こんな色でしたっけ?」
「これはひと晩水に浸けて柔らかくなった物だし、醤油の色が付いてるからね」
「へぇ~」
「そしたらチュニー、口開けてぇ~、はい、あーん」
「あー」
「ほいっ、と」
「むぐむぐむぐ」
「味はどうかな?」
「あっ!なんかピリッとして凄く美味しいです♪」
隠し味に山椒の実を入れてみたんだけど、問題は無いみたい。
私は今、鍋で昆布の佃煮を作っている。
昆布は昨夜のうちに鍋に水を入れて浸けておいた物だ。後は鍋を火にかけてカツオ節を入れれば出汁の完成。
この出汁で朝食の『卵とじスープ』と『和風パエリア』を作る。
さらに今日はルーファウス様のお弁当も作らないといけないから忙しい!
お弁当は片手でも食べやすいように、薄焼き卵にご飯を敷き詰めてから、真ん中に昆布の佃煮を置いて巻き寿司の要領で巻いた
黄色い見た目の巻き寿司風おにぎりの出来上り♪
昆布の佃煮だけだと寂しいから、ホウレン草、ニンジン、モヤシを韓国料理のナムルっぽく味付けした物を入れた、キンパ風巻き寿司も作った。
海苔が無いのが残念だけど、海苔の黒い見た目って慣れてないとかなり衝撃を受けるらしいから、食欲が湧かない可能性もある。
『裏巻き』と言って、ご飯が外側になるようにした『カリフォルニアロール』が作られたのも、巻き寿司を受け入れやすくする為だったらしい。
薄焼き卵の黄色い見た目の方が華やかだし、個人的には海苔より薄焼き卵の方が食べやすいかなと思う。
おっと
そろそろルーファウス様がリビングに来られる時間だから、朝食の準備をしなくっちゃ!
「ルーファウス様、お味はいかがでしょうか?」
「今朝の食事もとても美味しい。貴女は変わった料理を沢山知っているんだな。」
料理に関しての知識の大半は前世の物だとルーファウス様に教えたら、どういう反応をされるだろう?
既に貴族の娘としては変な女と思われてるだろうから、今更な感じもするけど。
「昔から本を読むのが好きでしたから、役に立つかどうかはともかく知識だけは豊富かなと思います。」
「知識はいくらあっても困る事は無いから良い事だと思う。」
「ありがとうございます。」
「それよりも、貴女が今着ている服だがここに来た時にも着ていたものではないか?」
相変わらずルーファウス様は鋭い御方でいらっしゃる。
夜着を含めて持って来た服は5着、その内1着はパーティー用のドレスだから、残りの服を普段着として順番に着回すと一周して同じ服に戻って来た。
「仰る通り同じ服です。」
「女性のそういう事にはあまり詳しくは無いし、男の私が口を出す事でも無いのかもしれないが、貴女はもう少し外見を気にした方が良いのではと思う。」
実家が田舎の貧乏貴族だから、お洒落は最低限しか出来なかったのよね。
「持って来た服が少ないのもありますけど、他家に挨拶に伺うような予定もありませんから、普段着としては問題無いかと」
「問題だらけだ。」
えぇー?!
昨日に引き続きーファウス様から即答の駄目出しが(悲)
「ルーファウス様の御迷惑にならないように気を付けますから」
「私の事はどうでもいい、貴女は綺、、、」
「き?」
「いや、何でもない。明日は仕事が休みだから貴女の服を買いに行こう。貴女は料理以外は興味が薄そうだから、放っておくと食材しか買わないおそれがある。」
「うっ、、、返す言葉もありません。」
「それに、経済を活性化させる為にも我々貴族が積極的に金を使う必要がある。幸いにもブルーム公爵家は鉱山等で放っておいても入って来る金があるから、今日明日で突然生活に困る事にはならない。
服は腐る物でも無いから無駄にはならないだろうしな」
「ふふっ」
「なんだポーラ、言いたい事があるなら遠慮せず言え」
ん?
何故かポーラさんがクスクス笑っている。
「では遠慮無く。坊っちゃんが最後に買い物をされたのは、何ヵ月前だったかなと思いまして」
「わっ、私は騎士団の仕事が忙しいから、ゆっくり買い物をする時間など無いだけだ!」
「では明日は坊っちゃんも服を購入されたら良いです。フィオナ様、坊っちゃんの服を選んであげて下さいね♪」
「おいポーラ、何を言ってる(汗)」
「あっ、はい。誠心誠意、選ばせて頂きます。」
うーん
ルーファウス様は照れているみたいだけど、嫌がっては無いよね?
よし、明日までにポーラさんからルーファウス様の服の好みを教えて貰おう!
つづく。
グツグツ、グツグツグツグツ、グツグツ、グツグツグツグツ、、、
「あのぅ、フィオナ様、凄く美味しそうな匂いはしてるんですけど、その鍋に入ってる黒い物は何ですか?」
「これは薬屋さんで買った昆布だけどチュニーは見た事無い?」
「えっと、昆布なら旅馬車の乗り場にも売ってますけど、こんな色でしたっけ?」
「これはひと晩水に浸けて柔らかくなった物だし、醤油の色が付いてるからね」
「へぇ~」
「そしたらチュニー、口開けてぇ~、はい、あーん」
「あー」
「ほいっ、と」
「むぐむぐむぐ」
「味はどうかな?」
「あっ!なんかピリッとして凄く美味しいです♪」
隠し味に山椒の実を入れてみたんだけど、問題は無いみたい。
私は今、鍋で昆布の佃煮を作っている。
昆布は昨夜のうちに鍋に水を入れて浸けておいた物だ。後は鍋を火にかけてカツオ節を入れれば出汁の完成。
この出汁で朝食の『卵とじスープ』と『和風パエリア』を作る。
さらに今日はルーファウス様のお弁当も作らないといけないから忙しい!
お弁当は片手でも食べやすいように、薄焼き卵にご飯を敷き詰めてから、真ん中に昆布の佃煮を置いて巻き寿司の要領で巻いた
黄色い見た目の巻き寿司風おにぎりの出来上り♪
昆布の佃煮だけだと寂しいから、ホウレン草、ニンジン、モヤシを韓国料理のナムルっぽく味付けした物を入れた、キンパ風巻き寿司も作った。
海苔が無いのが残念だけど、海苔の黒い見た目って慣れてないとかなり衝撃を受けるらしいから、食欲が湧かない可能性もある。
『裏巻き』と言って、ご飯が外側になるようにした『カリフォルニアロール』が作られたのも、巻き寿司を受け入れやすくする為だったらしい。
薄焼き卵の黄色い見た目の方が華やかだし、個人的には海苔より薄焼き卵の方が食べやすいかなと思う。
おっと
そろそろルーファウス様がリビングに来られる時間だから、朝食の準備をしなくっちゃ!
「ルーファウス様、お味はいかがでしょうか?」
「今朝の食事もとても美味しい。貴女は変わった料理を沢山知っているんだな。」
料理に関しての知識の大半は前世の物だとルーファウス様に教えたら、どういう反応をされるだろう?
既に貴族の娘としては変な女と思われてるだろうから、今更な感じもするけど。
「昔から本を読むのが好きでしたから、役に立つかどうかはともかく知識だけは豊富かなと思います。」
「知識はいくらあっても困る事は無いから良い事だと思う。」
「ありがとうございます。」
「それよりも、貴女が今着ている服だがここに来た時にも着ていたものではないか?」
相変わらずルーファウス様は鋭い御方でいらっしゃる。
夜着を含めて持って来た服は5着、その内1着はパーティー用のドレスだから、残りの服を普段着として順番に着回すと一周して同じ服に戻って来た。
「仰る通り同じ服です。」
「女性のそういう事にはあまり詳しくは無いし、男の私が口を出す事でも無いのかもしれないが、貴女はもう少し外見を気にした方が良いのではと思う。」
実家が田舎の貧乏貴族だから、お洒落は最低限しか出来なかったのよね。
「持って来た服が少ないのもありますけど、他家に挨拶に伺うような予定もありませんから、普段着としては問題無いかと」
「問題だらけだ。」
えぇー?!
昨日に引き続きーファウス様から即答の駄目出しが(悲)
「ルーファウス様の御迷惑にならないように気を付けますから」
「私の事はどうでもいい、貴女は綺、、、」
「き?」
「いや、何でもない。明日は仕事が休みだから貴女の服を買いに行こう。貴女は料理以外は興味が薄そうだから、放っておくと食材しか買わないおそれがある。」
「うっ、、、返す言葉もありません。」
「それに、経済を活性化させる為にも我々貴族が積極的に金を使う必要がある。幸いにもブルーム公爵家は鉱山等で放っておいても入って来る金があるから、今日明日で突然生活に困る事にはならない。
服は腐る物でも無いから無駄にはならないだろうしな」
「ふふっ」
「なんだポーラ、言いたい事があるなら遠慮せず言え」
ん?
何故かポーラさんがクスクス笑っている。
「では遠慮無く。坊っちゃんが最後に買い物をされたのは、何ヵ月前だったかなと思いまして」
「わっ、私は騎士団の仕事が忙しいから、ゆっくり買い物をする時間など無いだけだ!」
「では明日は坊っちゃんも服を購入されたら良いです。フィオナ様、坊っちゃんの服を選んであげて下さいね♪」
「おいポーラ、何を言ってる(汗)」
「あっ、はい。誠心誠意、選ばせて頂きます。」
うーん
ルーファウス様は照れているみたいだけど、嫌がっては無いよね?
よし、明日までにポーラさんからルーファウス様の服の好みを教えて貰おう!
つづく。
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